戸田恵子 × 植木 豪対談|アニバーサリーライブにて「BGブランド」新作を初披露!
アニバーサリーライブ『ROUTE 55』にて初披露!
戸田恵子 × 植木 豪によるBGコンビ、新作を語る(1)
女優、戸田恵子さんとダンサーの植木 豪さんによるユニット「BGブランド」より、新作アイテムが登場。今作は戸田さんの55歳の誕生日にちなんだアニバーサリー仕様だ。“55”をキーワードにしたデザインのポイント、また新作アイテムのお披露目となったライブツアーについてふたりに聞いた。
Photographs by OHMORI Sunao(TABLEROCK)Text by FUJITA Mayu(OPENERS)
Tシャツにプリントされた写真、じつは私なんです!
──今回は戸田さんの55歳の誕生日にちなんだデザインになっているんですよね。
戸田恵子(以下、戸田) アニバーサリーということで、いつもよりバージョンアップして、Tシャツ2色とパーカを制作しました。Tシャツにプリントされている写真は、じつは私です。5年前にも私の写真をイラストみたいに小さく入れたことはありましたが、今回は55歳の記念の年ということもあり、思い切って写真メインのデザインにしたいねって話していて。でも、あまり生々しい写真だと普段着れないでしょう(笑)? だから一見すると誰だかわからないような、雰囲気のある写真に仕上げてデザインに組み込んであります。
植木 豪(以下、植木) 撮影は僕の友人がしているんですけど、いろんな感じでけっこう撮りましたね。そのなかでTシャツにしやすいというか、はまりそうなやつを探して、またそれを加工して。写真ありきでデザインを進めていきました。
戸田 最終段階、写真が上がってからまたちょっと時間がかかったのよね。どのぐらい誰だかわからなくするかって。最初持ってきてくれたやつがかなりわかる感じだったんですよ。だから、もっともっともっと!って(笑)。私としては、聞かれたら「あぁ~」っていうぐらいがいいってずっと思っていたので。
植木 僕からしたらわかんないと思うんですけど、まぁ本人はね(笑)。写真選びも、写真の鮮明さも、トリミングするサイズ感も、写真にかんする工程は手こずりました。
──そのほかのデザイン構成は最初から決めていた?
植木 そうですね、ポイントで入れる言葉も決まってました。で、写真が決まってから動かして、バランスとってという感じです。アニバーサリーというテーマがしっかり決まってましたから、そういう意味ではやりやすかったです。
こだわりの霜降りグレー×ピンク箔のフレッシュなインパクト
戸田 グレーのTシャツにピンクで“55”と入れることだけは決めていて。でも、それを箔にするかしないかでも悩みました。結局、豪くんも箔を推していたので今回は箔に。当然箔だと目立つのですが、“55”ってカタチがすごくグラフィカルなので、デザイン的にあまり気にならないんじゃないかな。
植木 あったほうがね、ちょっと豪華というか。でも、あんまり入れすぎたらきついのでワンポイントでドンッと。ライブ会場でさっそく着てくれていたお客さんがいたんですけど、それを見ながらやっぱりいいなと思いました。
戸田 Tシャツ地のグレーの色味もこだわりました。霜降りって決めていたんですけど、ただでさえグレーの色味って幅が広いうえに、霜降りにもいろいろあって。さらに「BGブランド」は洗ってもくたびれない、ボディラインの変わらない、Tシャツそのものの質の高さにこだわってきましたから、黒の要素が多いこの霜降りグレーで、このクオリティの生地ってじつは難しくて。でも、どうしてもこれがいい!と突き通しました(笑)。
アニバーサリーライブ『ROUTE 55』にて初披露!
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ブラック×ブラックでさりげなく、BGオリジナルモノグラムをオンしたパーカ
──腕のデザインは以前トートバッグを作られたさいに登場したモノグラムパターンですか?
