ヴァシュロン・コンスタンタン|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|VACHERON CONSTANTIN
VACHERON CONSTANTIN|ヴァシュロン・コンスタンタン
ラグジュアリースポーツの原点「オーヴァーシーズ」(1)
2015年に創業260年に到達したヴァシュロン・コンスタンタン。15年末に登場した“史上最も複雑な時計”が展示され、ブースが賑わう中、ブランドのアイデンティティを体現するラグジュアリースポーツ「オーヴァーシーズ」を全面的にリニューアルした。
Text by KAWADA Akinori
伝統と最新が交錯した新しい歴史の幕開け
2015年が創業260年の記念の年ならば、2016年は新しい歩みの第一歩。世界最古級のブランド、ヴァシュロン・コンスタンタンのブースを訪れた人は、そんな思いにとらわれたのではないだろうか。
ヴァシュロン・コンスタンタンのブースを訪れると、最初に目につくのが、2015年に登場した“史上最も複雑な時計”「リファレンス57260」だ(時計の詳細はこちら)。この時計は、新開発の技術も多数搭載するが、言わば、260年にわたるジュネーブのキャビノティエの培った伝統の集大成と言っていい。
そして、新しい歴史の開幕を伝える役割は、ヴァシュロン・コンスタンタンでは、比較的若いコレクションが負うことになった。ラグジュアリースポーツモデル「オーヴァーシーズ」の全面リニューアルである。
新型キャリバーを搭載
1970年代は、高級メゾンによるスチール製ラグジュアリースポーツが数多く登場した年代であり、ヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ」の原点となる「222」も初出は1977年だった。以来、マルタ十字のモチーフをデザインに取り入れるなど進化を繰り返しながら今日に至っている。最もベーシックなメンズの「オーヴァーシーズ」を確認すると、優れた老舗ブランドの新作は、決して基本をおろそかにすることがないことがわかる。
新しく開発された自動巻きムーブメント、キャリバー5100は、非常に優れた3針ムーブメントである。ゼンマイを格納する香箱を2つ装備し、パワーリザーブは60時間を確保する。土日に時計を外していても、月曜朝でも稼働し続けるぐらいのパワーリザーブを確保し、実用性に優れる。自動巻きの回転ローターは22金製で、高密度のため、巻き上げのエネルギー効率に優れている。
しかも、このローターが美しいだけでなく、ムーブメント全体が、ジュネーブの伝統を受け継ぐ装飾をまとっている。もちろんジュネーブ州法に定められた時計の品質基準であるジュネーブ・シールの認証を受けている。ジュネーブ・シールは2012年に基準が厳格化された上に、精度基準も課せられるようになった。その新しい基準を満たしているのだから、流石にジュネーブに一貫して本拠を置く最古のマニュファクチュールである。
ケースは軟鉄製のインナーリングを採用したことによって耐磁性に加えて、シースルーバック化も実現。そして、ストラップはステンレス製のブレスだけでなく、文字盤に合わせたカラーのラバーストラップとアリゲーターストラップが付属し、独自のインターチェンジャブル・システムにより、交換も容易に行える。またこのシステムによって、ブレスレットを最長4mm伸ばすことも可能となった。
レディースの宝飾仕様で、9時位置にスモールセコンドを配した「オーヴァーシーズ・スモールモデル」もキャリバー5300を搭載するなど、同様の技術的諸元を持つようリニューアルされた。
男女揃って、新しい「オーヴァーシーズ」を腕に同じ時を過ごしたい。そんな風に思えるニューモデルである。
オーヴァーシーズ
ケース|ステンレススチール
直径|41mm
厚さ|11.0mm
ムーブメント│自動巻き(Cal.5100)
機能|日付表示
防水│15気圧
ブレスレット│ステンレススチール(ラバーストラップとアリゲーターストラップ、ストラップ相互換装が可能なフォールディングクラスプ付属)
発売時期│2016年6月予定
予価|267万3000円
オーヴァーシーズ・スモールモデル
ケース|ステンレススチール、ベゼルに84個のダイヤモンドをセット
