Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド 試乗インプレッション
CAR / IMPRESSION
2015年2月24日

Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド 試乗インプレッション

Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド

V8にかわる新世代のトップモデル(1)

ドイツ製のハイブリッドSUV、「トゥアレグ ハイブリッド」は低燃費なだけでなく、力強さも魅力だ。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

ハイブリッドとダウンサイジングコンセプトの融合

ハイブリッドモデルがラインナップされた新型フォルクスワーゲン トゥアレグ。スポーティな操縦性とともに、ダウンサイジングコンセプトが特長。ドイツのSUVには魅力的なモデルが多いが、パワフルでいて好燃費のトゥアレグは、現代的な魅力を備えたモデルとして注目してほしい。

フォルクスワーゲン グループ ジャパンの手によって、2011年2月17日より日本での発売が開始されるトゥアレグ。この背の高いボディに、4WDシステムを組み合わせたSUVは、今回のフルモデルチェンジで2代目となる。

トゥアレグのモデルラインナップは2モデル構成。

・トゥアレグV6(623万円) 3.6リッターV6と4XMOTION搭載

・トゥアレグ ハイブリッド(898万円) 3リッターV6スーパーチャージャー+電気モーターと4MOTION搭載

新型トゥアレグの特徴は、上質さ、機能性、高い運動性、そして優れた燃費となる。昨今、欧州の自動車メーカーが積極的に推し進めるダウンサイジングコンセプトにのっとって、トゥアレグもエンジン排気量を従来より小さくし、燃費向上を図っている。

Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド 試乗インプレッション|02

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13.8km/ℓの低燃費を実現

とりわけ注目は、従来の4.2リッターV8搭載モデルにかわってラインナップにくわえられたハイブリッドだ。エンジンは排気量が3リッターとだいぶ小さくなった。しかしインタークーラーつきスーパーチャージャーによる過給とともに、電気モーターを組み合わせている。最高出力で比較するとV8が257kWであったのに対して、ハイブリッドはガソリンエンジンと電気モーターを合わせたシステム合計で279kWとパワーアップ。燃費は10・15モードになってしまうが「V8の2倍以上」と輸入元が胸をはるリッター13.8kmだ。

トゥアレグ ハイブリッドのシステムは、縦置きされたV6エンジンと8段オートマチックトランスミッションのあいだに電気モーターを入れたもの。クラッチを使って、エンジンと切り離されるようになっている。ニッケル水素バッテリーはリアアクスルよりうしろにオーバーハングするかたちで搭載されている。

より小型で高性能を謳うリチウムイオンバッテリー採用のメーカーが増えているなかで、なぜニッケル水素を選択したのか。それについてフォルクスワーゲン グループ ジャパンでは「安定性やコストの問題では、ニッケル水素のほうにメリットがある。固執するつもりはないが、現時点では最良の選択だと思う」と話している。

Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド

V8にかわる新世代のトップモデル(2)

状況に合わせた4種類の走行モードを選択可能

ハイブリッドを操縦すると、2.3トンという車重を感じさせないのがまず印象に残る。排気量を小さくしたかわりに、低回転時からトルクを生み出すスーパーチャージャーが搭載されているせいもあるだろうが、アクセルペダルを軽く踏んだだけですっと出てゆく。

トゥアレグのシステムは、エンジンが主体で、電気モーターはよりパワーが欲しいときに作動するようになっている。さらにアクセルペダルを踏み込むと、電気モーターが作動する。そもそも3,000rpmを超えると力強くトルクが出てくるエンジンだが、くわえて電気モーターの駆動力で、「V8エンジンなみ」と輸入元がいう加速を味わえる。

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ハイブリッドの動作モードはいくつかある。

・通常走行時の「ガソリンエンジン走行モード」

・高負荷(アクセルを強く踏み込んだりした場合)の加速に電気モーターが作動する「ブーストモード」

・アクセルペダルから足を離したときエンジンが停止して駆動系から切り離される「コースティング走行モード」

・最高速なら50km/hまで、走行距離なら最大2kmまで電気モーターのみで走れる「EV走行モード」

EV走行モードにして、大きな車体が静かに走るのは印象ぶかい。「深夜の帰宅にも便利」と広報資料にある。バッテリーの状態によっては、途中でエンジンが始動することもあるが、始動音もけっして大きくない。

操縦性は先代よりぐんと向上している。ハンドリングがダイレクトになって、中立ふきんでもすぐに車体が反応するので、スポーティな走行感覚が味わえる。コーナリングでは、リアが沈み込んでいく感覚が気持ちよく、安定した姿勢を保つので安心感も高い。

ダンパーとハンドルの重さは、「ノーマル」にくわえ「スポーツ」と「コンフォート」で変えられるようになっている。大きく変化することはないが、そのときの気分で多少の差を味わうのもいいだろう。個人的にはノーマルが好みだった。

走行時にアクセルペダルから足を離すと、さきに書いた「コースティングモード」になる。エンジンの回転計の針がゼロを指し、エンジンは完全停止。この状態だと惰性でクルマが進んでいく。変速機を操作することによるシフトアップ、あるいはシフトダウンも効かない。そしてなにかあったときアクセルペダルに足を載せ、軽く力を入れるととたんにエンジンが目覚める。ずっとアクセルを踏んでいる必要がないときこれを使うと、燃費がよくなるというわけだ。

国産のハイブリッドは超がつく低燃費を謳うが、トゥアレグ ハイブリッドは、従来のパワフルなV8にかわるモデルで、ダウンサイジングコンセプトのバリエーションと理解しておいたほうがいいかもしれない。大きなSUVで、運転も楽しみたい、でも燃費も……というドライバーにはぴったりだ。

Volkswagen Touareg Hybrid|フォルクスワーゲン トゥアレグ ハイブリッド
ボディ|全長4,800×全幅1,945×全高1,740mm
エンジン|3リッター V型6気筒DOHCインタークーラーつきスーパーチャージャー+モーター
最高出力(エンジン)|245kW(333ps)/5,500-6,500rpm
最高出力(モーター)|34kW(46ps)
最大トルク|440Nm(44.9kgm)/3,000-5,250rpm
車両重量|2,340kg
駆動方式|4MOTION(フルタイム4WD)
トランスミッション|8速AT
10・15 モード燃費|13.8ℓ/100km
CO2排出量|168g/km
価格|898万円

           
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