kizunaworld.org|サイモン・フィッシャー・ターナーと高谷史郎による映像作品「Time」
LOUNGE / MUSIC
2015年4月27日

kizunaworld.org|サイモン・フィッシャー・ターナーと高谷史郎による映像作品「Time」

kizunaworld.org #29

サイモン・フィッシャー・ターナーと高谷史郎による映像作品「Time」

坂本龍一氏らによってスタートし、国内外のさまざまなアーティスト作品を通じて寄付を募る東日本大震災被災地支援プロジェクト、「kizunaworld.org(キズナワールド・ドット・オルグ)」。29番目の作品は、イギリス人ミュージシャンで作曲家のサイモン・フィッシャー・ターナー氏の音楽と、アーティストグループ「ダムタイプ」の総合的なヴィジュアル・ディレクションを手がける高谷史郎氏の映像によるコラボレーション作品「Time」だ。

Text by IWANAGA Morito(OPENERS)

音の響きと水面の波紋が紡ぐイメージ

坂本龍一氏と平野友康氏が発起人となり立ち上がっ「kizunaworld.org」。「個人の力でできるかぎりのことをする」というコンセプトのもと、国内・海外からプロジェクトに賛同するアーティストの作品を広く集めて提供、寄付を募っている。東日本大震災から2年が経過した現在も、個人の想いを繋げながら、継続的な支援をつづけている。

29番目となる作品のタイトルは「Time」。楽曲を制作したサイモン・フィッシャー・ターナー氏と、映像を担当した高谷史郎氏がコメントを寄せた。

今回の作品は、音楽自体が音楽を作った、と言っていいでしょう。
あのひどい災害が災難であったように。
津波、そして自然と人類がもたらした結果がわたしの心をゆさぶりました、

あらゆるレベルの恐怖とともに、わたしの身体と心の内と外までも。
本作「Time」は音楽が音楽を紡ぎました、もっともシンプルな形で。
あらゆるレベルの恐怖を感じた人々の感情を考えることの、
手助けになる音、あるいは音楽を見つけ出すのは困難でした。
時間がやがて少し癒してくれるのかもしれません。
われわれはこの惑星の上では小さな存在です。
わたしたちは自分たちのまわりを良く見なくてはなりません。
互いに、そして自然をリスペクトしなくては。
ホモサピエンスはまだ若い生物です。
地球が平和でありますように。

サイモン・フィッシャー・ターナー

このサイモンの音をはじめて聞いた時、なにかあたらしいフェーズに入るチャイムのようだとおもいました。
先にあるのは、単に輝ける発展する未来ではないですが、美しい関係がはじまる予兆のような感覚があります。
3.11以降の、この大きな被害から立ち直るには、なにかいままでにない考え方が必要です。
そして、まずは成熟した社会のあり方が問われているのではないでしょうか。
kizunaworldに参加したことで、なんらかの形で次なるフェーズへの移行にかかわることができれば幸いです。

高谷史郎

作品は、1口1000円~20口2万円の任意の寄付をPayPalで決済し、ダウンロードする仕組み。集まった寄付金の全額(決済手数料を除く)が、被災地で「いま必要な支援」として「医療」「こども」「食料」「住宅」「エネルギー」の分野を代表する5つの団体に対して均等に配分され、四半期ごとに寄付をおこなっている。

〈寄付先〉
「国際NGO 世界の医療団」|岩手県大槌町でこころのケアを中心とした医療活動、医薬品の調達

「こどもの音楽再生基金」|教育機関での楽器修復や提供・音楽活動支援
「サンライズ元気村プロジェクト」|仮設住宅で生活する高齢者に米を届ける支援

「ボランタリー建築家機構 坂茂/東日本大地震津波支援プロジェクト」|避難所用簡易間仕切りシステム設置による支援

「環境エネルギー政策研究所 つながり・ぬくもりプロジェクト」|太陽光・太陽熱・バイオマスなどによる被災地支援

kizunaworld.org|サイモン・フィッシャー・ターナーと高谷史郎による映像作品「Time」02

サイモン・フィッシャー・ターナー|Simon Fishre Turner

音楽家。ザ・ガジェッツなどのグループ活動を経て、1987年に「キング・オブ・ルクセンブルグ」名義でアルバムをリリース。並行して、デレク・ジャーマンの映画『カラヴァッジオ』などのサウンドトラックを制作する。1990年、実名をアルバム名とした『サイモン・ターナー』を発表。ソロアルバムや映画音楽で展開するサウンドの出発点となる。執拗なサンプリングや音の断片のコラージュ、無国籍なアンビエント・ミュージックを特徴とする。現在も、積極的な創作活動をおこなっている。
http://www.simonfisherturner.com

kizunaworld.org|サイモン・フィッシャー・ターナーと高谷史郎による映像作品「Time」03

高谷史郎|TAKATANI Shiro

1984年アーティストグループ「ダムタイプ」の創設メンバーとして活動に参加。以降、ダムタイプのパフォーマンスやインスタレーションの制作に携わり、総合的なヴィジュアル・ディレクションを手がける。個人の活動としては、坂本龍一や中谷芙二子との共同制作インスタレーションや、2008年の「明るい部屋」、2012年の「CHROMA」などのパフォーマンスを国内外で発表。また、気候変動をテーマとするイギリス発祥の北極圏遠征プロジェクト「Cape Farewell」への参加など、その活動は多岐にわたる。
http://shiro.dumbtype.com

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