植木 いや、モノグラムは要素がひとつ増えると配置がすべて変わってくるので、あれからずいぶん構成を変えてバージョンアップしています。前回同様クラウンやエンブレム、スカルといった「BGブランド」の定番モチーフにプラス、あらたに“55”を組み込んでレイアウトしなおしたスペシャルモノグラムです。
戸田 トートバッグ同様、今回も黒地に黒の文字でさりげなくプリントしたかったのだけど、今回のパーカはガンガン着倒してもらえるようにポリエステルのジャージ素材を使ったんです。だからキャンバスのトートにプリントするような仕上がりにはならいよって話になり……。
植木 ポリエステルなら着倒してもだらしなく伸びちゃうことはないし、洗濯を繰り返しても色落ちしないので、長く着てもらえるんじゃないかな。問題のプリントについては業者の方にもいろいろ相談して、黒地に黒のラバープリントで仕上げることにしました。
戸田 黒地に黒でもちゃんとわかるというのもポイントだったので、質感の異なるラバープリントは大成功でした。袖だけでなく、フードにもプリントしているのがポイントです。
植木 フードまですべて閉まるファスナーはデザインのアクセントに。オールブラックのなかに、胸もとのプリントとシルバーで合わせてポイントになっています。僕は首もとを立ち上げるように高い位置までファスナーを締めて着ています。着こなしの提案ということもあるけど、暖かいというかなり実用的な理由もあったり(笑)。
バイクにまたがり“ルート55”をワイルドに驀進、まだまだいくよ!
──胸もとのプリントの絵柄は?
植木 これは女性とバイクと“55”。“ルート55”という架空の道をヤンキーお姉さんが走っている、というイメージ。この女性は姉さんというわけではないのですが(笑)。
戸田 クルマではなく、バイクに乗るイメージなんだって豪くんが言っていて。この女性が私かどうかはさておき、“55”のアニバーサリーって、クルマの落ち着きではなく、まだバイクなんだ。そういうイメージ、そういう意味なんだなって。
植木 モチーフがクルマかバイクかって、意味が大きくちがいますよね。「まだまだいくよ!」ってイメージで作りました。
戸田 以前にも一度パーカを作っていますが、それとはまた印象のちがう仕上がりで、ほんと大満足です。おなじジャージ素材で、以前のものはスタッズが打ってあったり、よりカジュアルかな。今回はぐっと落ち着いたデザインになっているので、好みや着こなしによってチョイスできるアイテムの幅が広がりました。
──ライブもアニバーサリーを意識した特別なものに?
戸田 そう、アニバーサリーということでスペシャルライブに。通常はライブハウスだけど、今回はライブハウスを出て劇場型の会場にパワーアップしていたり、演出も堤 幸彦監督にお願いしたりと、フリーライブとはちょっとちがう、作り込んだライブショーになりました。アクト1、アクト2の二部構成になっていて、アクト1ではちょっとしたお芝居を。
植木 ショーケースですね。セリフを言うわけではないんだけど、演技しつつ、セリフが字幕で流れるという。
戸田 一応設定としては、劇場にストリートダンサーやブレイクダンサーが踊っていて、私はステージの掃除のおばちゃん。ず~っとそこでお掃除をしているんだけど、じつは昔は自分もプレイヤーだったっていう過去をもっているんですね。
植木 ストーリーのなかに持ち歌だったり、マイケル・ジャクソンの「ビリージーン」だったり、音楽が組み込まれてくるんですけど、まるでミュージカルみたに、なにか感情があると歌になっていく。
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ダンスの世界チャンピオン3人によるパフォーマンスは圧巻!
──ストーリーは?
戸田 その日は掃除のおばちゃんの誕生日っていう設定なんです。彼女は毎年ひとり寂しく誕生日を過ごしていて、ちょっとマジックをしてみたり、モップにコートを着せて恋人に見立てて踊ったりしてひとり遊んでいることを、じつはダンサーたちは毎年見てて知っていた、というストーリーで……
植木 最後はハッピーエンドですね。
戸田 小さいけど、ちょっと小粋な作品にしたかったので、なにかおもしろいことをしたいって監督とも相談して。マジックをやりたいとは前から話していたので、花をだして自分で飾って、誕生日を寂しく祝うってマジックに挑戦しました。選曲も『Welcom My Birthday』という少し切ない歌でね、それを歌いながらマジックをするというところから発想して一部は作ってもらいました。どこかの劇場の掃除をやっているひと、というイメージは最初からあって。そこに豪と、内海貴司くん、大野愛地くんというふたりのダンス世界チャンピオンが踊ってくれて、三人の世界チャンピオンが揃うすばらしいステージになりました。
──ダンスの構成はすべて豪さんが?
