ダイバーズウオッチのスタイルを築いた、現存する世界最古の時計ブランド|BLANCPAIN
Watch & Jewelry
2018年12月11日

ダイバーズウオッチのスタイルを築いた、現存する世界最古の時計ブランド|BLANCPAIN

Presented by BLANCPAIN

BLANCPAIN|ブランパン
短期集中連載 BLANCPAIN 第3回

BLANCPAIN 2018年新作ハイライト

2018年のBLANCPAINは、良質なデイリーコンプリケーションモデルが目立ちました。機械式時計の楽しみ、メカニズムの面白さを備えながら、日常生活で十分に使える耐久性と実用性を持たせたモデルです。価格の面でも、一流ラグジュアリーウオッチのなかではこなれたプライスゾーンで展開し、これまた使いやすさを押し出しています。時計をコレクトするのもいいですが、やはり使えばこそ発見があるもの。2018年の新作を改めて見返していくうちに、そんなブランドからのメッセージが聞こえてきました。

Photographs by SHIBASAKI Fumito(donna)Text by TSUCHIDA Takashi

グラマラスな魅力はそのまま、6時位置に大きくて見やすいデイト表示を搭載

BLANCPAIN|ブランパン

BLANCPAIN|ブランパン

フィフティ ファゾムス ラージデイト
ムーブメント|自動巻き(Cal.6918B)
ケース素材|チタニウム
ケース径|45mm
ケースバック|サファイアケースバック
ストラップ素材|セイルキャンバス
価格|173万円(税別)

このモデルでは、「フィフティ ファゾムス」の魅力を何ひとつ削ぐことなく、実用的なラージデイト機構を組み込むことに成功しています。

通常の「フィフティ ファゾムス」では、デイト表示の扱いを敢えて一段下げて、4時と5時位置の間にレイアウトされていますが、このモデルでは6時位置に表示ディスクを備えています。まず、この位置にデイト表示が置かれていること自体が読みやすさにつながっています。なぜなら時刻表示面と同じ角度で日付が示されているから。目線の移動が自然なのです。

デイト表示は、文字盤と同じく黒背景に白数字ですが、定番モデルのデイト表示のポイントサイズだと、時刻表示、潜水時間表示の読みやすさにはかなわず、やはりこちらを第一に掲げている印象です。しかし、このラージデイトはダイバーズウオッチの判読性を妨げず、日付け数字を一瞬で分かりやすく伝えています。3時と9時のインデックスをアラビア数字から楔形へと変更、水平方向のアイキャッチを押さえて、6時位置のデイト表示を引き立たせているのです。

しかも、日付を示す数字がダイアルデザインの邪魔をせず、オリジナルの雰囲気にとてもうまく溶け込んでいます。むしろ、こちらがオリジナル? なくらいヴィンテージ感が出ている気さえするのです。また「フィフティ ファゾムス」は、ダイヤモンドに次ぐ硬度と言われるサファイアのベゼルをまるで浮き輪のように立体的にしたグラマラスな3D曲面が魅力ですが、そのニュアンスをまったく阻害せず、表示情報を積み重ねている点において、このモデルの功績はとても大きいと思います。

ケースをさりげなくチタニウムとしているところも素敵です。キリッと締まって見えるグレイッシュなカラーも魅力のチタンケースは、その外見的訴求力だけでなく、軽量かつ堅牢で、優れた耐圧性を備えているという非常に高い実用性を備えています。さらにはアレルギーを起こしにくく、磁力の影響も受けづらいという特性もあります。

搭載するキャリバー6918Bは、3つの香箱を用いて5日間に及ぶロングパワーリザーブを実現する秀逸なマニュファクチュールムーブメントです。この長時間駆動も、潜水時にゼンマイが切れないように、あるいはゼンマイを巻く操作を極力減らすことで時計の水密性を担保しようとするものであり、ダイバーズウオッチとして理に適う設計となっています。

アニュアルカレンダーを搭載した“コンプリケーション・ダイバーズ”

