EVENT|国内初! 古墳でプロジェクションマッピング
EVENT|国内初! 古墳でプロジェクションマッピング
3月1日(土)、2日(日)、奈良・高松塚に四神が舞う
千年以上の歴史をもつ古墳で、話題の映像インスタレーション「プロジェクションマッピング」を体験──。そんな夢のような企画が、奈良・明日香村を舞台に繰り広げられている。
Photographs by Jamie GoodenoughText by TANAKA Junko (OPENERS)
“幻”の朱雀、現代に蘇る
1972年、日本ではじめて極彩色(ごくさいしき)壁画が発見された。奈良・明日香村に位置する「高松塚古墳」。7世紀から8世紀はじめにかけて造られた二段式の円墳である。石室の天井には星宿(星座)、周囲の壁には、東西南北を司る四神(しじん)が描かれ、死者が永遠の眠りにつくための小宇宙を形成している。
国宝に指定されているこの壁画。鎌倉時代に盗掘を受けており、発見されたときには、すでに大きな傷を負っていた。たとえば四神のうち、南方を司る朱雀(すざく)。南壁に開けられた盗難穴によって、跡形もなく消え失せていたという。残った壁画も、雨水の侵入やカビの発生によって劣化が進んでいたため、2006年に解体され、現在は文化庁の施設で修復作業がおこなわれている。
高松塚古墳がたどってきた“傷だらけ”の歴史。それに心を打たれ、朱雀を含めた四神の勇姿を、映像の力で蘇らせた人たちがいる。大阪を拠点に活躍するVJ/映像空間作家のColo GraPhonic、スコットランド出身の映像作家、Jamie Goodenoughという、日本と英国のアーティストだ。
「失われた朱雀を、現代に蘇らせる。それが出発点だった」と振り返る二人。手がけたのは5分間の映像作品。4台のプロジェクターと、6台のスピーカーを使って、青竜(せいりゅう)、白虎(びゃっこ)、玄武(げんぶ)、そして朱雀が星空に舞う様子を表現する。
建物や空間にCG映像を映し出す、プロジェクションマッピング。“究極の映像体験”と称されるゆえんは、立体的なスクリーンと最新鋭の映像技術を掛け合わせることで、特殊なメガネをかけなくても、裸眼の状態で3D映画のような体験が得られること。最近では、東京駅や大阪城などの大型施設でも実施され、市民権を得つつあるが、古墳をスクリーンにするのは、今回がはじめての試みとなる。
「いろいろな場所でプロジェクションマッピングをやってきたが、なにに映像を当てるか、そこにどんなつながりがあるのかが重要だと思う。今回のテーマは、時代を越えたコラボレーション。古墳を造った職人たちが石室に描き出した“小宇宙”を、彼らが想像もしていなかったような形で蘇らせる。そこに面白さを感じた」と話す二人。1300年というときを越えて、二つの世界観が一体になる瞬間を、その目で見届けてほしい。
360°プロジェクションマッピング in 高松塚古墳 ~よみがえる四神~
「SPACE ECHO 回光(かいこう)」
日程|3月1日(土)、2日(日)
時間|17:30~21:00
会場|高松塚古墳
奈良県高市郡明日香村平田538 国営飛鳥歴史公園内
※石舞台古墳駐車場から無料バスが運行
料金|無料
https://www.facebook.com/hikarutakamatu0222
問い合わせ
国営飛鳥歴史公園 飛鳥管理センター
Tel. 0744-54-2441