アルファ ロメオ ジュリアがワールドプレミア|Alfa Romeo
Alfa Romeo Giulia|アルファ ロメオ ジュリア
エンジンはフェラーリとの共同開発
アルファ ロメオ ジュリアがワールドプレミア
アルファ ロメオは、イタリア時間の6月24日、新型4ドアセダン「ジュリア」を初披露。「75」以来となるFRセダンがついに復活した。
Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
現代に蘇ったジュリアの名
「ジュリア」のデビューをどれほど待ったことか。出る出ると言われ続けて早数年――。しかし、待ちくたびれたアルフィスタたちも、このクルマの出来映えを見ればそんな憂鬱な気分は一蹴されるはずだ。
ワールドプレミアの会場として選ばれたのは、イタリア・ミラノ郊外のアレーゼに新装されたアルファ ロメオ歴史博物館。世界中のメディアやジャーナリストが集うなか、創業105周年を迎えた今年、ジュリアは登場した。
「アルファ ロメオのパラダイムと、meccanica delle emozioni(感情を持った機械)との完璧な融合」をテーマに開発された新型。その要素にはつぎの5つがある。まず、一目でアルファ ロメオだとわかるイタリアデザインであること。次にハイパフォーマンスで革新的なエンジンをもつこと。50:50の理想的な重量配分を実現すること。独自の技術的ソリューションをくわえること。そして最高のパワーウェイトレシオを得ることだ。
伝統の盾型グリルに、あたらしくデザインされたエンブレムを掲げ現れたジュリアのスタイリングは、現行モデルの「4C」や「ミト」「ジュリエッタ」と比べてもコンサバティブかつシンプルなデザインでまとめらている。
重量配分を最優先に、ロングホイールベースのシャシーを採用したことで、オーバーハングを短くしロングノーズ化、またパッセンジャーシートを駆動輪寄りに移し、リアウイングへと繋がる力強いプロポーションラインを実現した。さらに、丸みを帯びたボディのエッジとピラーによる“涙滴型”のスタイルは、かつてもっとも美しいクルマのひとつと謳われた1954年に登場した初代「ジュリエッタ スプリント」を思い起こさせる姿だと、アルファ ロメオは言う。
Alfa Romeo Giulia|アルファ ロメオ ジュリア
エンジンはフェラーリとの共同開発
アルファ ロメオ ジュリアがワールドプレミア (2)
0-100km/h加速は僅か3.9秒
搭載されるパワーユニットは、フェラーリのエンジニアが手掛けたというV型6気筒ターボエンジンで、最大出力は510psを発揮。0-100km/h加速はなんと3.9秒という、マセラティ「ギブリ」のトップレンジ「S Q4」よりも0.9秒も速いタイムをマークする。
おそらくマセラティに搭載されるV型6気筒ターボエンジンをベースとし、基幹パーツを共有していると思われるが、ジュリアの場合、前車軸の荷重を減らすためすべてアルミニウムで製造され、さらに気筒休止システムも備えたことで、驚くほどの燃費を達成したとしている。
現時点ではジュリアの最上級グレードとなる「Quadrifoglio」バージョンに、このエンジンが搭載され、その他のモデルに関しては後日、次世代ガソリンとディーゼルエンジンモデルのアナウンスがおこなわれる予定だ。
ジュリアは、最高のドライバビリティと、スポーツカーにとってもっとも理想的な重量配分となる50:50を活かすために、サスペンションにもさまざまな手をくわえた。リアにはマルチリンクを採用し、フロントにはクイックで高精度なステアリングを実現するため、「セミ・ヴァーチャル・ステアリング・アクシス」と呼ばれるダブルウィッシュボーン型サスペンションをあらたに開発。
アルファ ロメオ独自のメカニズムを持つこのサスペンションは、コーナーで一定の角度を保つことで、つねに最大のグリップを確保。大きな横加速度にも耐えることができるという。
Alfa Romeo Giulia|アルファ ロメオ ジュリア
エンジンはフェラーリとの共同開発
アルファ ロメオ ジュリアがワールドプレミア (3)
パワーウェイトレシオは3kg/hp未満
アルファ ロメオはジュリアに搭載される電子制御について、“ドライブをさらに魅力あるものにできるという保証が得られる場合に限って”使用するとしている。
例えば、リアディファレンシャルが各車輪へのトルク配分を個別に制御することのできるトルクベクタリング機構や、スタビリティコントロールと従来のサーボブレーキを組み合わせてブレーキへの瞬時の応答を実現するインテグレーテッド ブレーキシステムがそれだ。しかし、この機構により過去最高水準の制動距離を達成したと同社では説明する。
またこのジュリアには、公開された動画内のワンシーンでも登場した通り、アクティブ エアロ スポイラーと呼ばれる可動式のフロントリップスポイラーが装備されている。優れたCx値とともに、コーナーでの完璧なバランスとダウンフォースを実現してくれるはずだ。
これらすべての電子制御システムは、パフォーマンス最適化とドライブの楽しさをそれぞれ管理する“頭脳”、シャシー ドメイン コントロールと呼ばれる装置によって最適な管理がおこなわれる。
もちろん、現行モデルのアルファ ロメオにもあるドライビングモードのセレクター「アルファ DNA システム」もこのジュリアに搭載される。「ダイナミック」「ナチュラル」は従来通りだが、あらたに「アドバンスド エフィシエント」と呼ばれる小エネモードと、「レーシング」と呼ばれるハイパフォーマンスモードが追加された。
車両重量についてのスペックは今回公開されなかったが、アルファ ロメオのリリースによれば、ジュリアのパワーウェイトレシオは3kg/hp未満と記されている。プロペラシャフト、ボンネット、ルーフ、およびシートの構造フレームにはカーフォンファイバーを使い、ドアはアルミ素材を、またリアのクロスメンバーにはアルミ複合材とプラスチックを採用するなど、徹底した軽量化が施されている。
プロモーション動画では、どこまでも伸びるイタリアンなエンジンサウンドと、軽快な脚裁きを披露した新生ジュリア。BMW「3シリーズ」、メルセデス ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」、ジャガー「XE」といった強豪ひしめく欧州FRセダン勢に割って入るイタリアのプレミアムブランドは、このクルマをいったいどのようなクルマに仕立て上げたのか。いまから日本上陸が楽しみでしょうががない。