直径|37mm
厚さ|10.8mm
ムーブメント│自動巻き(Cal.5300)
機能|スモールセコンド
防水│15気圧
ストラップ│ステンレススチール(ラバーストラップとアリゲーターストラップ、ストラップ相互換装が可能なフォールディングクラスプ付属)
発売時期│2016年6月予定
予価│310万円
Page02. 現在の技術的水準を超えるクロノグラフ
VACHERON CONSTANTIN|ヴァシュロン・コンスタンタン
ラグジュアリースポーツの原点「オーヴァーシーズ」(2)
現在の技術的水準を超えるクロノグラフ
わかりきっていることであるが、クロノグラフの開発は難しい。いわゆる2010年問題に端を発して、自社製クロノグラフに挑戦したメーカーは多いが、玉石混交の感は否めない。しかし、5年の歳月をかけて開発された、ヴァシュロン・コンスタンタンのキャリバー5200の完成度は、頭一つ抜けていた。
シースルーバックから覗く、高品位なクロノグラフの象徴であるコラムホイールから発する動作は、一部のスキもない。現代のクロノグラフの象徴である垂直カップリング方式のクラッチは、クロノグラフの針を滑らかに発停させる。ジュネーブ・シールを習得したムーブメントは、美しい装飾と抜群の精度を兼備したジュネーブ産のムーブメントらしい高品質を備えている。
ポリッシュとサテンの陰影のコンビネーションが映えるラグジュアリー性にあふれたスポーツウォッチらしい力強い外観に、クロノグラフのメカニカルなイメージが重なり、時計好きには堪らない仕上がりである。
オーヴァーシーズ・クロノグラフ
ケース|ステンレススチール
直径|42.5mm
厚さ|13.7mm
ムーブメント│自動巻き(Cal.5200)
機能|クロノグラフ(12時間積算計、30分積算計)、日付表示、スモールセコンド
防水│15気圧
ブレスレット│ステンレススチール(ラバーストラップとアリゲーターストラップ、ストラップ相互換装が可能なフォールディングクラスプ付属)
発売時期│2016年6月予定
予価│360万円
Page03. スリムにして、コンプリケーション
VACHERON CONSTANTIN|ヴァシュロン・コンスタンタン
ラグジュアリースポーツの原点「オーヴァーシーズ」(3)
スリムにして、コンプリケーション
コンプリケーションと薄型を両立させることは、時計製造においては難題である。特に機械式のコンピュータとも言うべきパーペチュアルカレンダーは、多くを表示し、閏年や月末の日付調整の手間を不要とするメカニズムが必要で、歯車やディスクがひしめき合う。
だが、複雑機構の名手であるヴァシュロン・コンスタンタンはその難題をいとも簡単に突破してみせる。この時計が搭載するキャリバー1120QPは、ムーブメントの厚さはわずかに4.05mm。しかも、自動巻きである。ムーンフェイズまで搭載するフルカレンダー仕様のパーペチュアルカレンダームーブメントとしては、異例とも言える薄さだ。外観の面でも精度の面でも、ジュネーブ・シールをクリアする仕上げに、一切の手抜きはない。
結果として、ケース厚は、自動巻きのパーペチュアルカレンダーモデルでは考えられないアンダー10mmで、たったの8.1mm。これは、並のメーカーならシンプルな3針手巻きモデルの厚さである。「オーヴァーシーズ」のダイナミックさに、「エクストラフラット」と表される優雅さと、「パーペチュアルカレンダー」の精緻な機構をあわせ持つ、このモデルは、まさに奇跡と呼ぶに相応しい。
オーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー
ケース|18Kホワイトゴールド
直径|41.5mm
厚さ|8.1mm
ムーブメント│自動巻き(Cal.1120QP)
機能|パーペチュアルカレンダー(日付表示、曜日表示、月表示、閏年表示)、ムーンフェイズ
防水│5気圧
ブレスレット│18Kホワイトゴールド(ラバーストラップとアリゲーターストラップ付属、各ストラップには、18Kホワイトゴールド製のクラスプ装備)
発売時期│2016年6月予定
予価│1132万5000円
*ブティック限定モデル
ヴァシュロン・コンスタンタン
0120-63-1755
http://www.vacheron-constantin.com/