第3回 まずは浴衣を着てみよう(2)
イラストレーターの穂積和夫さんによる大人の男のキモノ入門。これからの季節にぴったりな浴衣の着方を伝授します。
文とイラストレーション=穂積和夫
浴衣の着方
まず肩に羽織って(1)片方ずつ袖を通す(2)。袖先を指でつまんで左右にピンと引っ張り(3)、背縫いの線が背中の中心線にくるように揃える。
つぎに両方の衿先を前で合わせ(4)、いちど左上前を広げておいて、右下前を左腰骨の位置に決める(5)。
つづいて左上前を右腰骨の位置に引きつける(6)。ここで下締めの細紐で腰骨のあたりを締めて結んでおく(7)。ひと結びして左右にからめると帯をしたときにゴロゴロしない。
帯の選び方、まわし方
つぎは帯。簡単なのは兵児帯で、さっき締めた細紐の上からグルグル2回ほど巻いて後ろで蝶結びにする。
材質は化繊もあるが、やっぱり絹がいい。縄みたいにヨレヨレにしないで、ある程度畳んでおいてから結ぼう。帯幅が太くなると子供っぽく見える。長さが短いようだったら(つまりお腹が太い場合)、片結びに結ぶ。
帯は前で結んおいて後ろにまわしてもいい。回すときは必ず時計回りにしないと、キモノが着くずれる。結び目は真後ろではなく、左右どちらかにちょっとずらすと恰好いい。
兵児帯はふつう両端にだけ絞り様があるが、「総絞り」といって全体に絞りのあるの場合は、結ばずに巻きつけた両端を挟み込んでおけばいい。
いきなり角帯を買うという手もある。正絹がいちばんだが、浴衣なら木綿の角帯も洒落ている。結び方はいずれ書くことにする。
この程度は温泉などへ行くと浴衣を出してくれるから、誰でも出来るるはずだ。
着こなしのコツはただひとつ。帯は「腰に結ぶ」ということだ。ウェストで結ぶと裾がスカートのように広がってバカボンみたいになってしまう。なるべく裾つぼまりのシルエットになるように、両裾の角を引き上げ気味に着よう。
「背広は肩で着る。キモノは腰で着る」というのが最大の原則であり、浴衣の着方はそのままそれ以外のキモノの着方の基本であると思っていただきたい。
彼女と花火見物、これでOK
これでできあがり。履き物はまず素足に下駄だろう。お祭りとか、彼女と花火見物なんて時はこれでOK。草履や雪駄でもいい。スニーカーだのビニールの突っかけサンダルはやめてくれ?
どうだ、夏はやっぱり浴衣だぜー、粋なもんだろう、ってな顔をして涼しげに着てほしいものである。
財布、携帯電話、デジカメなど、持ち物が多いときは小物入れの袋がいる。フトコロやタモトに入れて間に合うなら、それでもいい。おっと、扇子もいるなあ。ふつうは帯に挿して持ち歩くが、抜けて落とさないように。団扇なら帯の後ろに挿すのが恰好いいようだ。