植木 そうですね、ダンスのパートは音楽も僕が選んでいます。ふたりともよく知っているので、すごくスムーズに仕上げていけました。
戸田 これまでずっと一緒にやってきている意味は、やっぱりストリートダンサーたちをすごくリスペクトしているし、私のファンのひとにも見てもらいたい、知ってもらいたいんですよね。私たちの世界もそうだけど、なかなか足を運ぶって大変なことですから、見ないひとは本当に見ないんですよね。
私のライブに来て、これまで知らなかったダンスのすばらしさにも出合えたら、それって自分の世界が広がるひとつのチャンスだし、なんだかお得な感じがするじゃない(笑)? 実際にお客さんを見ていても、みんなすごくびっくりしているし、楽しんでくれているのでとてもうれしいです。
「ショー全体をよくしようっていう気持ちがみんなすごくあって、うれしかった」
──豪さんは今回のライブで、あたらしい試みはありましたか?
植木 あたらしい試み、というよりは集大成といった感じですね。自分のライブではチャレンジしなきゃいけないし、いままでにないものをいろいろとやっていくけど、今回は、いままでやってきたことをしっかり見せることをとくに意識しました。
ずっと前から知っているダンサーたちと一緒にできたことは本当に楽しかったです! 大枠の流れは決まってますけど、ヘッドスピンの回る時間だったり、逆立ちも微妙に技が変わったり、誰がどんなものを出してくるかわからないので、毎回その場でどんどん考えながらやってました。スピンが意外とはやく終わっちゃった! なんて瞬間も、あとはまかせたみたいな顔してアイコンタクトしてきたり(笑)。3人とも個性がちがうから技もぶつからないし、どう転んでも埋められますからね。そのほうがおもしろいし。
──みなさん世界チャンピオンなんて、豪華ですよね。
戸田 聞くのと見るのとではおおちがいで、レベルが全然ちがうので驚きますよ。世界を獲ったクラスのひとが集結すると、やっぱり圧倒されます。みんなポカーンとしちゃう。
植木 彼らのことはもともと知ってはいたのですが、知り合ったのは最近なんです。1日一緒に練習すれば、だいたい相手がどういう考えでダンスやってるかとか、頭固いとか、技を見てるとわかるんです。世界チャンピオンはいっぱいいるけど、そういう意味で僕らは方向性というか、通じ合うところがあるからやってみようってことになったんですよね。
戸田 みんなすごく一生懸命練習していて、バンドさんも、日本で一番古いといわれる名古屋の有名なロックバンド“センチメンタル・シティ・ロマンス”のみなさんだったんですけど、ベストを尽くすだけでなく、なおかつ進化していくんです。私のライブショーのために、と言ってしまうとあれだけど、同じところに目的をもっているということが、ショー全体をよくしようっていう気持ちがみんなすごくあって、うれしかったですね。
植木 姉さんがリハをすごく気合いを入れてやっているので、それを受けてだと思いますよ。
ダンスメンバーに「姉さんのリハどう?」って聞いてみたら、「気合入ってます!」って。「一生懸命ですね」とかじゃなくて“気合い”って(笑)。誰かが適当だったらバランスって崩れるんですけど、そういうことのないひとが集まったというか。たぶんみんな一瞬は「今日はいかんな……」っていう時期もあったと思うんです、人間ですから。でもそこで踏ん張ってきたひとが集まっているのかなって思います。
アニバーサリーライブ『ROUTE 55』にて初披露!
戸田恵子 × 植木 豪によるBGコンビ、新作を語る(4)
ライブに先立ちミニアルバム『ROUTE 55』をリリース
──堤監督の演出も豪華ですよね。
戸田 監督には演出と、あと舞台上で流れる映像も作っていただきました。どれも作り込まれていて、芝居っぽいシーンでは字幕が流れたり、たとえば『世界一のママ』ではたくさんの母子の写真が写り、そこにはこの歌のモチーフになった青木さやかさん母子や私自身が母と写っている写真が登場したり。ダンスシーンではダンスが目立つように、あえて映像はカットしたり。監督ならではの映像を駆使して、ライブハウスでの公演とはちがう演出で、お客さまに感謝の気持ちが伝わるようにしたいってお願いしたんです。
──楽曲も特別感のあるものを?
