坂本龍一が推し進める「モア・トゥリーズ」ついに始動!(3)
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2015年5月14日

坂本龍一が推し進める「モア・トゥリーズ」ついに始動!(3)

坂本龍一さんが推し進める「more trees」ついに始動!(3)
「more treesの森 第一号」が誕生

植林・森づくり活動のプラットフォームになることを目的に、各界の賛同人を得て、坂本龍一さんが立ち上げた「モア・トゥリーズ」。 赤坂区民センターで行われた『みなと森と水会議2007』内の「坂本龍一のmore treesミーティング」において、「more treesの森 第一号」が誕生しました。

レポート=梶井誠(本誌)Photo by JAMANDFIX

モア・トゥリーズの活動の3つのコンセプト

坂本 モア・トゥリーズのこれからの活動は、NGOや行政と一緒に森づくりを進めていくこと、その森づくりを通じて“カーボンオフセット”を推進していこうというものです。“カーボンオフセット”とは、自分自身が出したCO2を植林やクリーンエネルギーで相殺=オフセットするということですね。そして、最終的にモア・トゥリーズは、NGOや行政と一体となってプラットフォーム化をめざします。

モア・トゥリーズの3つのコンセプト

(1)みんなで森をつくっていこう
(2)楽しく森をつくっていこう
(3)正しい森をつくっていこう

とくに(3)の「正しい森をつくっていこう」については、たんに木を植えればいいというのではなく、きちんと植えているか、順調に育ってCO2を吸収しているかという説明責任まで含まれます。
さらに、植林プロジェクトでは世界でもっとも厳しい基準である「京都メカニズム=クリーン開発メカニズム(CDM)」に配慮しながら、モア・トゥリーズなりのガイドラインを設けていきます。そのために、「more trees評議委員会」を設置し、厳しく活動を審査してもらいます。



more treesの森づくりの4つのカテゴリーとは

モア・トゥリーズは、木を植え、森をつくります。
そのために、森づくり活動の4つのカテゴリーを選定しました。

(1)日本の森林再生をしていきます
ご存知のように、日本にはたくさんの森がありますが、間伐などきちんとメンテナンスがされていないことでCO2の吸収量が落ちています。人が手を入れることで人工林を活性化させて、さらに衰退している林業にも光を当てたいと思います。

(2)東南アジア、アマゾンを中心として熱帯林の再生をしていきます

(3)黄砂の被害など日本にも影響のある内モンゴルなどで砂漠の緑化をしていきます

(4)海の森といわれるマングローブの再生をしていきます


「more treesの森 第一号」は、高知県檮原町に決定!

いまの日本の森は「切り捨て間伐」といって、切って放置するのがほとんどです。間伐材の輸送コストや人件費はとうてい採算に合いません。
そこで、モア・トゥリーズでは、間伐とその利用を通じて“カーボンオフセット”を行い、豊かで健全な森をつくっていきます。

高知県は森林の割合が全国いちで、高知県が主体となって進めるプロジェクト「協働の森づくりプロジェクト」にモア・トゥリーズが参加することになりました。今回「more treesの森 第一号」として選定したのは、四万十川の源流のひとつである檮原(ゆすはら)川のある山あいの町で、その森も人工林が多く、間伐を必要としています。

2008年には、まず「more treesの森 第一号」の20ヘクタールの面積の間伐を行う予定です。



左から、高知県 前 橋本大二郎知事、坂本龍一さん、檮原町 町長 中越武義さん。3者による調印式が壇上で行われた

more trees評議委員会の3名のエキスパート

more trees評議委員会は、たとえば、植える苗木がその地場に適しているか、在来種か、植えた木が地域住民にプラスになっているかという、本来的な森林の役割まで審査します。

小林紀之氏(日本大学大学院教授)
「長く東南アジアで林業経営に関わり、植林のCDMに詳しく、大学で環境法を教えています。環境は生活のあらゆる面に関わってくるので、自然環境や温暖化の問題に興味をもっています。
森林はCO2を吸収しますが、日本のような人工林は、手入れをしながら健全に育てていくことがとても大事です。
今回はmore treesの主旨に賛同して、ぜひお手伝いしていきたいと参加しました」

松尾直樹氏(クライメート・エキスパーツ代表)
「クライメート・エキスパーツという地球温暖化のコンサルタントをしています。京都会議以前は研究者をやっていて、京都でルールができて、活動の必要性を感じてコンサルタントをはじめました。
世界の貧しい地域では植林CDMプロジェクトはほとんど動いていません。そういう地域でも私たちがもっているノウハウをいかして実現化したいし、そんなプロジェクトにお金がまわるスキーム、カーボンオフセットが実現するようしていきたいと思います」

日比保史氏(コンサベーション・インターナショナル ジャパン代表)
「国連開発計画で環境と途上国の開発に携わっていて、コンサベーション・インターナショナル ジャパンを立ち上げました。生物多様性を守っていこうという取り組みをしている団体です。
私たちが生きていくうえで不可欠なもの、酸素、水、木などと、いろんな生き物がいることで自然が成り立っていて、私たちもその恩恵を受けています。生物多様性とは、共生しながらその環境を守っていけるのかということです」

           
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