BREGUET|タイプXXI
BREGUET|ブレゲ
タイプXXI
Text by OPENERS
ブレゲといえば高級腕時計の代名詞的存在ではあるが、軍用航空時計をルーツに持つSS製のスポーツウォッチもコレクションにラインナップされている。それが、同モデル「タイプXX」シリーズである。このいささかユニークなネーミング自体、かつてのフランス海軍のミルスペック(軍規格)のコードネームを踏襲したものだ。
ブレゲの航空クロノグラフが初登場したのは1940年代。ブラックフェイスに夜光インデックスを配し、時間記録に使える三角マーカー付き回転ベゼルを装備した、さすがに名門らしい完成度の高いものだった。このクロノグラフをルーツとし、さらにフランス海軍航空隊の要請を受けて製作されたのが「タイプXX」だ。1954年に登場したこのモデルが秀逸なのは、いち早くフライバック機能を搭載したこと。動作中にリセットボタンを押せば、ただちに針が零帰して計測を再開するこの機構は、たとえば連続爆撃のタイミングを計るときなど、繰り返し計測を行わねばならない時に非常に便利だった。だが、1970年代にはクォーツショックの影響もあり、時計ブランドとしてのブレゲは一時休眠。「タイプXX」も生産中止に追い込まれた。復活はブレゲ復興後の1995年であり、ルーツモデルから数えて第3世代クロノグラフとして「タイプXX アエロナバル」が登場。さらに第4世代の「タイプXX トランスアトランティック」を経て、2004年に発表されたのが「タイプXX」登場20年を記念した「タイプXXI」である。
「タイプXXI」が一連の「タイプXX」と異なるのは、3時位置のインダイヤルの機能だ。「XX」が30分積算計を配置しているのに対して、「XXI」は文字盤の時刻表示と連動した24時間表記の時刻表示となっている。そして、インダイヤルの上側を針が指していれば昼、下側を指していれば夜だと一瞥して分かるように、インデックスが配置されている。これは世界を飛び回るパイロットにはありがたい機能だ。30分積算計が未搭載である代わりに、センターにクロノグラフ針とともに60分積算針を配置。文字盤はワイドになり、ホワイトの夜光と相まって、視認性も向上した。メカニカルなSSモデルの他に、華やかさを添えた18KRGモデルもラインナップしている。
自動巻き。毎時2万8800振動。48時間パワーリザーブ。ケース径42.0mm。ケース厚15.2mm。SSブレスまたはアリゲーターベルト。100m防水。119万7000円(SSケース&ブレス)、213万1500円(18KRGケース、クロコダイルベルト)。