Volkswagen SCIROCCO|フォルクスワーゲン シロッコ 試乗(後編)
CAR / IMPRESSION
2015年4月16日

Volkswagen SCIROCCO|フォルクスワーゲン シロッコ 試乗(後編)

Volkswagen SCIROCCO|フォルクスワーゲン シロッコ 試乗(後編)

クルマは贅たくな精神の遊びだと感じさせてくれる

フォルクスワーゲンが17年ぶりに復活させた2ドアクーペ「シロッコ」。ダウンサイジングコンセプトに基づく最新のパワーユニットを携えて登場した同車に試乗した。

文=小川フミオ写真=河野敦樹

ぐいぐいと背中を押すような加速感

エンジンの比較でいうと、1.4リッター・ツインチャージャーエンジンの、鋭いレスポンスをより評価するむきもあるようだ。たしかに、たっぷりしたトルクと高回転まで回るスポーティな性格は、マニュアルのダイレクト感をもつデュアルクラッチのDSGギアボックスとよく合っていて、クルマを楽しむためには最適と思えるほどだ。それは同感なのだが、2リッターエンジンの自然なトルク感が捨てがたいのも事実。とくにコーナーからの脱出などでは、ぐいぐいと背中を押すような加速感を楽しませてくれる。

インテリアはドイツ車の常で、黒を基調に、品質感を演出するものだ。黒というのは、色調のちがいとか、組み立て精度の高さとかがてきめんに表れるので、黒一色で質感が高い内装を作れれば、もっともクオリティが高いということになる――。それがドイツ人のクルマ観なのだが、シロッコもその例にもれず、黒で造型の美しさを味わわせてくれる。

大人4人の移動でも問題はない

パサートCCとも共通する横うねが強調されたスポーティなデザインのバケットシートは座り心地もよく、気持ちがよい。2.0TSIは革張り、TSIはファブリックと合成スウェード、アルカンタラの組み合わせ。レザーにはリッチな質感があり、ファブリックにはあたりのやわらかさが。どちらにもそれなりの良さがある。

後席はルーフの面積が限られているので、広々感はない。しかしハイバックの立派な大人用シートが2つ用意されていて、大人4人の移動でも問題はない。ルーフの幅が狭いため、デザイナーは2つの座席をくっつけるように配していて、そのあたりはボルボC30を連想する手法だが、それが有効な解決策となっている。

スタイリングは、線でではなく面(サーフェス)でキャラクターを印象づける現代的な手法が採られる。なので、シロッコの美しさを堪能するためには、面の表情がより細かく出るメタリック塗装を選ぶのがよさそうだ。

シロッコのような贅たくなクルマは社会にとってどうしても必要、ではない。しかし個人が豊かな精神生活を送っていくうえでは必要だと思う。クルマは贅たくな精神の遊びだと感じさせてくれる1台だ。

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Volkswagen SCIROCCO 2.0 TSI
ボディ|全長4255×全幅1810×全高1420mm ホイールベース2575mm
車両重量|1360kg
エンジン|2ℓ 直列4気筒+ターボチャージャー
最高出力|147kW[200ps] 5100~6000rpm
最大トルク|280Nm[28.6kgm]/1700~5000rpm
駆動方式|FWD
トランスミッション|6段DSG
価格|447万円

Volkswagen SCIROCCO TSI
ボディ|全長4255×全幅1810×全高1420mm ホイールベース2575mm
車両重量|1340kg
エンジン|1.4ℓ直列4気筒+スーパーチャージャー+ターボチャージャー
最高出力|118kW[160ps] 5800rpm
最大トルク|240Nm[24.5kgm]/1500~4500rpm
駆動方式|FWD
トランスミッション|7段DSG
価格|392万円

フォルクスワーゲン カスタマーセンター
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