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2015年4月16日
MATSUNAGA Manabu|vol.9 ジャン・リナールの庭
MATSUNAGA Manabu|松永 学
vol.9 ジャン・リナールの庭
「空は屋根から」──発熱する魔法の庭
今回はジャン・リナール(Jean Linard/1932-2010)という、アール・ブリュットの彫刻・陶芸家の庭へタイムトリップです。
Photographs & Text by MATSUNAGA Manabu
かの有名なフランス人アーティストのジャン・デュビュッフェが作ったとされる「アール・ブリュット」という言葉は、今日では英語表現で「アウトサイダー・アート」と言うらしい。今となっては定義はすでに多様化してしまっているが、アカデミズムにとらわれない自由な創造性が根底に流れている。
今回のジャン・リナールもその一員である。1961年、まずは住まい兼アトリエを自ら作り陶芸に没頭する。最初はチャペルと名付けたが、増殖するイマジジネーションの末、ほぼ完成する1983年にはLa Cathédrale(大聖堂)と改名。このcarnet de jardinにすでに登場した「Vol.2 シュバルの理想宮の庭」と「Vol.5 レイモン・イジドールの庭」、またはガウディのサグラダファミリアへのオマージュが至るところに見られる。
庭には神聖なイメージとともに色彩の魔法が掛けられていてる。そして自身制作のセラミックの破片のコラージュが今も輝きを失わずに発熱しているようだ。この庭も、訪れることで即座にアール・ブリュット空間に迷い込んでしまうのは必至!
もはや本人の口からはLa Cathédraleの真相は聞けなくなってしまったが、ここに居るだけで空想の会話が成立する。現実に引き戻されたあとも体が熱を帯び痺れている感覚が続いている。
2012年7月には文化庁の歴史遺産に指定された。
公式サイト
http://www.cathedrale-linard.com