Life Is Better──子どもたちの明るい未来のために
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2015年4月20日

Life Is Better──子どもたちの明るい未来のために

3月10日(日)、読者を招いたチャリティ・ランニングを実施

Life Is Better──子どもたちの明るい未来のために

「大好きなランニングで、東北の子どもたちを応援しよう!」と、昨年チャリティ・プロジェクト“Run for Children Tohoku”を立ち上げたDJ松浦俊夫氏。2年目を迎える今年も、読者を招いたチャリティ・ランニングを実施。被災した子どもたちの明るい未来のために、皇居を走り抜けた。

Photographs by SUZUKI KentaText by TANAKA Junko (OPENERS)

被災地との距離をすこしでも縮めるために

東日本大震災から早くも2年が経過した。街を渦巻いていた自粛ムードは過去のものとなり、いまやすっかり日常を取り戻したかに見える。だが被災地に目を向けてみると、いまだに多くの人が震災の傷跡を抱えて生活している。

Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013|26

被災地との距離をすこしでも縮めるためにできること。それがチャリティ・プロジェクト“Run for Children Tohoku”のはじまりだった。走ることで被災した東北の子どもたちを応援しようというこのプロジェクト。発起人であるDJ松浦俊夫氏は、個人のチャレンジをチャリティ活動に変える、オンライン寄付のプラットフォーム「Just Giving Japan」をつうじ、寄付を呼びかけてきた。

震災からちょうど1年という日には、アディダスの協力のもと、OPENERS読者を招いたチャリティ・ラン・イベント「Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE」を開催。参加費として寄付金を募り、集まったお金はすべて、被災した子どもたちへの支援活動をつづける「ハタチ基金」に寄付された。

風ニモマケズ、ふたたび心をひとつに

そして2013年3月10日(日)、2回目となるチャリティ・ラン・イベント「Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013」を開催。当日の昼下がり、会場周辺は強風と煙霧(えんむ)に見舞われ、お世辞にもラン日和とはいえない天気であった。しかし苦しい状況にもかかわらず、復興をつづける被災地の人びとを想う気持ちが背中を押ししたのか、参加者たちはそんな天気をものともせず、ぞくぞくと受付場所のランニング施設「アディダス ランベース(adidas RUNBASE)」に集まりはじめた。

受付をすませた人の手には、この日のために用意された特製Tシャツが。これは、震災で大きな被害を受けたエリアのひとつ、宮城県・仙台市出身のグラフィックデザイナー・菅原義浩氏が故郷を想い、その地で育っていく子どもたちの未来を想像しながら、松浦氏とともにデザインしたもの。背中にプリントされた文字「Life Is Better(=人生はもっと素晴らしい)」には、復興の先に待つ明るい未来を願う菅原氏と松浦氏、ひいては被災地の人びとの切実な想いが込められている。

Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013|04

Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013|05

その特製Tシャツを身につけ向かった先は、アディダス ランベースの隣にあるレストラン「永田町 マドゥレス」。そこで松浦氏は参加者に感謝の意を述べたあと、被災地への想いを語った。「まだ復興への道のりは長い」。そう語るのは、機会を見つけては被災地の状況をその目で見てきた彼だからこそ、であろう。

子どもたちの教育は長期戦

その後、松浦氏からの紹介でスクリーンに映し出されたのは、ハタチ基金の代表を務める今村久美氏からのビデオレター。今村氏は、壊滅的な被害を受けた被災地に住む子どもたちが、放課後や休日に時間をすごすための居場所「コラボ・スクール」を提供してきたことなど、ハタチ基金がこれまでにおこなってきた活動を紹介。事態は快方に向かう一方で、子どもたちからいじめやDV(家庭内暴力)の相談件数が増えていたりと、震災から2年が経過したいま、あらたに表面化してきている問題もあるという。

「これから復興が進んでいくなかで、街全体が工事現場になっていくというフェーズに入ります。これまで慣れ親しんでいた街が、工事現場になってしまう。それも子どもたちの心の変化を想像すると、なかなか辛いものがあります。ハタチ基金の施設に通う子どもたちは、そうしたいろんな悩みを抱えながらも、前向きに進んでいこうとしています。子どもたちの教育は長期戦。応援いただくみなさんの気持ちを、代弁するような気持ちで活動をつづけていくので、どうかこれからも長いスパンでの応援をお願いします」

「ハタチ基金」代表の今村久美氏

「ハタチ基金」代表の今村久美氏

真剣な眼差しで、今村氏の言葉に耳を傾ける参加者たち。これからはじまるランニングに向けて、気持ちをあらたにした瞬間であった。

復興への道のりはまだはじまったばかり

14時46分、ふたたびランベース前に集合して黙祷を捧げたあと、いよいよ皇居に向けて出発した。背中に刻まれた「Life Is Better」のメッセージを一歩、また一歩と被災地にいる子どもたちに届けるために。

Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013|15

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走り終えたあとの参加者たちの晴れやかな表情。それはだれかのことを想い、行動した人特有の優しさに満ち溢れていた。この日、参加費として募った寄付金の合計額は10万5000円。寄付金に添えられた子どもたちへの想いとともに、松浦氏の手で全額ハタチ基金に届けられた。イベントを終えたいま、なにをおもうのか。松浦氏に感想を聞いた。

「震災後、抱えていた焦燥感を断ち切るためにはじめたランニング。それが昨年、東京マラソンの挑戦へとつながっていきました。日々ランニングをすることで、心身ともに強くなれたとおもいます。今回はその想いを『Life Is Better』の文字に込めました。マラソンではランナーがともに走る“仲間”たちのために、励ましのメッセージを背負って走ることが多々あります。今回参加してくれたみなさんが、またいつかこのTシャツを着て大会に出場してくれることを願っています。もちろん私自身も」

復興への道のりはまだはじまったばかり。ゴールが見えない不安に襲われるとき、あまりの苦しさに途中で投げ出したくなるとき……。ランニングには不安や苦しみがつきものだ。しかしだからこそ、ゴールにたどりついたときの喜びは、なにものにも代えがたいのではないだろうか。それが何年先、何十年先になるのかはわからない。だがこの日刻んだ一歩は、たしかに子どもたちの明るい未来へと通じているはずだ。

Run for Children Tohoku in adidas RUNBASE 2013|30

adidas RUNBASE
東京都千代田区平河町2丁目16-1 平河町森タワー1F
営業時間|平日 7:00~22:30/土日祝 7:00~19:00
料金|ビジター:700円
回数券:5000円(10枚/6カ月)
シューズレンタル:100円
ウェアレンタル:一式 500円/一点 300円
タオルレンタル:小 100円/大 200円

adidas RUNBASE
Tel. 03-3261-9980
http://adidas.jp/running/runbase/

           
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