4XMOTIONによる高い走破性

新型フォルクスワーゲン トゥアレグは、ハイブリッドモデルが話題だ。しかしV6ガソリンエンジン搭載「トゥアレグV6」も、じつに楽しい1台。先代から長足の進歩をとげている。楽しいSUVが欲しいひとは、いちど乗ってみてほしい。

トゥアレグ ハイブリッドの項と重複するが、いちおうここに、2011年2月17日より日本での発売が開始される新型トゥアレグのラインナップを列記しておこう。

・トゥアレグV6（623万円）3.6リッターV6（4WDシステムはより本格的なオフロード性能を発揮する4XMOTION搭載）

・トゥアレグ ハイブリッド（898万円）　3リッターV6スーパーチャージャー＋電気モーター（4WDシステムはトルセンLSD採用、デフロックは備えない4MOTION搭載）

先代と比較すると、ホイールベースが50mm延長され、車体は全長でプラス45mm、全幅でプラス15mm、全高でプラス10mmと少しずつ大型化している。いっぽうで、車重はマイナス70kgを実現。

環境性能向上は、新型トゥアレグの大きな課題だったという。V6にも、アイドリング時にエンジンを停止させる「スタート／ストップシステム」およびブレーキエネルギー回生システムが採用されている。このふたつの技術を組み合わせてフォルクスワーゲンは「ブルーモーションテクノロジー」と名づけており、燃費低減にも大きく寄与している。

V6とハイブリッドはともに4WDだが、駆動システムはことなっている。ひとことでいうと、V6のほうがより本格的なオフロード走行に向いている。4X（エックス）MOTIONとよばれる4WDシステムは、リダクションステージつきのトランスファーボックスと、電子制御ロックメカニズムつきリアディファレンシャルを備える。

4XMOTION搭載のトゥアレグV6。最大登坂能力は45度（ハイブリッドは31度）という。オプションで用意されるエアサスペンションシステムを選べば、アプローチアングルとデパーチャーアングルともに30度までと、オフロードの走行性能が向上する。センターコンソールのスイッチでLOWを選択すれば、電気的にセンターデファレンシャルギアがロックされる。さらに、オフロード走行時など手動でスタート／ストップシステムを停止させることができる。

機能性、快適性を両立させるATとエンジンのセッティング

ただしオフロードでの機能性と快適性を両立させたのがトゥアレグ、というだけあって、一般道での快適性はきちんと確保されている。とくにV6は3.6リッターV6エンジンの特性がよい。低回転域からトルクがたっぷりあり、さらに上までよくまわる。8段と多段化されたトルコン式オートマチックギアボックスは、6速で最高速を出す設定で、より高速での燃費を向上させるのが目的だ。はやめはやめのシフトアップがおこなわれるが、約2.1トンの車重を意識させることはなく軽快。大トルクで重いボディを動かす、というのではなく、スポーティにすら感じられるセッティングだ。

タイヤ径はハイブリッドが19インチであるのに対して、V6は標準で18インチ。そのせいもあるだろうか、V6の車体の動きは路面状況にかかわらずフラット。高速道路を巡航していると、反応のいいハンドル、軽快なエンジン、しなやかなサスペンションといったすばらしいコンビネーションのおかげで「いいクルマだなあ」と思わず笑みが浮かぶほどだ。

従来のトゥアレグがもっていた印象とはまったくちがう、ということを再度強調しておきたい。ライバルとしてすぐ思い浮かぶのは、ポルシェ カイエンに追加されたV6モデルだ。あちらもハンドリングがよく、エンジンはパワフルで、全体の印象としては軽快。ただし価格差が175万円。ここを重視して選ぶなら、トゥアレグV6は期待を裏切らない。

Volkswagen Touareg V6｜フォルクスワーゲン トゥアレグ
ボディ｜全長4,800×全幅1,945×全高1,740mm
エンジン｜3.6リッター V型6気筒DOHC（4バルブ）
最高出力｜206kW(280ps)/6,200rpm
最大トルク｜360Nm(36.7kgm)/2,900-4,000rpm
車両重量｜2,190kg（CDC エアサスペンション装着車 2,200kg、電動パノラマスライディングルーフ装着車 2,230kg）
駆動方式｜4XMOTION（フルタイム4WD）
トランスミッション｜8速AT
10・15 モード燃費｜9.5ℓ/100km
CO2排出量｜244g/km
価格｜623万円