戸田 アクト1はストーリー仕立て、アクト2はいつものようにフリーライブ、という流れだったのですが、今回は55歳のバースデイ記念ということで、“ゴーゴー”という音の響きのある歌やバースデイソングをチョイスしたメドレーを歌ったり、新曲『家へおいでよ』『眠れない夜の窓辺で』『Go! Go! Rock'n’Roll』を初披露しました。あと、あと、『Dancin'on the earth』は東京ではじめてお見せすることができました。
──ライブに先立ちミニアルバム『ROUTE 55』をリリースされましたが、新曲はそちらに収録されているもの?
戸田 3曲とも収録されています。ミニアルバムは舞台『なにわバタフライ』公演中の収録で、結局遅れてしまったところもあり、きびしいなかでなんとか完成させたんですけど……やっぱり、きつくってもやってる最中は没頭してしまうというか。いつまで歌ってても平気って気持ちになってくるから不思議です。以前は気になるところがあれば朝まででも歌いつづけていましたが、最近はディレクターに委ねることもできるようになりました。
植木 歌いながら自分が感じているものと、聴いているひとが感じるものはちがっていたりするからね。自分がいまのだめだったな、と思っても意外によく聴こえていたりする。そこがレコーディングの難しいところですよね。僕も前は12時間とか何度も歌いなおしてましたけど、ディレクターは楽器をはじめいろんな要素の兼ね合いも全部含めて聴いているので、うまいこと録れるひとに委ねるとすごくいいミックスをしてくれる。
限られた条件、時間のなかで私になにができるのか?
戸田 そうなんだよね。歌い終えて、「OK!」と言われても、内心ここの部分は2テイク目のほうがよかったんだけどな、とか思っていても、出来上がりを聴くとちゃんとその部分は2テイクめのものが使われていたりするんですよね。その積み重ねから安心して委ねることができるようになりました。この新曲3曲もすべておなじディレクターさんにお願いしています。今回は新曲だけでなく、古い曲もすべて録りなおしているんです。
植木 いつも新曲収録のときは、曲をもらってすぐ録るので、わけのわからないまま歌っているところがあるんですけど(笑)。『Dancin'on the earth』とかはライブでも何度も歌っていたりして、思いが入っているというか、ちゃんと自分のものになったうえで収録するというのはけっこうちがうんですよね。
──9月12日、戸田さんの誕生日に発売されたんですね。
戸田 CDなんて誰もかれもが出せるものじゃない、ましてやCDが売れないと言われる時代、さらに私は音楽だけを専門にしているわけではないので、じゃあ55歳というタイミングにあやかって出そうということでこのミニアルバムは完成したわけです。が、冗談ではなく、本当はあやからずともできるようにしたいとは常々言っていて。本当はもっとライブもしたいし、ファンの方々もCDがあればライブに来れなかったひとも家で聴けるってよろこんでくれるわけで、まずCDというものができあがった先に、さらにそこから発展できることがあるんじゃないか。
だからいつも、そのためにはなにをすればいい? ということを考えてる。でもやれることにはある程度限りがあるから、たとえば歌番組には出られない、じゃあバラエティだったら出られるのかも? そしてどこまでできるの? たとえば地方のラジオ番組を全部まわることはできるの? 限られた時間、限られた条件のなかで私になにができるのか。5年前にミニアルバム『ACTRESS』を発表して、年に2回ライブをするようになった。それはとても充実した時間である。でももう少し進化をするために、もう少しちがう景色を見るために、ミニアルバム『ROUTE 55』は自分にとってもひとつ意味のあるものになったんじゃないかな。
──ありがとうございました。
『ROUTE 55』
価格|2000円
KING RECORDS
1.家へおいでよ(Come On-A My House)
2.OVER THE SEA
3.眠れない夜の窓辺で
4.Dancin'on the earth
5.世界一のママ
6.Go! Go! Rock'n’Roll