Lamborghini Gallardo LP 550-2 サーキットでの試乗インプレッション
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2015年1月21日

Lamborghini Gallardo LP 550-2 サーキットでの試乗インプレッション

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2

唯一の2WDランボにサーキットで試乗!(1)

袖ヶ浦フォレストレースウェイにて、ランボルギーニのエントリーモデル「LP 550-2」の試乗会が開かれた。当日は小雨が降っており、ややウェットなコンディションのうえ、本国から来日したインストラクターのペースカーが適度な速度で先導するという状況での試乗だったが、現代的で間口の広いスーパーカーであることが垣間見られた。 日産GT-Rを愛車にもつOPENERS契約ライター 清水久美子さんをまじえ、CARカテゴリー担当2名がガヤルド LP 550-2の魅力を語る。

写真=荒川正幸

顧客拡大を目指すランボルギーニのあたらしい戦略

現在、ガヤルドはベースモデルの「LP 560-4」、車重を1340kgまで70kgダイエットし、吸排気系統の見なおしを図ったことで最高出力がベースモデルから10psアップの570psとなる「LP 570-4 スーパーレジェーラ」とそれぞれのスパイダーモデル、そして「LP 560-4」をベースに2トーンカラーがほどこされた特別仕様車「ビコローレ」がある。これらはすべて4WDだが、今回試乗したのは、ランボルギーニの市販車ラインナップで、唯一の2WDである「LP 550-2」だ。エンジンは550psに出力が抑えられ、足まわりも他のモデルよりややソフトなセッティング。しかも右ハンドルが選択可能と、顧客の間口を広げるべく、ランボルギーニ・ジャパンが導入した戦略的なモデルだといえる。

山口 今回の試乗車は、ランボルギーニ唯一の2WDで、右ハンドル仕様であることが特徴ですね。

清水 やはりランボルギーニのようなスーパーカーに右ハンドルがあるのは意外でしたね。もちろん日本の交通環境においては、輸入車といえども右ハンドルであるにこしたことはないのですが……。

山本 そもそもイギリス仕様は右ハンドルなわけですから、それほど難しいことではないはず。ところで清水さんはランボルギーニは初ドライブとのことですが……。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|02

試乗会に参加してくれた清水久美子さん

清水 以前、ショールームでムルシエラゴのドライバーズシートに座ったとき、後方視界が狭いし、車高も極端に低くて、運転しづらそうだなと思いました。でも、今回ガヤルドを試乗したら、後方視界も思ったほど気にならず、意外と運転しやすかったですね。個人的には、4WDのほうがスタビリティが高く安心して運転ができるから好きなんです。でも、LP 550-2は2WDならではの軽快感があって、とても楽しかった。加速も充分で気持ちよかったです。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2

唯一の2WDランボにサーキットで試乗!(2)

低回転域でも十分なトルクを発揮

山本 エンジンは5.3リッターV10で、最高出力550ps/8,000rpm、最大トルク540Nm/6,500rpmを誇ります。往年のスーパーカーは低回転域のトルクがスカスカで運転しづらかったのですが、LP 550-2はさすがに現代のスーパーカーですね。オーバー500psのパワーを誇りながら、低回転域からしっかりとトルクが発揮されているから、街乗りでもまったく問題ないでしょう。

山口 エンジンのサウンドはいかがでしたか? V10の自然吸気ユニットらしい、インパクトのあるサウンドだったと思うんですが。

清水 フェラーリは甲高いですが、ガヤルドは低音が効いたかなりヘヴィな印象でしたね。でも、音量も音質もいやらしい感じもなく、好印象をもてました。あと、ミッドシップは、うしろからエンジン音が聞こえるのがやはり特別ですね。実際の試乗では、先導車がいてスピードを抑えていたから、エンジンサウンドを充分に堪能できたなったことが残念でしたが……。

山口 大体4,000~5,000rpmくらいが限界でしたからね。だから、今回は本来のインプレッションっていうのは無理でしょう……。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|04

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|05

山口 足まわりは、サーキットというフラットな路面での試乗でしたが、ハードというよりはしなやかな印象でしたね。コーナーを曲がるときも、適度にロールしてリアが粘る感じがありましたね。

山本 リアをロールさせながら、タイヤがきっちりと路面にくいついてトラクションをかせぐような印象ですね。ミッドシップならではの素性の良さを実感しました。

山口 清水さん、女性の目から見てスタイリングはどうですか?

清水 デザインは、ランボルギーニ車にとって魅力のひとつですよね。立体感のあるシャープなボディは、いかにもスーパーカーっていう風貌で格好いいと思います。カラーリングもオレンジやライトグリーンなどヴィヴィットな色がラインナップされていて、男性だけでなく、女性にもファンがつきそうですよね。そういった大胆なデザインなのにもかかわらず、視界といい乗り心地といい、毎日乗れてしまいそうな快適さが備わっていたのも印象的でした。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2

唯一の2WDランボにサーキットで試乗!(3)

ガヤルドのネガティブな点とは?

