中田英寿が繋ぐ、ジョンロブと「祇園ない藤」の職人の出会い(1)|JOHN LOBB
FASHION / MEN
2015年5月26日

中田英寿が繋ぐ、ジョンロブと「祇園ない藤」の職人の出会い(1)|JOHN LOBB

JOHN LOBB|ジョンロブ

中田英寿が繋ぐ、ジョンロブ マスターラストメーカーが出会う日本の伝統

フランソワ、「祇園ない藤」で装履(草履)をオーダーする(1)

中田英寿さんの橋渡しによるフランスと日本の職人の出会いがいよいよ実現 ── ジョンロブの“マスターラストメーカー”フランソワ・マドニーニ氏が大阪でのビスポークオーダー会を終えた翌日に訪れたのは、京都を代表する老舗履きもの匠「祇園ない藤」。フランソワは初めての京都になるが、5代目の内藤誠治氏がにこやかに出迎えてくれた。

中田英寿、パリ・ジョンロブのビスポークアトリエを訪れる(トライオン・2)

Photographs by HOZUMI HitomiText by KAJII Makoto (OPENERS)

腕をもった職人同士をつなげたい

京阪電車「祇園四条駅」で下車して徒歩約5分。大和大路通を歩いて行くと、京都市から「歴史的意匠建造物」に指定されている虫籠窓(むしこまど)とウダツが特徴的な建物が見えてくる。中田英寿さんが、「ジョンロブの職人をぜひ連れて行きたい」と、今回訪れたのは「祇園ない藤」。創業は明治8年、現在は5代目の内藤誠治さんが代表を務める。

中田さんは、「僕が、紬織の人間国宝作家で染色家の志村ふくみさんに着物をオーダーしたときに、草履や下駄をつくりたいと紹介していただいたのが、祇園ない藤の内藤さんです。内藤さんには足袋をつくる職人を紹介していただきました。
そういうつながりを自分が経験しているので、靴の専門家のフランソワさんが日本の履きものの専門家と会って話すと面白いだろうなと思い、内藤さんにお願いしました。日本最高の草履(ぞうり)をつくるところを見ることで、お互いの刺激にもなるだろうし、僕が仲介して、いろんな人をつなげていきたいと思っています」と語る。

フランソワが草履の説明を聞く

祇園ない藤では、下駄を「木履」、草履を「装履」、鼻緒を「花緒」と書き慣わすという。これは、「わたくしどもが日々の暮らしと生活の道具に対して、ひとかたならぬ思い入れを言霊として込めているからです」とホームページに記されている。

主人の内藤さんは、京都が初めてで、下駄や雪駄を一度も履いたことがないというフランソワに説明をはじめた。

「いまは草履が主流ですが、武士の時代には正式には下駄を履いていました」と、下駄をフランソワに差し出すと、その軽さに驚いて素材を問う。「それは桐ですね」と内藤さん。

「明治以降、道路が整備されてくると、男性の一般的な履きものは草履になります。足をのせる部分の革は、昔は堅い水牛の革を使っていましたが、今は柔らかい牛革を使っています。足を挟(はさ)む鼻緒は、白から黒まで色柄は多彩にありますが、晴れの日などに履く一番正式なのは白で、普段使いが黒。色が濃い鼻緒は正式な場所では使いません。たとえば礼祭などで偉い神主は白の鼻緒を履き、お手伝いは白の鼻緒は履きません。階級ではないですが、その日の主役が鼻緒などでわかります」と語る。

日本の草履と着物が、人をエレガントに見せる理由

フランソワが下駄の台(足をのせる部分)を見比べて、なぜ細いものと大きいものがあるのかと問うと、内藤さんは、「細いのは京都で華奢なんですね。身のこなしが優雅に見えます。大きいのは田舎風。西郷隆盛の銅像が履いているもので、がつがつ歩けるんです」と笑う。

それを聞いてフランソワは、「パリのジョンロブのビスポークは、履き心地を重視しながら、いかにキレイに見えるかを細心の注意を払いながらつくりますが、ロンドンのジョンロブのビスポークは、足に忠実に合わせるので、箱のような靴ができます」とおなじように笑った。

「草履は足をのせる部分が小さいほうが動きがエレガントに見えますし、着物の振り袖は大きい方が優雅に映ります。日本人はモノによって身体の動きが制約されることが多いのが興味深いんですね。それと、鼻緒の色とおなじように、どこどこに行くにはこの格好(どのような調子が良いか)という、着こなしがスイッチになってその場所にふさわしい動きになるのも面白いんです。そこで一番重要になるのが素材。たとえば、着物は木綿か麻かで知らないうちに動きの質が変わってくる感じがします」と草履を手に取りながら内藤さんは説明する。

中田英寿が繋ぐ、ジョンロブと「祇園ない藤」の職人の出会い(2)へつづく

祇園ない藤
京都市東山区祇園縄手四条下ル
Tel. 075-541-7110
営業時間|10:30~18:00
定休日|不定休
http://gion-naitou.com/

ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp

120927_rumors_banner

           
Photo Gallery