チベットを舞台にした池谷薫監督によるドキュメンタリー『ルンタ』|MOVIE
MOVIE|“非暴力の闘い”に込められたチベット人の心を探る旅
池谷薫監督によるドキュメンタリー『ルンタ』
チベットの現状を映し出すとともに、圧政をおこなう中国政府に対し、非暴力の闘いをつづけるチベットの人たちを捉えた、池谷薫監督によるドキュメンタリー『ルンタ』。7月18日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムで公開、順次全国上映される。
Text by YANAKA Tomomi
“ダライ・ラマの建築家”中原一博が水先案内人
中国の圧政に対し、いまも住民の多くが困難な生活を強いられているチベット。チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世をはじめ、多くのチベット人が故郷を追われ、インドやネパールなどに亡命している。
そして「ほかに害をなさぬこと」というチベット仏教の教えに従いながらも、この圧政に抗議するために、みずからに火をはなつ“焼身抗議”はいまもあとを絶たない。
そんなチベットの現状を映画化したのが、『延安の娘』(2002年)や『蟻の兵隊』(2005年)など、さまざまなドキュメンタリーを手がけてきた池谷薫監督。インド北部の町ダラムサラに30年にわたって住みつづける建築家であり、NGO代表として故郷を失ったチベット人を支援している中原一博氏を水先案内人に、チベット人の心を探る旅に出る。
不屈の精神をもつチベットの人たちの熱きおもいに触れる
チベットの暫定政府があるインド北部の町ダラムサラ。そこで“ダライ・ラマの建築家”と呼ばれるダラムサラ在住の建築家でNGO代表の中原一博は、日本ではあまり報道されない“焼身抗議”を、そしてチベット人の心をブログで発信しつづけてきた。
そんな中原を案内人に、決死の抗議活動を外国メディアの前でおこなった青年僧、長期間監獄に入れられても仏教の教えを頑なに守る老人、厳しい拷問を耐え抜いた元尼僧ら、不屈の精神をもつチベットの人たちの声を拾い、彼らの熱きおもいを映像に刻み込んでゆく。
チベット語で天を駆け、人びとの願いを仏や神々のもとに届けると信じられている“風の馬”を意味する『ルンタ』。暴力に頼るのではなく、非暴力の闘いに込められたチベット人の誇り高いメッセージから、いま、チベットでおこなわれていることを知ることとなる。
『ルンタ』
7月18日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムで公開
監督|池谷薫
出演|中原一博
配給|蓮ユニバース
2015年/日本/111分
http://lung-ta.net
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