INTERVIEW|東京公演直前、マット・ビアンコインタビュー
INTERVIEW|世界中を回ったツアーから得たもの。それがマット・ビアンコを創っている
公演直前のマット・ビアンコを、ロンドンでキャッチ!
ラテン、ファンク&ジャズ! ハイセンスでダンサブルなサウンドを生み出しつづけるU.K.の人気グループ、マット・ビアンコをロンドンでインタビュー。音楽のことやファッションのことなど、小粋な二人がその思いを語ってくれた。ブルーノート東京での公演は7月1日(火)から3日(木)まで開催される。
text by Takakura
メジャーデビュー30周年を記念して来日!
――最近はどんな音楽活動を?
マーク・フィッシャー(以下マーク・F)ツアーで忙しいね。オランダの「ビッグバンドジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ」とツアーしたんだけど、ステージに30人くらい上がって迫力があったね。
マーク・ライリー(以下マーク・R) そのほかにもこのロンドンでの公演の後、スイス、日本とつづいてスペイン、それにカリブ海のボネール島でのライブがあって楽しみだね。
――ツアーではほかのミュージシャンとセッションすることはありますか?
マーク・F そのジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウとのセッションでは、ビッグバンド向けに曲をアレンジした。あたらしい挑戦だったし楽しかったよ。彼らはアムステルダムの「コンセルトヘボウ」っていう有名なコンサートホールを拠点にしているグループで、ブルーノート東京で公演したこともある。彼らはマット・ビアンコにあたらしい方向性を与えてくれたから、ぜひまた一緒にやりたいね。
――ライブで印象に残っている国やお勧めのライブハウスはありますか?
マーク・F お世辞抜きにして日本だね。食べ物は世界一だと思うし、文化や日本建築も素晴らしいと思う。つぎはイタリアかな。
マーク・R 同意見だね。
マーク・F 日本でお世話になっている知人は、日本でもバーガーやステーキを食べたがるアメリカ人アーティストが多いのに、僕らはいつも日本食を食べたいって言うから驚いていたよ。郷に入っては郷に従えってね。
マーク・R 好きなライブハウスもたくさんあるんだけど、ヨーロッパでは街のメインスクエアでライブをすることがある。つぎのスイスでのライブがそうなんだけど、臨場感があっていつも楽しみだね。
――小さいライブハウスと大ホールやフェスティバルといった大規模なライブでは、どちらが好きですか?
マーク・F 小箱のほうがリアクションがダイレクトに伝わるし好きだね。
マーク・R 僕はどちらもエンジョイできるよ。
日本ではいろいろなことをやってみたいね
――オフの日はなにをしていることが多いですか?
マーク・R 友だちと会ったり、エクササイズをしたりと普通に過ごす以外はゴルフだね。
マーク・F 全然うまくないけどゴルフはよくやってるよ(笑)。よくクラブがすっぽ抜けて、ボールより先に飛んでいくんだけど(笑)。
マーク・R マーク(F)はデンジャラスだよ(笑)。
マーク・F ゴルフは本当に好きなんだけど、ゴルフが僕のことを嫌いみたい(笑)。日本でもゴルフをしたいんだけど、公演のつぎの日に帰ることが多いからまだ経験できていないんだ。日本ではいろいろなことをやってみたいね。ゴルフもそうだし温泉にも行ってみたいし、でもいつも時間がないんだよね。
マーク・R それ以外だと、僕らはサッカーが好きだから、ワールドカップが楽しみだね。
マーク・F 僕はマンチェスター・ユナイテッドのサポーターで、今年は最悪のシーズンだったよ(笑)。マーク(R)はアーセナルのファンだから最高のシーズンだったと思うけど。シンジ・カガワはもっと試合に出るべきだね。
名曲「サンシャイン・デイ」のエピソードについて
――名曲「サンシャイン・デイ」は、マット・ビアンコにとってどんな存在ですか? 誕生秘話を教えてください。一番リクエストの多い曲だと思いますが、演奏するタイミングはどうやって決めるのですか。
マーク・R 面白いのは、ライブをする国によって期待されている曲がちがうんだよね。日本では「サンシャイン・デイ」を演奏してほしいって言われるけど、別の国に行くとまたちがう曲をリクエストされたりする。だから国によって曲順を変えてるかな。「サンシャイン・デイ」は大好きな曲だし、どこでも好評だから大体どの公演でも演奏するよ。今日のロンドン公演では「サンシャイン・デイ」でライブをスタートする予定さ。
マーク・F「サンシャイン・デイ」は1970年代のイギリスのバンド、オシビサのカバーなんだけど、オリジナルとはちがったアプローチでアレンジしたから気に入ってるよ。
――音楽はもちろんですが、ライブではそのファッション性を含め、あなた方のスタイリッシュさ、粋な大人っぷりがよくわかります。ファッションなどのカルチャーは、音楽にどういった影響を与えていますか。ファッションは好きですか?
マーク・R ファッションやカルチャーは好きだよ。僕はスパイ映画やTVシリーズが好きで、マット・ビアンコっていう名前も架空のスパイの名前なんだ。初期のステージ衣装はスパイ映画に影響を受けたスタイルだったね。いまでも、その辺を歩いている普通の人のような格好でライブはしたくないから(笑)、ステージ衣装はいつも考えて選んでいるよ。
マーク・F 音楽とカルチャーは一心同体だからね。
マーク・R ファッションと音楽で共通しているのはそのヴィンテージ性かな。現行のものは常に古いものから影響を受けていて、そこからあたらしい音楽やファッションが生まれるのが面白い点だね。
――経験、実績を積み上げてきたからこそ出せるパフォーマンスや、できる音楽はありますか?
マーク・R そうだね。世界中をツアーで回って、そのたびに現地のミュージシャンとセッションしているから、いろんな国の音楽の影響を受ける。たとえばキューバに行ったとき、キューバ人のミュージシャンとセッションしたのはとてもいい経験になった。そういった長年の経験がマット・ビアンコの曲、パフォーマンスに出ていると思う。
マーク・F 現地のアーティストとのセッションはいつも学ぶことがあるよ。
マーク・R それに僕たちのスタイルはジャズ、ラテンジャズだから、ポップ音楽のアーティストとはちがって、何歳になってもプレイできるし、逆に年を重ねたら、重ねた分だけいいステージさばきができると思う。
――今後、新作の予定はなにかありますか?
マーク・F これからレーベルと話をする段階だね。いまはツアーに集中できているから、それを楽しんでいるよ。
――今回のブルーノート東京での公演では、なにか特別な予定はありますか?
マーク・F 前回の公演のビデオを見てこれから考える予定だよ。
高倉宏司|Takakura Hiroshi
京都市出身。7年前に渡英し、ロンドンを中心とした現地の生きた音楽シーンをリアルタイムで体感、DJ/イベントオーガナイザーだけでなく、雑誌やCDライナーノーツなどでの翻訳と執筆活動により、幅広い音楽情報を発信中。