「アードベッグ 17年」の復活――伝説のシングル・モルトが紡ぐ新たな物語|ARDBEG
LOUNGE / EAT
2024年10月25日

「アードベッグ 17年」の復活――伝説のシングル・モルトが紡ぐ新たな物語|ARDBEG

ARDBEG|アードベッグ

2004年の販売終了から20年――。スコットランド・アイラ島が生んだ珠玉のシングルモルトが、ついに復活を遂げた。ストレートで味わう至福の一杯が、再びウイスキー党を魅了する。

Text by TSUCHIDA Takashi

この銘柄は、何も足さずにストレートで!

現代は、ウイスキーの楽しみ方が多様化し、ハイボールやカクテルなど、様々なアレンジが人気を集めている。しかし、シングルモルトの真髄を味わうなら、やはりストレートこそが王道。そんな原点回帰を促す一本が、この度復活を遂げた「アードベッグ 17年」である。
なぜストレートなのか。それは、シングルモルト本来の香りと味わいを余すことなく堪能できるからだ。作家・村上春樹氏は、著書『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』の中で、シングルモルトの楽しみ方をこう描写している。
“シングル・モルトには氷を入れてはいけない。赤ワインを冷やさないのと同じ理屈で、そんなことをしたら大事なアロマが消えてしまうからだ――。”
グラスの縁に鼻を寄せ、ゆっくりと時間をかけて香りを楽しむ。そしてわずかに口に含み、舌の上で転がすように、その複雑な味わいと対話する。そんな贅沢な時間を過ごせるのも、ストレートならではの醍醐味である。そうするうちにシングルモルトが生まれたテロワールを感じ取ることができるだろう。特にアイラ島のテロワールはなかなかの硬派で、ウイスキー党の想像力を掻き立てる。
つまりシングルモルトはテロワールを楽しむために飲むのだから、ストレートが一番なのだ。水やサイダーはもちろん、氷だって入れたくない。それが、村上氏の主旨であり、多くのウイスキー党は同じ様に考えている。
さて、そんなストレートで味わうのにぴったりの銘柄が、新しくアードベッグから復活した。2004年、多くのウイスキーファンに惜しまれながら姿を消した伝説のウイスキー銘柄「アードベッグ 17年」である。姿を消した理由は、原酒の枯渇だった。アードベッグ蒸留所の最高蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士は、「アードベッグ 17年」の販売終了を決断せざるを得なかったのだ。
「アードベッグ 17年」の最大の特徴は、アードベッグらしからぬローピートな味わいだ。アイラ島のシングルモルトとして、ピートのニュアンスは確かに感じられるが、しかしそれ以上に際立つのはエレガントな飲み口。独特の味わいを可能にしたのは、アードベッグの他の熟成年数銘柄とは異なる原料工場との取引である。その工場では、使用する大麦麦芽のフェノール値が異なっていたのだ。フェノール値が低い大麦麦芽を使用することで、よりマイルドでエレガントな味わいを表現していたという。
アードベッグ 最高蒸留・製造責任者 ビル・ラムズデン博士。2024年9月11日に東京・渋谷で行われた「アードベッグ 17年」の復活を記念するトークイベントにて。
ビル博士は、この伝説の味わいにこだわり、さらにアルコール度数を40度に設定。アードベッグの他の銘柄では行わない冷却濾過を行った。その結果、飛び抜けてスムースな口当たりが実現。ローピートな味わいと、なめらかな口当たりという2つの要素が高次元で融合し、ストレートで楽しむべき繊細さが生まれたのである。
「私は、もしかしたら、それを戻すことができるかと思いました」と、ビル博士は来日イベントで語った。彼は、販売終了後も密かに少量ずつ、実験的に「アードベッグ 17年」の原酒を作り続けてきたそうだ。そして「2年前に、そのバッチを試してみて、同じ味わいを作ることができると思いました」と、ビル博士。
彼の不断の努力が実を結び、20年の時を経て、「アードベッグ 17年」が復活を果たした。しかもビル博士によれば、今後も毎年リリースできるほどのストックが蓄積されているとのこと。これはウイスキー党にとって、またとない朗報だ。
テイスティングノートを見ると、その魅力がひしひしと伝わってくる。フレッシュでクリーンな香りに、松脂や海のしぶき、そしてラベンダーの石鹸のニュアンス。加えて、ビル博士は「アードベッグ蒸留所で、空気を胸いっぱいに吸い込むような」と表現する。味わいは美しくクリーミーなテクスチャーで始まり、アニス風味のトフィー、カフェラテ、フェンネル、かすかに薬用せっけんが調和する。さらに燻製したフルーツの香りが鼻腔をくすぐり、アイラ島の風土を雄弁に物語る。ピートは控えめながら存在感を示し、コシのあるオーク、ココアパウダー、タールの長い余韻へと続くのだ。
左がビル・ラムズデン博士。右はMHDのシングルモルトアンバサダーとして活躍するロバート・ストックウェル(ボブ)氏。
ビル・ラムズデン博士は、「スタンダード銘柄の『アードベッグ 10年』がエスプレッソとするならば、『アードベッグ 17年』はカフェラテのような優しさ」と表現した。この言葉が、「アードベッグ 17年」の特徴を端的に表している。
さて、ウイスキー党の皆様、そしてこれからウイスキーの世界に足を踏み入れようとしている皆々様。「アードベッグ 17年」で、ストレートデビューをしてみてはいかがだろう。グラスに注がれた琥珀色の液体に鼻を近づけ、その香りに酔いしれる。そして、ゆっくりと口に含む。そこには、アイラ島の風土と、20年の時を超えた職人の技が詰まっている。
残念ながら2024年の販売はすでに終了しているが、こうした逸品の情報を逃さないためには、アードベッグコミッティーメンバーになることが一番確実。次のチャンスを掴むために、アードベッグのHPからコミッティーメンバーへの無料登録を今のうちに済ませておくことをお勧めする。
■ 品名 :アードベッグ 17年
■ 価格 :3万800円(税込)
■ 容量 :700㎖
■ アルコール度数:40度
■ 熟成樽 :バーボン樽
■ URL:https://www.ardbegjp.com/products/ardbeg-17yo
問い合わせ先

MHD モエ ヘネシー ディアジオ モエ ヘネシー マーケティング部
Tel.03-5217-9777
https://www.ardbegjp.com

                      
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