マツダ CX-5|日本市場に新世代クリーンディーゼル車投入
MAZDA CX-5|マツダ CX-5
マツダ、日本市場に新世代クリーンディーゼル車投入
マツダは、9月のフランクフルトモーターショウでワールドプレミアとなった、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D2.2」を搭載するコンパクトSUV「CX-5」を、日本市場に投入することを発表した。
文=OPENERS写真=望月浩彦
世界一のディーゼルエンジン低圧縮比(14.0)を達成
2011年9月におこなわれたフランクフルトモーターショウで公開されたコンパクトSUV「CX-5」は、直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G2.0」のほかに、CO2排出量120g/kmという同クラスのSUVでは突出した環境性能をもつディーゼルエンジン「SKYACTIV-D2.2」搭載車もラインナップされることが発表されていた。
従来のクリーンディーゼル車は、欧州などで積極的に開発され、実際に乗用車のマーケットシェアの過半数を占めている。そのいっぽうで、排出ガス規制に適合するためのNOx(窒素酸化物)後処理装置が高価であるなどの理由から、これまで日本市場ではメルセデス・ベンツのEクラスやMクラス、国産では日産 エクストレイルが導入されているだけで、シェアは1パーセントに満たない。しかし、今回マツダから、2012年春のCX-5発売から順次クリーンディーゼル車を投入することが発表された。
一般的にディーゼルエンジンは圧縮比が高く、ピストン上死点における圧縮温度、圧力が高くなり、適切な混合気が形成される前に着火し、局所的で不均一な燃焼が起こってしまう。そのため、NOx生成やススの発生を招いてしまう。このたびマツダが独自に開発したクリーンディーゼルは、世界一の低圧縮比(14.0)を達成したことで、燃焼そのものをクリーンにし、NOx後処理装置を不必要にしたとしている。さらに大小2個のターボチャージャーを運転領域によって使いわける2ステージターボチャージャーを採用したことにより、高トルク、高レスポンスを実現した。
4リッターV6エンジン並みの最大トルク420Nmと燃費18.6km/ℓを両立
これらの結果、SKYACTIV-D2.2は、安価な軽油を使用しながらも、4リッターV6エンジン並みと謳われる最大トルク420Nm、JC08モード燃費18.6km/ℓという優秀な数値を実現したという。
さらにCX-5には、ディーゼル用に開発しなおした「i-stop」というアイドリングストップシステムを備えている。このi-stopは、このたび同時に発表されたアテンザの後継たるコンセプトモデル「雄(TAKERI)」にも搭載しており、マツダが推し進める「ビルディングブロック」という戦略の一貫だとしている。
段階的に電気デバイスを導入していく「ビルディングブロック」
近年、世界中でハイブリッド車や電気自動車の開発が盛んになるなか、自動車の性能は、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなどの既存の技術と、電気デバイスをふくめた総合力で語られるようになった。この現状にたいし、マツダがとった方法が、内燃機関をはじめとするベースの技術を改良していきながら、段階的に電気デバイスを導入していく戦略「ビルディングブロック」である。ビルディングブロックは3段階にわかれている。ステップ1が上記の「i-stop」、ステップ2が雄(TAKERI)に採用される減速エネルギー回生システム。そして、そのつぎにやってくるのがモーター駆動、つまりハイブリッドシステムの導入である。
マツダによると、「ベースとなる内燃機関の効率を向上させることで、モーターとバッテリーの小型化を図ることができる。段階を経ていきながら開発を進めることで、マツダ車が本来もっている“走るよろこび”を保持したハイブリッド車をつくることが可能になる」という。
ステップ1であるCX-5は、2011年1月におこなわれたジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトモデル「勢(MINAGI)」の市販モデル、次期アテンザと謳われる減速エネルギー回生システムを備えた雄(TAKERI)がステップ2と考えると、つぎに登場するコンセプトモデルはハイブリッド車である可能性が高い。
マツダは、11月30日より開催される第42回東京モーターショーでSKYACTIV-D2.2を搭載したCX-5を出展する予定。エコカー市場に独自のテクノロジーでアプローチするマツダのあらたな試みに期待したい。