山口 ガヤルドは、日常になじむスポーツカーという点で、ホンダ NSXに強く影響を受けていると思うんですよ。まあ、ガヤルドにかぎらず昨今のスーパーカーは、フェラーリにせよマセラティにせよ、乗り手を威嚇するというよりは、フレンドリーに接してくるようなモデルがほとんどですが。それから印象的だったのが、ファルクスワーゲン グループならではの、高いクオリティですね。インテリアやボディの工作精度など、イタリアブランドでありながら、きちんとしたジャーマンクオリティをもっている。

山本 そこにランボルギーニらしく、楔のようなエッヂが立ったスタイリングに、印象的なカラーリング。まさに、イタリアとドイツの幸福なるマリアージュですね。

清水 確かにあのグリーンボディは、ほかでは見られないほど、インパクトが強いですね。

山本 でも、フォルクスワーゲン グループのモデルはほとんど当てはまるのですが、ステアリングにパドルシフトしかないことを指摘したい。フェラーリはF1の技術を踏襲しているから、ドライビングモードからオーディオまであらゆる操作がステアリングで完結できる。ステアリングでの操作に慣れてしまうと、コンソールに手を伸ばすのが煩わしいですよね。ガヤルドも、操作系をステアリングだに集約してもらいたいっていうのが予てからの願いです。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|07

清水 F1は、0.00秒単位を争っている世界だから、ステアリングから手をはずしただけでタイムがロスが生じてしまいますものね。

山本 ところでランボルギーニと言えば、ジュネーブモーターショーで発表されたあたらしいフラッグシップモデル「アヴェンタドール LP 700-4」が話題ですが、このクルマの話を少し挟んでもいいですか?

山口 お願いします。

山本 アヴェンタドールは、モノコックにねじり剛性3万5,000Nmの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使 用し、サスペンションは量産車としてはじめてプッシュロッド式を採用しています。こういう技術的なハイライトを集結させたフラッグシップモデルは、一刻も早く試乗したいですね。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|08

山口 ガヤルド LP 550-2はランボルギーニのエントリーモデルですが、アヴェンタドールは頂点に位置するモデルですから、まったくちがうんでしょうね。今回、試乗会のために本国から来日していた開発スタッフは、「アヴェンタドールは あらゆる最新技術を投入した肝入りのモデルで、ライバルに対して10年のアドバンテージがある」と胸を張っていました。

山本 ちなみに、カーボンボディの修復技術も徹底していて、事故を起こしたとしても4時間ほどで完了するらしいです。ガヤルドは、これを想像しながら乗りましょうっていうことですね(笑)。

山口 ガヤルドは日常になじむスーパーカーですが、全幅が2,260mmもあるアヴェンタドールはさすがに乗る場所を選びそうですね。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2

唯一の2WDランボにサーキットで試乗!(4)

日常でも不自由しないガヤルドの魅力

山口 LP 550-2は車重が1,380kgと、安全装備や快適装備で重くなりがちな現代のクルマとしては、非常に軽量なんですよ。ちなみにオールアルミボディで軽さが評価されていたホンダ NSXは、V6 3.0リッターで4段ATを搭載したノーマルが1,390kg。ガヤルドとほぼおなじです。技術はやはりこういうところにあらわれてくるんですよね。

清水 たしかに最新技術の賜物という感じは味わえましたね。先ほどお話に出たようにとても扱いやすい。そのうえ、多少スピードをあげても危ういところはまったく見られませんでした。

山本 そうですね。たとえばリアサスペンションがトーションバーだった964までの911も、どことなく危なかしかった。少しでも路面が濡れていると、まわってしまいそうな感覚があった。それが、以前までの2WDのスーパースポーツの宿命だったと思うんですが、ガヤルド LP 550-2にかんしては、そういう印象が全然ない。難なく日常的に乗れるクルマだと言えるでしょう。

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|10

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2 試乗インプレッション|11

山口 このLP 550-2の魅力のひとつは、思いっきり飛ばしたいというひとでなくても、スーパーカーの走りを楽しむことができる点です。そういった意味で、今日のようなサーキットを走りたい方から、イタリアンスーパーカーの味を愉しみたい方まで、ターゲットは広いでしょうね。価格は、2408万1750円。価格帯で言えばポルシェ911 ターボSあたりと近い。

山本 911はスポーツカーやスーパーカーというよりは、クーペとして使うひとがほとんどなんじゃないかな?

山口 そうですね。911のユーザーは、もともとサルーンに乗ってたっていうひとが多いようですからね。ボディサイズやパッケージを鑑みると、911のほうが常性が強いですが、ガヤルド LP 550-2も、日常性と走り、そしてたしかなランボルギーニらしさを備えたクルマだと思います。

清水 私も一生のあいだに、自分のクルマにしたいとも思いました。

Spec|スペック

Lamborghini Gallardo LP 550-2|ランボルギーニ ガヤルド LP550-2
ボディサイズ|全長4,345×全幅1,900×全高1,165mm
ホイールベース|2,560mm
車輛重量|1,380kg
エンジン|5.3リッターV型10気筒エンジン
最高出力|550ps/8,000rpm
最大トルク|540Nm/6,500rpm
トランスミッション|ロボタイズド・シーケンシャルe ギヤ・システム
燃費|13.3ℓ/100km
CO2排出量|315g/km
駆動方式|後輪駆動
価格|2408万1750円

           
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