坂本龍一が推し進める「モア・トゥリーズ」ついに始動!(2)
坂本龍一さんが推し進める「more trees」ついに始動!(2)
モア・トゥリーズ賛同人、吉本多香美さんと“森”を語り合う
植林・森づくり活動のプラットフォームになることを目的に、各界の賛同人を得て、坂本龍一さんが立ち上げた「モア・トゥリーズ」。 赤坂区民センターで行われた『みなと森と水会議2007』内の「坂本龍一のmore treesミーティング」を取材したコンテンツ第二回は、賛同人である女優・吉本多香美さんと坂本さんの対談をお伝えします。
レポート=梶井誠(本誌)Photo by JAMANDFIX
森が人間をやさしく治癒していく
坂本 では、いま(注・11月30日現在)102名いるモア・トゥリーズの賛同人のおひとり、女優の吉本多香美さんに登場していただきます。
吉本 みなさん、こんにちは。坂本さん、賛同人はなにをすればいいのでしょう?
坂本 それは「モア・トゥリーズといういいものができたよ」というのを世のなかに広めてほしいですね。
吉本 さきほどの坂本さんのお話を聞いて、私も森の癒しの力というものをとても信じていて、森林セラピーを広める活動をしているんです。
坂本 森林セラピーとはどういうものなんですか?
吉本 森林セラピーは、200年前からドイツで認められている予防医学で、身体や心の病をもった人が森へ行くことによって病気がよくなっていくというものです。森林セラピストという人がいて、医学的に血圧などを診察したあとで、その人に適した森、たとえば、「これぐらいの癒し効果のある森に何日間いて、毎日何キロぐらい歩いたり、ヨガをしてください」などと処方してくれるんです。
坂本 それは人によってどこの森がいいというのがあるんですか?
吉本 はい、木の種類は限定しませんが、ありますね。
坂本 それは植林した人工林ではダメなんでしょう?
吉本 そうですね、やはり癒し効果があるのは広葉樹のできるだけ巨木がある森なんですね。それは視覚的効果もあるんです。人は大きな木を見ると感動しますよね。
坂本 ぼくも巨木を見に行ったことがありますが、大きな木はハグしたくなりますね(笑)。
吉本 畏敬の念を感じてしまいますね。それと「フィトンチッド」という芳香性の揮発性物質をたくさん出している森は広葉樹の森なんです。日本にも24カ所のセラピー基地があるんですよ。
ナチュラルキラー細胞が活性化する森の効能
坂本 その基地は森のそばにあるんですか?
吉本 森のなかにあるんです。それはただたんに名乗りを上げればいいのではなくて、24人の被験者が実際に森に入って、1週間、血圧やホルモンなどの変化のデータをとって、医学的に実証された森なんです。それで、とてもおもしろいのが、森に入った2日めにすごく効果があらわれるんですね。
坂本 そうなんですか。
吉本 2日めに異物細胞や自己変異細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)がいちばん活性化するんです。
坂本 あのガン細胞とかウイルス性細胞を見つけると殺すというリンパ球ですね。
吉本 それで、森に3、4日滞在して、都会に帰ってふつうの生活に戻っても、約1ヵ月間は細胞の活動が通常の30%アップするというデータがあります。
坂本 でも2日間、森にいるというのはむずかしいですよね。セラピー基地には宿泊施設もあるんですよね?
吉本 日本のセラピー基地には宿泊施設はあります。
坂本 吉本さんは森林セラピストになろうとしているの?
吉本 はい。そういうセラピストの役割を広めようと思って勉強しています。
坂本 どうしてそんなに森に関心をもったんですか?
吉本 森が好きなんです。とても気もちのいい場所ですから。むかしから自然のなかが好きなんですね。
坂本 ぜひ、これからはご自身の活動のなかにモア・トゥリーズの啓蒙もよろしくお願いします。
吉本 こちらこそ。
more treesホームページ
http://www.more-trees.org/