BLANCPAIN|ブランパン

BLANCPAIN|ブランパン

フィフティ ファゾムス バチスカーフ アニュアルカレンダー
ムーブメント|自動巻き(Cal.6054.P)
ケース素材|SS(サテン仕上げ)
ケース径|43mm
ケースバック|サファイアケースバック
ストラップ素材|NATOファブリック
価格|258万円(税別)

「バチスカーフ」のシンプルなダイアルデザインを利用して、3つの小窓に曜日・日付・月を一列表示しています。モジュールの後載せながら、無理なく小窓が並んでいるのがとても気持ちよく、まるで最初からこのためにスペースを空けておいたのでは? と、思えるぐらいです。

“アニュアルカレンダー”とは、年に1回、毎年3月1日に日付調整するだけで、ほかの月の30日、31日の違いをすべて自動判別するものです。この機構は2月の大小および閏年をも判別するパーペチュアルカレンダーの弟分のような位置づけですが、逆に過度にデリケートな扱いを必要としない分、毎日実際に持ち歩ける“実用コンプリケーション”として人気があります。

ちなみに「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」とは、「フィフティ ファゾムス」が世に出た1953年から3年後の1956年に、日常使いに適したダイバーズウオッチとして発表されたモデルですが、なるほど陸の上での使い勝手を高めようとした新作の開発思想は、これまた初代モデルと変わっていません。

逆回転防止ベゼルは、リキッドメタル®製インデックスにセラミックを施したものです。目盛りの際までクッキリとしているのは、この異素材を巧みに組み合わせているからです。バチスカーフは定番「フィフティ ファゾムス」に比べてシャープなイメージを加速させていますが、それはこのベゼル形状によるところが大きいようです。

“日常使い”をテーマにすることで、蓄光部はひし形マーク1箇所としていますが、逆に、太陽のもとでインデックスをクッキリと見せるアプローチをしているようです。しかもダイアルカラーのメテオグレーに合わせたグレイッシュなベゼルがシブい。ハードボイルドな男の人生感を表しているのです。

時計ケースも直線的で、シンプル。ケースフォルムをいじらず、正面から観たままの武骨さを形成しています。リュウズガードをなくし、大型リュウズを剥き出しにしているのも、コンセプトに適っています。

ちなみに、この「フィフティ ファゾムス バチスカーフ アニュアルカレンダー」の時計ケースはSSです。同じく新作の「フィフティ ファゾムス ラージデイト」の時計ケースはチタニウムで浅黒さを出していますが、こちらはサテン仕上げによる光の吸収で同様のニュアンスを出しています。

クラシックスタイルをモダンに解釈した、ブランパン得意のタイムレスデザイン

BLANCPAIN|ブランパン

ヴィルレ コンプリートカレンダー GMT
ムーブメント|自動巻き(Cal.67A5)
ケース素材|SS
ケース径|40mm
ケースバック|サファイアケースバック
ストラップ素材|アリゲーター
価格|157万円(税別)

コンプリートカレンダーとは、12時下の小窓で曜日・月を、ブルースチールの蛇行した針(サーペント針)にて日付を表示することから付けられています。

ブランパンはこの「コンプリートカレンダー GMT」を2002年に発表。以来、ブランドを代表するモデルのひとつとして作り続けてきました。ただしこのモデルには2つの進化があります。ひとつは、自社製のムーブメントに、高い耐磁性と極めて正確な精度を保証するシリコン製ヒゲゼンマイを採用したこと。そしてもうひとつが、ブランパンが特許を持つ、アンダーラグコレクターです。

このアンダーラグコレクターを詳しく説明していきましょう。一般的な3針モデルの針合わせは、リュウズですべて操作できます。しかし、このモデルのように表示箇所がたくさんあると、リュウズ操作だけではとても間に合いません。そこで、多くのモデルではケースサイドに小さなプッシュボタンを設け、リュウズと連動させてこのプッシュボタンを押すことで日付やその他の早送りを行ないます。ただし、このプッシュボタンも押すのが面倒。ボタンが小さく、指ではとても押せません。

