現行パサートシリーズ初の4WD

第42回東京モーターショウ2011でフォルクスワーゲンから「クロスクーペ」とともにワールドプレミアを果たした「パサート オールトラック」が、発売された。現行シリーズ初の4WDモデルだ。

ベースになった「パサート ヴァリアント」にくらべ、車高が30mmアップし、最低地上高は165mmに、同時にフロントアプローチアングルが13.5°から16.0°へ、リアデパーチャーアングルも11.9°から13.6°へと拡大し、走破性を向上させている。

4WDシステムはフォルクスワーゲン独自の4輪駆動システム「4MOTION」を採用。路面の変化におうじて前輪後輪の駆動力配分をつねに制御することで理想のトラクションを得つつ、「EDS(エレクトロニック ディファレンシャルロックシステム)」とともに作動する電子制御技術「XDS(クロスアクスルトラクションコントロール)」によって、フロントディファレンシャルを制御し、アンダーステアも緩和する。

今回、フォルクスワーゲンが、SUV以外にはじめて採用した「オフロードスイッチ」は、時速30km/h以下での走行を安定させるためのものであり、「ABSの作動タイミングの調整」「EDSの反応速度の調整」「DSGの変速タイミングの調整」「斜度10°以上の下り勾配での車速の制御」を自動でおこなうと同時に、緻密な操作を可能にすべく、アクセルの反応レベルも変更する。

エンジンはダウンサイジング

1.4リッターのTSIエンジンを搭載している「ヴァリアント」にたいし、「オールトラック」は現行ゴルフGTIのものとおなじ2リッターのTSIエンジンを搭載する。しかしそれでも、フォルクスワーゲンのダウンサイジング戦略に基づき、先代パサートで「オールトラック」に相当していた「パサート ヴァリアント V6 4MOTION」の3.2リッターV6エンジンからは37パーセントも排気量を縮小した。

その「パサート ヴァリアント V6 4MOTION」と比較すると、最高出力は155kW(211ps)、最大トルクは280Nm(28.6kgm)と劣るものの、車両は70kg軽量化しており、1,000回転以上低い1,700回転で最大トルクを発生。動力性能を確保しつつ、10パーセント以上の低燃費化に成功している。

ドライバー支援のシステムとしては、フロント部分に内蔵されたレーダーで前方を走るクルマの位置を計測し、一定の車間距離を維持しつつ前車に追従して走行する「ACC(アダプティブ クルーズ コントロール)」を装備。また、その「ACC」の拡張機能として、衝突の危険があるクルマや障害物への急接近を検知するとドライバーに警告灯とハンドルの振動で前方の異常をつたえ、時速30km/h未満であれば衝突を回避・軽減するため、自動でブレーキを作動させ、状況によっては完全停止までサポートする「プリクラッシュブレーキシステム」も搭載する。また、運転中のステアリング操作を監視することでドライバーの疲労を検知し、警告灯や警報音で休息を促す「ドライバー疲労検知システム」も備わる。

搭載されるトランスミッションは6段DSGで右ハンドルのみの設定。価格は494万円だ。

フォルクスワーゲンパサート オールトラック｜Volkswagen Passat Alltrack
エンジン｜直列4気筒DOHC ターボ
排気量｜1,984 cc
最高出力｜ 155kW (211ps)/5,300-6,200 rpm
最大トルク｜280Nm (28.6kgm)/1,700-5,200 rpm
全長 × 全幅 × 全高｜4,785 × 1,820 × 1,560 mm
車両重量｜1,670 kg
最低地上高｜165 mm
トランスミッション｜6段DSG
乗車定員｜5名
駆動｜4輪駆動
燃費（JC08モード）｜11.6 km/ℓ