日本に上陸した新型アウディ Q7に試乗|Audi
CAR / IMPRESSION
2016年5月10日

日本に上陸した新型アウディ Q7に試乗|Audi

Audi Q7|アウディ Q7

日本に上陸した新型アウディ Q7に試乗

安全性の追求でも先頭を走るSUV

日本での販売がスタートした新型アウディ「Q7」。同車としては初の4気筒となる2リッターエンジン搭載モデルに試乗した(写真は基本的にQ7 3.0 TFSI クワトロ)。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

従来モデルよりグランドピアノ1台分の減量

アウディ「Q7」が2代目にフルモデルチェンジを受け、2016年4月に日本発売開始された。ショーデビューは2015年1月のデトロイト自動車ショーで、それ以来、ショーに出展されるたびに、世界中の自動車メーカーから熱い注目を集めてきたモデルである。その理由を尋ねると、「作りのよさ」と某日本メーカーの技術者が答えてくれたことがある。

日本に導入されるQ7のラインナップは、大きくわけて2モデルだ。上は3リッターV6(245kW、440Nm)搭載のQ7 3.0TFSIクワトロ(804万円)。それに2リッター4気筒(185kW、370Nm)の2.0TFSIクワトロ(929万円)が加わる。それぞれにエアサスペンション装着モデルが別途用意されている。フルタイム4WDのクワトロシステムは、通常フロント40パーセント対リア60パーセントでトルク配分が行われる。変速機は8段オートマチック。

Audi Q7|アウディ Q7

Audi Q7|アウディ Q7

新型Q7は全長5070mm。先代より35mm短くなっている。全幅は1970mmでボディ幅も15mm狭い。全高はほぼ同一の1735mmだ。オプションで3列目シートを備えた7人乗り仕様にすることもできる。いいところはそのまま残し、いっぽうで燃費効率の追求などアップデート化を進めたとはアウディジャパンの広報担当者の言。アルニウムなどの軽量素材の活用で従来より最大300kgの減量化を実現したそうだ。「グランドピアノ1台分」という表現が使われたが、かなり軽くなっていることが分かる。大人だって3人分に相当する。

Q7を特徴づけていた、少しクーペ的なプロファイルは継承されている。キャビンの高さを少し抑えるとともに、ウィンドウグラフィクスを見ると後方にいくに従って上のラインが下がっている。それによって躍動感が演出されている。テールゲートは従来型からのラップアランドデザインが引き続き採用されているが、丸みを強調するコンセプトは少し抑制され、現代的なエッジのたったスタイリングが見た目の印象に残る。

2リッターでも驚くほどよく走るのだ。

Audi Q7|アウディ Q7

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安全性の追求でも先頭を走るSUV(2)

意外なほどトルクがたっぷりある

試乗したのは、Q7 2.0 TFSIクワトロ(\8,040,000)。1984cc 4気筒エンジンを搭載し、252ps(185kW)@5000~6000rpmの最高出力と、370Nm@1600~4500rpmの最大トルクを持つ。車重は2000kgあるので、ちゃんと走るのかなと不安になったのは事実だ。しかしこれが杞憂にすぎなかったのである。

Q7では初の4気筒ユニットという2リッターエンジンは、意外なほどトルクがたっぷりあって(1600rpm から370Nmが出はじめる)、走り出しからして不満はない。アクセルペダルの踏み込みにリニアに反応して発進するうえに、3000rpmを超えてエンジンを回していくとターボチャージャーの効果もあって、力強く加速するのだ。ウルトラスムーズな加速感が欲しい人には、3リッターV6がいいかもしれないが、2リッターでも不満はないと思うほどだ。

Audi Q7|アウディ Q7

Audi Q7|アウディ Q7

加速感を手助けしてくるのは、標準装備の「アウディドライブセレクト」だ。ダッシュボード上のスイッチでモードを切り替えていく。「コンフォート」「オールロード」「オフロード」といったモードがある。「ダイナミック」を選択すると、高めの回転域を使い、よりパワフルな印象だ。この2リッターエンジンは、多少エンジンを上まで回して走る「ダイナミック」モードとの相性がいい感じだ。

アウディドライブセレクトはオプションの「アダプティブエアサスペンション・パッケージ」(\460,000)とも連動して動くようになっている。試乗車にはこのオプションが装着されていたが、これはお勧めだ。通常のクルマの動きが上手に抑制され高速での乗り心地はしっとりしている。オフロードでは車高を上げることができるうえ、新型Q7の大きな特徴である「オールホイールステアリング」もここに含まれているからだ。

オールホイールステアリングは、電動による後輪ステア機構。低速時は前輪とは逆位相に後輪を操舵することで回転半径を小さくする働きをする。金属バネの車両の回転半径は5.7メートル。こちらは5.3メートル。しっかり小回りが効くようになる。実際に狭い道で使ってみたところ、驚くほど取り回しが楽だった。高速では同位相に後輪を操舵。レーンチェンジなどをより速く確実行えるようにするのだ。