専用のプッシュピンを使うか、もしくは時計には良くないものの、爪楊枝で間に合わせてしまうという人もいるようです。しかしこれもユーザーにとっては案外面倒なものなのです。なぜなら修正作業をする時は、たいていが出掛ける直前。身支度で慌ただしいときです。そんなときに、修正用のプッシュピンがすぐ見つからなかったり、手元にあっても、小さなボタンをピンで押したりするのは、けっこう手間のかかる作業です。

というわけで、ブランパンが考案したのがラグの裏側にプッシュボタンを付けるというアイデア。これなら日常で誤操作が起きにくく、操作時も指の腹でシンプルに操作可能。とても実用的です。ちなみに、このモデルは永久カレンダーではないのですが、だからこそ連動性を考慮することなく、各窓、各針を個別に修正できるから便利。針合わせの簡便さまで考慮に入れた実用性能として、かゆいところに手が届いているモデルと言えましょう。

さて、もう一度、ダイアルに目を向けてください。とても精緻な作りです。ブランパンのなかでも格上のコンプリケーションモデル譲りというべきなのでしょうが、繊細なデザインを手間と時間を惜しまず、完成させています。しかもローマ数字インデックスの華奢さといったら……。BLANCPAINは現存する世界最古のブランドなのですが、そのクラシカルさをモダンに解釈するセンスの良さでも、他を圧倒するものがあると私は思っています。

いわゆるデイ・デイト。なのに、こんなにも優雅で、こんなにもエレガント

BLANCPAIN|ブランパン

ヴィルレ ラージデイト レトログレードデイ
ムーブメント|自動巻き(Cal.6950GJ)
ケース素材|18KRG
ケース径|40mm
ケースバック|サファイアケースバック
ストラップ素材|アリゲーター
価格|240万円(税別)

7時から9時位置にかけてレトログレード機構による曜日表示、5時と6時の間にラージデイト機構による日付表示。まるで機械式時計の新旧表示方式が対峙している構図です。もちろん“新”はラージデイトで“旧”はレトログレード。

日付表示がなぜ“新”なのかと言えば、これももう皆さんご存知と思いますが、ダイアル枠に対して日付のフォントを明らかに大きく示すために、日付の十の位と一の位で、それぞれ異なるディスクを組み合わせて、ふた桁の日付を示しているからです。この方式が腕時計に採用されるようになったのは1990年代以降。決して昔のことではありません。

実際には、ふたつのディスクを重ねなければ収まらないほどに数字のフォントを大きくしているところに注目してみてください。にもかかわらず、ふたつの数字には奥行きの差がないのです。これがラージデイトのテクニック。奥行きが同じということは、ふたつの数字を同等にクッキリと見せられることに繋がります。

一方で、レトログレードとは扇形の針が端まで動くと瞬時に最初の位置に戻り、再び針が一方向に動く機構。

このモデルでは曜日表示としているのですが、針は夜中の毎正時にピシッと動きます。この毎正時に一瞬で送られるシステムは、日付も一緒。曜日も日付もピシッと変わり、次の日付、次の曜日でピシッピシッと止まります。その折り目正しい動きが毎夜、真夜中に訪れるので、夜更かし気味にはなるものの、時計を愛でるには好都合だったりもします。

このモデルもアンダーラグコレクターを備え、曜日はコレクター操作で送り修正します。一方、デイト表示はリュウズにて。工具いらずで、非常にシンプルです。

ブランパン発祥の地より名付けられた、マニュファクチュールにとって最もクラシカルなコレクションの「ヴィルレ」。そのモデルは皆、純粋なシルエット、明瞭なダイアルを持ち、スレンダーなダブルステップベゼルのケースでエレガントな様相をまとわせています。そして毎年発表される新作からは、時計の価値に対するマニュファクチュールの揺るぎないこだわりと、その長い伝統をベースにした革新性が感じられます。「ヴィルレ」は決して派手なデザインではないのですが、単なるクラシックではないモダンミクスチャーな印象、それがこのコレクションの魅力であり、背後にあるアクロバティックな職人の仕事をつゆも感じさせない品の良さ、それがBLANCPAINらしさでもあるのです。

問い合わせ先

ブランパン ブティック銀座

Tel.03-6254-7233

http://www.blancpain.com/ja

           
Photo Gallery