第8回 葉巻の産地:ドミニカ共和国編
第8回 葉巻の産地:ドミニカ共和国編
ブランド数では世界最大規模!
国交の関係で、キューバ産が手に入らないアメリカ。そんなわけで、アメリカのハンドメイド・シガーの輸入量ではドミニカ共和国が第1位となっている。
text by HIROMI Mamoru
1959年、フィデル・カストロがアメリカ資本に牛耳られていたキューバの土地と産業を国有化すると、それまでキューバで葉巻の生産を行っていたシガーメーカーは国外への脱出を余儀なくされます。これが今日、キューバ製とドミニカ共和国製の同名シガー・ブランドが存在する2重原産地問題の発端です。
キューバ革命時によって、移住の地として選ばれたドミニカ共和国には現在さまざまなシガーメーカーが工場を構えています。シガーのブランド数も今日では世界最大規模を誇り、アメリカ合衆国のハンドメイド・シガーの輸入量ではドミニカ共和国が第1位となっています。
幻のシガー、「オーパスX」
この国でもっとも有名な葉タバコ産地はシバオ・リバー・バレー地区です。サンティアゴ県に位置し、サンティアゴの葉タバコ産地として世界的に知られています。また、フランスなどでは、キューバ産の葉巻を「ハバナ」(アバーヌと発音)とよぶのに対し、ドミニカ共和国産の葉巻は「サント・ドミンゴ」(サン・ドマングと発音)ともよばれます。ともに首都名であり、貿易港に由来する呼び名です。サンティアゴの南に位置するラ・ベガ県でも質の良い葉タバコが栽培されています。
一般的にドミニカ共和国でつくられるシガーのフィラーとバインダーにはドミニカ共和国産葉タバコが使われ、ラッパーにはアメリカ合衆国コネチカット州産やエクアドル産のラッパーと組み合わされてシガーがつくられます。しかし、極少量ですが、「オーパスX」という100%ドミニカ共和国産葉タバコでつくられたシガーも存在し、たいへん貴重な葉巻として知られています。その味は“ストロング”の一言に尽きます。
シガーの製造工場はほとんどがサンティアゴに集中しており、世界的な知名度を誇るダヴィドフ社の工場もサンティアゴにあります。もうひとつ著名な工場は、タバカレラ・A・フエンテです。アルトゥーロ・フエンテやクエスタ-レイ、ダイアモンド・クラウン、アシュトンとったブランドを生産しています。
唯一、世界一の規模を誇るアルタディスのグループ会社、アルタディスUSAのブランドを製造するタバカレラ・デ・ガルシアの工場だけは同国東部に位置するラ・ロマーナにあり、ここでサンタ・ダミアーナ、ヘンリークレイ、カバニャスといったブランドが製造されます。
広見護のコレがイチオシ!
ホァンロペス
「セレクションNo.2」
(25本入り/¥52,500)
オイルを塗ったような美しい褐色の肌、肉感的なボディー。ソフトでまろやかな味わい。