もうひとつの魅力はインテリアだ。

Audi Q7|アウディ Q7

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安全性の追求でも先頭を走るSUV(3)

静粛という音を楽しむための空間

新型アウディQ7で感心したのは、室内の居心地のよさだ。「新型はダッシュボードを水平基調にして広々感を強調しました」とアウディジャパン広報担当者は説明するように、印象的にも空間がたっぷりあって気分がよい。シートに座ったときも、コントロール類の配置やスイッチの使い勝手は合理的で、よく考えられている。回したときのクリック感や、シフトレバーの手ざわりやゲートを移動させるときの動きなど質感も上等で、いいもの感にあふれている。アウディならではの魅力といえる。

さらに室内の居心地を上質なものとしているのは、静粛性の高さである。極端にいえばほとんど無音なのだ。ウィンドシールドをはじめ、遮音材、風の外乱など、あらゆる点を徹底的に煮詰めた結果と説明される。路面からの擦過音、ルーフを風が叩く音、エンジンルームや排気管からの音といったものが、ごく低レベルで抑えられている。まさに“サウンド・オブ・サイレンス”、静粛という音を楽しむための空間になっている。新型Q7のおおいなる強みといえるだろう。

Audi Q7|アウディ Q7

Audi Q7|アウディ Q7

室内は広々としている。ボディサイズはさきに触れたように、全長が短くなり全幅がスリムになったが、室内スペースは拡大しているのだ。前席と後席の間隔は21mm拡がっているうえ、ヘッドルームも前席で41mm、2列目で23mmと余裕が生まれているそうだ。2列目は実際に足元も頭上も居心地がよい。2列目シートは3つのシートが個別に前後110mmもスライドするうえにバックレストの角度調節が可能。静粛性も高いので、立派なリムジンの気分でいられる。機能面でも考えられていて、3列目シートを装着した場合、レバー1本でバックレストが倒れ、大きな開口部ができるようになっているためアクセス性もよい。

安全装備の豊富さも新型Q7の大きな特徴だ。

Audi Q7|アウディ Q7

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安全性の追求でも先頭を走るSUV(3)

充実の安全装備

安全装備が充実しているのも新型になったQ7の特筆すべき点である。便利なのは、先行車に追随して加速と減速それに停止も行うアダプティブクルーズコントロールだ。さらに最新のアウディ車に準じてQ7には、アダプティブクルーズコントロールの機能をうまく使った「トラフィックジャムアシスト」機能も備わる。60km/hまでの渋滞時にありがたい自動運転システムである。ノロノロ運転時に操舵も自動で行ってくれる。

「アウディプレセンスシティ」はクルマや歩行者を検知。いざとなったら自動ブレーキまで作動させる。交差点では右折時のいわゆる右直事故防止にも効果を発揮するとアウディジャパンではする。死角から出現した直進車を感知して自動ブレーキを作動させるのだ。後退時に死角から近づいているクルマがある場合も自動ブレーキが働く。

Audi Q7|アウディ Q7

Audi Q7|アウディ Q7

「アクティブレーンアシスト」は、走行時の車線逸脱を防止するためにステアリングホイール操作を自動で行うシステムだ。自動操舵システムは超音波センサーと組み合わされることで、自動縦列システム「パークアシスト」でも利便性に寄与している。カメラとレーダーによるセンサーを利用してシステムが連動して動くのは、まさに最先端である。

オプションではさらに安全装備が揃う。赤外線で暗闇でも生物の熱源を発見するナイトビジョンによる「アドバンストオプティクスパッケージ」(50万円)がひとつ。さらに、対向車や先行車へハイビームの照射をしない「マトリクスLEDヘッドライト」(31万円)も用意される。アウディサイドアシストやアウディプレセンスリアや後席サイドエアバッグがセットになった「リアアシスタンスパッケージ」(14万円)もある。

安全性の追求でも先頭を走るSUV、それがアウディ新型Q7である。

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Audi Q7 2.0 TFSI quattro|アウディ Q7 2.0 TFSI クワトロ
ボディサイズ|全長 5,070 × 全幅 1,970 × 全高 1,735 mm
エンジン|1,984cc 直列4気筒DOHCターボ
最高出力|185 kW(252 ps)/5,000-6,000 rpm
最大トルク|370 Nm/1,600-4,500 rpm
トランスミッション|8段ティプトロニック
駆動方式|フルタイム4WD
ステアリング|右
価格|804万円

Audi Q7 3.0 TFSI quattro|アウディ Q7 3.0 TFSI クワトロ
ボディサイズ|全長 5,070 × 全幅 1,970 × 全高 1,735 mm
エンジン|2,994cc V型筒6気筒DOHCターボ
最高出力|245 kW(333 ps)/5,500-6,500rpm
最大トルク|440 Nm/2,900-5,300 rpm
トランスミッション|8段ティプトロニック
駆動方式|フルタイム4WD
ステアリング|右
価格|929万円

問い合わせ先

アウディ コミュニケーションセンター

0120-598-106

http://www.audi.co.jp

           
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