トヨタが燃料電池車を年内に発売|Toyota
Toyota FCV|トヨタ FCV
トヨタが燃料電池車を年内に発売
トヨタは、東京モーターショーで発表した燃料電池車(FCV)を、今年中に国内で発売すると発表した。
Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)
1充填の航続距離は700km
1997年に初のハイブリッド自動車「プリウス」を市販化して以来、その後のハイブリッド化の波をつくりだしたトヨタが、またあらたなエネルギーソースの自動車を登場させる。昨年11月の東京モーターショーにおいて、近年中に販売開始すると宣言されていた燃料電池車(FCV)が、日本国内限定で年内にも発売される見通しとなった。
燃料電池車(FCV)は、水素(H2)と酸素(O)を化学反応させて、水(H2O)と電気を発生させるという、単純な仕組みで動力源を得る。燃料となる水素はあらゆるところに遍在し、酸素は空気中から供給する。そして排出するのは水のみというクリーンなエネルギーとして注目を集めている。しかし、そのいっぽうで、実際には安全な水素の貯蔵方法や安定して効率的なエネルギー取得の方法など、信頼性の高い機構として実用化するには技術的な課題が多く、各メーカーが研究を重ねている。
それらの成果として、いままでもコンセプトカーをはじめ、実験車両など数おおくの水素自動車が発表されてきた。現在でも、ホンダは「FCXクラリティ」を、企業や公官庁限定でリース販売をしている。
トヨタでは化学反応で発電するFCスタックや水素を高圧で貯蔵するタンクなどを20年以上にわたって研究をつづけ、ついに2014年、燃料電池車の市販化にこぎつけた。
発売されるのは、東京モーターショーにてワールドプレミアを飾った「FCVコンセプト」を発展させたモデル。このときには2015年発売とアナウンスされていたが、国内では前倒しで年内には店頭で買えることになった。
車両の詳細、性能などは未発表であるものの、価格は700万円前後を予定。航続距離は約700kmで、1回の水素充填にかかる時間は、設備によって前後するものの、およそ3分程度とガソリン並みだという。
日本国内での販売は、まずはじめに水素ステーションの整備が予定されている地域、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、山梨県、愛知県、大阪府、兵庫県、山口県、福岡県からはじまり、ステーションが整備され次第、全国に広めてゆく予定だ。さらに2015年夏には欧米でも販売を計画している。
従来からのガソリン、ディーゼルにくわえ、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、そしてあらたに登場したFCV。パワーソースという切り口でも、選択肢の幅が広がるというのはユーザーにとってメリットは高い。
今後この技術はトヨタグループの各社を通じ、バス、トラック、フォークリフトといった商用車分野や、家庭用発電機などにも応用してゆくという。