特集|総括バーゼルワールド スマートウォッチのトレンドを検証|FREDERIQUE CONSTANT
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2015年7月24日

特集|総括バーゼルワールド スマートウォッチのトレンドを検証|FREDERIQUE CONSTANT

FREDERIQUE CONSTANT|フレデリック・コンスタント

あらたな腕時計のジャンルが誕生

特集|バーゼルワールド2015にみるスマートウォッチのトレンドを検証

フレデリック・コンスタント編(1)

3月に開催された世界最大の高級時計展示会「バーゼルワールド2015」で、次世代の腕時計として話題を集めたスマートウォッチ。その中身を検証する特集第3弾。“スマートウォッチには見えないクラシックスタイルとオリジナルムーブメント”で勝負するフレデリック・コンスタントの独自戦略に注目。

Photographs & Text by SHIBUYA Yasuhito

スイス時計らしい“クラシックスタイル”を追求

スイスの時計業界にはスマートウォッチをいまの高級機械式腕時計の繁栄を脅かす“黒船”として警戒する声も実は少なくない。いまから40年ほど前の1970年代、スイスの時計産業は日本製クォーツで壊滅的な状態になった。ケタ違いの精度と先進のイメージのクォーツ時計が市場を席巻。時計工場は続々と閉鎖され、時計師たちの多くが職を失ったのだ。あの悪夢の二の舞いは避けたいというおもいから、各ブランドがさまざまな動きをしている。

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なかでももっとも積極的な動きを見せたのが、機械式時計の心臓部、ゼンマイを巻くと拍動する心臓のように動くテンプと脱進機部分を文字盤側から見て楽しめるようにした“ハートビート”機構で人気のマニュファクチュールブランド「フレデリック・コンスタント」だ。

3月のApple Watchの製品発売。発表に先駆けて2月末に日本を含む世界で記者発表会を開催。すばらしいのは、デザインとその中身のムーブメントの独自性だ。

外観は、Apple Watchをはじめとするエレクトロニクスブランドのスマートウォッチとはまったく違う、液晶ディスプレーを一切排除し、見た目はクラシックなスイス時計そのもの。そして内蔵のムーブメントもシリコンバレーのフルパワー社と共同で新開発し、同社と合弁で設立したMMT社で製造するオリジナル、つまりマニュファクチュール・ムーブメントを使用している。しかも、バッテリーは一般的なクォーツ時計に引けを取らない。また、2年以上持続し、世界で8割以上の市場シェアをもつAndroidスマートフォンとiPhone(iOS)の両方と接続でき、機能も時刻修正にくわえて活動量と睡眠量を記録する機能をメインに据えるなど、おもい切って絞り込んでいる。

なぜ、フレデリック・コンスタントはおもな機能をふたつに絞り込んだのだろうか?

Page02.クォーツ式腕時計は“時計らしい”スマートウォッチに進化する!?

FREDERIQUE CONSTANT|フレデリック・コンスタント

あらたな腕時計のジャンルが誕生

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フレデリック・コンスタント編(2)

クォーツ式腕時計は“時計らしい”スマートウォッチに進化する!?

なぜクラシックなアナログ顔にこだわり、おもな機能を活動量と睡眠量の計測・記録に絞り込んだのか? フレデリック・コンスタントの創業者でありCEOのピーター・スターツ氏は、バーゼル会場でこの疑問に明快に答えてくれた。

「スイス製オルロジカルスマートウォッチは伝統的なスイスのクラシック時計に魅力を感じるひとびとのための時計です。私たちは、スイスのクォーツ腕時計市場の2100万個のうち、30-50%が3〜5年後にスマートウォッチになると予測しています。機能を“活動”と“睡眠”に焦点を合わせたのは、Fitbit、ナイキ、Garmin、Jawboneによってつくられたウェアラブル市場で、その計測機能が何千万人ものアクティブユーザーによりメインのセグメントとして認められているからです」

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たしかにいま、世界でいちばん多くの人に使われている腕時計は、機械式よりも正確で価格も手頃なクォーツ式の腕時計だ。そしてクォーツ式腕時計は価格的にもスターツ氏が掲げたブランドのウェアラブル製品と同じセグメントに入る。

つまり、スマートウォッチの競合相手は機械式モデルではなくこうしたウェアラブル製品であり、クォーツ式の腕時計がその機能を取り込むのは、当然のことだとスターツ氏は考えているようだ。

「未来の腕時計について研究をはじめたのは3年前。そして辿り着いたキーワードは『オルロジカル(時計らしさ)』『美しさ』と『優れたウェアラブルテクノロジー』でした。そして、ウェアラブルテクノロジーの分野で強力なパートナーが必要と考え、自分でシリコンバレーを訪ねてパートナーを探しました」とスターツ氏。

ブランド創業前はエレクトロニクスメーカーで働いた経歴を持ち、個人的にはアップルの大ファンで「アップル社とその製品には敬意しかない」と語る氏は、「オルロジカル スマートウォッチ」の成功を確信している。そして頭のなかには今後5年間の事業計画がすでにあるという。

その計画のひとつが、開発ムーブメントの他ブランドへの供給だ。すでにスイス鉄道時計で有名なモンディーン社が搭載モデルを公開した。スイス製のオルロジカルスマートウォッチのプラットフォームとなって、この市場を盛り上げたいとスターツ氏は語る。スマートウォッチに関してここまで緻密な計画をもつスイスの時計ブランドはほかにない。名門ブランドと同様に、絶対に目が離せない存在だ。

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オルロジカル スマートウォッチ
ケース|ローズゴールドプレートステンレススチール
直径|42mm
ムーブメント|クォーツ
機能|日付表示、MotionXアクティビティトラッキング、ゲットアクティブアラート、クラウドバックアップと復元、スリープサイクルアラーム、スリープモニタリング、アダプティブコーチングなど
ストラップ|ブラウンカーフ
防水|5気圧
発売時期|9月以降
(8月1日〜8月31日限定6店舗で限定発売予定)
価格|19万9800円

問い合わせ先

GMインターナショナル

Tel.03-5828-9080

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