ジャガーにふさわしいスタイリッシュかつ流麗なプロポーション

2014年9月8日、ロンドン。ながらく巷の噂となっていたとともに、ジャガー カーズ社自身もティーザーキャンペーンを展開してきたジャガー「XE」が、ついにその正体をあらわすことになった。

待望のジャガーXEのデビューセレモニーは、衆人環視のもとヘリコプターに吊られて輸送されたのち、高速揚陸艇でテムズ川を下り、1960年代ジャガーの名作「マーク 2」のパトカーに先導されて陸路を移動。そして、現代の英国を代表するセレブリティたちが待ち受けるイベント会場“アールズコート アリーナ”に登場するという、じつにドラマチックな演出がなされていた。このクルマの誕生が、イギリスの自動車ファンにとって、いかに重要な出来事であるかがご理解いただけるだろう。

4ドアサルーンのボディデザインは、ジャガーのチーフデザイナー、イアン・カラム氏が「XF」以降の現代ジャガーに適用した新生デザイン言語を明確に体現したもの。XFよりコンパクトなサイズだが、ジャガーにふさわしいスタイリッシュかつ流麗なプロポーションを巧みに獲得している。

しかし、それ以上に興味深いのはボディ内部のストラクチャー。これまでジャガー カーズ社が明かしていたように、そのモノコックは軽量なアルミ素材を車体構造全体の75パーセントに採用しているのだ。同社は「Dセグメント唯一、アルミ製モノコックを採用したモデル」と説明する。

ボディサイズは、全長4,672×全幅1,850×全高1,416mmで、ホイールベースは2,835mmと、このクラスとしては標準的なもの。にもかかわらず、公表されている本国仕様車の車重は1,474kg以上と、クラスの常識を超えた軽量なものとなっている。

プレミアムDセグメントの勢力図を塗り替えられるか

サスペンションは、ジャガーの誇るリアルスポーツカー「Fタイプ」と譲りの、鋳造アルミを鍛造するという特許済みの工法で製作した、ダブルウィッシュボーンをフロントに採用。リアも通常は大型高級車に採用される事例の多いインテグラル・リンク式とされ、正確なハンドリングとしなやかな乗り心地を両立しているという。

くわえて当代最新のモデルらしく、ブレーキとパワートレインを制御し凍結路面など滑りやすい悪路での走行をアシストする“オール サーフェス プログレス コントロール（ASPC）”や、レーザー式ヘッドアップディスプレイ（HUD）、ステレオカメラによる衝突回避・被害軽減システムおよび車線逸脱警告システムなど、ドライバーの安全な走行をサポートする先進技術も満載している。

今回デビューを飾ったのは、こちらもFタイプと共用、340psのパワーと450Nmのトルクを発生する3リッターV6＋スーパーチャージャーユニットを搭載した高性能・上級モデルの「XE S」のみである。しかし、2リッター直4ガソリンターボ、さらに“INGENIUM（インジニウム）”と呼ばれる新世代の2リッター直4ディーゼルターボが搭載されることも確約されている。トランスミッションは、V6モデル＋スーパーチャージャー版が8段ATで、4気筒エンジン版には6段MTまたは8段ATが組み合わされる予定という。

これからジャガーXEが殴り込みをかけることになる“Dセグメント プレミアム”は、BMW「3シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」シリーズ、あるいはレクサス「IS」やキャデラック「ATS」などの魅力的なモデルが乱立する、群雄割拠の激戦区。そんななかにあって、ジャガーXEは勢力図を塗り替えてしまうポテンシャルを秘めていると思われる。

現地での価格は2万7,000ポンド（およそ470万円強）からと設定された。

最終的なスペックや各モデルの価格など、その詳細のすべてが判明するのは、10月2日に開幕するパリモーターショーである。それまで、楽しみに待つことにしよう。

Jaguar XE S｜ジャガー XE S

ボディサイズ│全長 4,670 × 全幅 1,850 × 全高1,416 mm

ホイールベース│2,835 mm

重量｜1,474 kg以上

エンジン│2,995cc V型6気筒DOHC スーパーチャージド

ボア×ストローク｜84.5 × 89.0 mm

エンジン最高出力│250 kW（340 ps）/6,500 rpm

最大トルク│450 Nm/4,500 rpm

トランスミッション│8段オートマチック

駆動方式│FR

サスペンション 前/後│ダブルウィッシュボーン / インテグラル・リンク

0-100km/h加速｜5.1 秒

燃費（EU複合）│8.3 ℓ/100km（およそ12.1 km/ℓ）

*すべての値は発表時のメーカー推定。スペックは製造前に最終確認をした上で確定

ジャガーコール

0120-050-689（9:00-18:00、土日祝日を除く）