ダイバーズウオッチのスタイルを築いた、現存する世界最古の時計ブランド|BLANCPAIN
Presented by BLANCPAINBLANCPAIN|ブランパン
短期集中連載 BLANCPAIN 第1回
世界初のモダンダイバーズ
「フィフティ ファゾムス」誕生のストーリー
腕時計のなかでもとりわけ人気の高いダイバーズウオッチ。その元祖とされる世界初のモダンダイバーズモデルを開発、1953年に発表したのがBLANCPAINである。以降、すべてのダイバーズウオッチの規範となり、性能、品質の牽引役となってきた「フィフティ ファゾムス」は、今年、誕生から65年の節目を迎えている。ここでは改めて「フィフティ ファゾムス」が生まれた経緯、そしてブランドの歴史を振り返りたい。
Photographs by SHIBASAKI Fumito(donna)Text by KOIZUMI Yoko
どんなに過酷な状況下でも絶対的な信頼を寄せられる時計として
1950年から30年間にわたり、BLANCPAINのCEOを務めたジャン-ジャック・フィスター。ダイバーとしてもキャリア豊富だった彼は、その専門的見地から、ダイバーの命を守るには高性能の時計が不可欠と考えていた。
しかしながら、それに見合う時計がいまだリリースされていなかった事実を知る。そこで彼は時計師とともに、水中でも正しく計時できる腕時計の開発を急いだのだ。
もちろん開発における最重要課題は、防水性である。
この問題を解決するため、BLANCPAINは二重密閉構造のリュウズシステムを開発。リュウズ内部にふたつのOリングを備え、潜水中に誤ってリュウズが引かれても、時計内部への浸水を防ぐことに成功した。後に、フィスターはこの特許を取得する。
またフィスターは、裏蓋の密閉構造でも特許を取得した。他の既存のシステムでは、裏蓋をネジで留める際にOリングが歪み、これを要因とする浸水事例があった。そこでBLANCPAINは、防水性を高めるために補助的なメタルディスクを用いて、Oリングが定位置で固定される方法を考案した。
世に認められ、以降の業界全体におけるダイバーズウオッチの定義を確立したのだ。さらに付け加えると、のちにBLANCPAINは、潜水中のさらなる安全確保のため、逆回転操作そのものを防止するベゼルをダイバーズウオッチに導入した。
一方でフィスターは、濁った水中でも視認性を確保するべく黒ダイアルを大型化し、インデックスと針に白色蛍光塗料を塗布するというアイデアも考案。BLACK & WHITEのコントラストが織りなす“普遍の顔”は、こうして誕生したのである。
またリュウズの摩耗を防ぐために、自動巻きムーブメントの搭載も必須であった。ダイバーズウオッチの開発に心血を注いだフィスターのアイデアはすべてが盛り込まれ、「フィフティ ファゾムス」は形作られていく。
さて、BLANCPAINのダイバーズウオッチ開発には、前述のフィスターの他にも深く関わった人物がいた。新設されたフランス海軍の潜水部隊用に高性能のダイバーズウオッチを探求していた、ロベール“ボブ”マルビエ大尉とクロード・リフォ中尉である。
1953年、理想のダイバーズウオッチを求める男たちが出会う。フィスターは、時計師らとともに製作したダイバーズウオッチ「フィフティ ファゾムス」をフランス海軍に納品。その腕時計は、すべてのテストで優れた結果を収め、以降「フィフティ ファゾムス」はフランス海軍潜水戦闘部隊にとって欠かすことのできない装備品となった。
「フィフティ ファゾムス」は、フランス海軍以外にもアメリカやドイツ、イスラエルなどの各国海軍に正式採用。海洋探査の世界的リーダーとして有名なフランスのGERS(深海研究調査グループ)の装備品にもなり、学術部門への貢献も果たしている。そして世界的に有名なダイバーであるジャック-イヴ・クストーとそのチームが、カンヌ映画祭でグランプリに輝いたドキュメンタリー映画『沈黙の世界』の撮影中に着用したのも、「フィフティ ファゾムス」だった。
結局、BLANCPAINにとって「フィフティ ファゾムス」とは何か?
BLANCPAINは、20世紀に海洋フィールドにおいて重要な役割を果たす「フィフティ ファゾムス」を生み出し、ダイバーズウオッチという新たなジャンルを創出した。こうして海とのつながりを深めたBLANCPAINは、長年幅広い海洋保全活動に取り組んでいる。
2014年には、すべての海洋保全活動を「ブランパン オーシャン コミットメント」の名のもとに統合し、新たな活動もスタート。
同年には、時計を購入することによって売上げの一部が寄付される限定品のダイバーズウォッチ第一弾も発表し、その成功を受けてこれまでに第三弾まで続いている。その規模は他のマスブランドに比べても大きな存在感を示していると言えよう。
BLANCPAINの一貫したブレない姿勢については、その歴史を見れば、当然のことと思えてくる。
BLANCPAINは1735年、スイスのジュラ山脈で、ジャン-ジャック・ブランパンによって創設され、現存する世界最古の時計ブランドとして、数々の時計史に残る発明、名品を残しているマニュファクチュールだ。
1970年代、スイス時計業界に壊滅的な打撃を与えたクォーツショックの際にもBLANCPAINはその姿勢を変えずに、クオーツモデルを1モデルも手掛けることなく機械式時計の神髄を届け続けた。もちろん、その姿勢は、今日の世界的な高級機械式時計の復活を導く原動力につながった。
BLANCPAINには、機械式時計の開発に対する並々ならぬ思いがある。その証左にひとつと言えるのが、1989年に発表された世界初のフライング トゥールビヨン。世界で最も薄いトゥールビヨンでもある「キャリバー23」の存在である。ほかにも、世界最小のコンプリートカレンダー ムーンフェイズや、世界最薄の自動巻きクロノグラフ、世界最小のミニッツリピーター、世界初のワン ミニット フライング カルーセルなど、数多くの世界的な偉業を成し遂げてきた。
そしてBLANCPAINは、過去12年間だけでも、37個もの高級キャリバーを発表しており、伝統と革新を融合させたマニュファクチュールとしての地位を確立。同時に「フィフティ ファゾムス」もまた、ブランパンを代表する大切なアイテムとして、さらなる進化を遂げている。
世界最古の時計ブランドは、ドレスウオッチメイキングに見られるスイス最高品質の時計づくりを、ダイバーズウオッチにも広げ、
質実剛健さとエレガンスを両立させている。数あるダイバーズウオッチのなかでも、「フィフティ ファゾムス」に別格の魅力が備わっているのはこのためだ。