SPREADによる2つのエキシビション。インスタレーション「六本木カラー渓谷」と個展「観賞用コントラスト」|SPREAD
LOUNGE / ART
2019年10月15日

SPREADによる2つのエキシビション。インスタレーション「六本木カラー渓谷」と個展「観賞用コントラスト」|SPREAD

SPREAD|スプレッド

カラーとコンセプトで"SPREAD=広げる"クリエイティブ・ユニットが探る、色の景色の本質とは

クリエイティブ・ユニット「SPREAD」が、この秋に2つのエキシビションを開催する。これまでに環境・生物・物・時間・歴史・色・文字などあらゆる記憶を取り入れ、“SPREAD=広げる”クリエイションで社会に提案を投げかけ、数々のデザイン賞を受賞するなど国内外での評価は高い。小林弘和と山田春奈、グラフィックやプロダクト、エキシビションのデザインやディレクションなどを通して色彩を深く掘り下げてきた二人が仕掛ける2つのエキシビションとは?

Text by WAKABAYASHI Satsuki

色彩に浸るインスタレーションと色の景色の本質を探る個展

"デザインを五感で楽しむ"をテーマに毎年秋に東京ミッドタウンで開催されているデザインイベント「TOKYO MIDTOWN DESIGN TOUCH」。
クリエイティブ・ユニット・SPREADは、このイベントのメインコンテンツである「デザインの森」の中で、「六本木カラー渓谷」と題したインスタレーションを担当する。
“色景に浸る”をコンセプトに、東京ミッドタウンのガーデンエリアを、全長1km以上ものカラフルなファブリックで覆い、色鮮やかな渓谷を出現させる。
会場となる「ミッドタウン・ガーデン」は、SPREADの二人にとって普段から何度も行き来してきた場所であり、彼らにとっていい意味で“通り道”なのだという。
何かがあるというのではなく、気持ちよく通過する場所。言うなれば何のストレスもなく、ただ歩いて頭が解放され感覚が“開かれる場所”。
そんな彼らはミッドタウン・ガーデンにある植物や景色を殺すような表現ではなく、より抽象的なものにしたいと考え、そこに元々あるものや記憶が透けて感じられるような表現をしたいと考え始めた。こうして生まれたのが、メッシュ生地を使った渓谷というインスタレーションだ。
多くの人々が行き交い、それぞれの記憶が重なるこの道に、記憶を上塗りすることなく表現するには、透けて幾重にも重なるメッシュは最適。また、メッシュは遠くから見れば一枚の布だが、近づくと小さな四角が並ぶ集合体となる。
このスケールによる違いはコントラストの美しさにもつながる。行き交う人の動脈と静脈、足元に小さく咲く花々、そこに集う小さな虫。それらの色を引き出し、透かし、重ねた「六本木カラー渓谷」を歩きながら色に浸り、感覚が開かれるのを味わってみてほしい。
また、同時期にSPREADの個展も開催される。「観賞用コントラスト」と題されたこの個展では、彼らの創作活動の中で、色のセレクトや構成と共に強く意識する「コントラストが美しい」という点にフォーカスし「コントラストの観賞」をテーマにした作品が並ぶ。
大小様々なスチールプレートの表面に凹凸のあるテクスチャーを施し、色をのせた作品の数々は、来場者の感覚を覚醒させ、色の奥にあるものの観賞を誘発することだろう。
これまで多くの色景を巡ってきたSPREAD。光と闇のコントラストをすくい取り、彼らが探り出そうとしている色の景色が持つ本質とは。
インスタレーション「六本木カラー渓谷」と個展「観賞用コントラスト」。どちらも色彩を深く掘り下げて来たSPREADによる考察と実験を2つの異なる場所で表現している。色や場所が持つエネルギーを、五感を通して体験できる貴重な機会となることだろう。
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 「六本木カラー渓谷 INSTARATION BY SPREAD」
会期|2019年10月18日(金)~11月4日(月・祝)
会場|東京ミッドタウン(六本木)ミッドタウン・ガーデン
住所|東京都港区赤坂9丁目7−1
URL|https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/

SPREAD SOLO EXHIBITION「観賞用コントラスト」
会期|2019年10月31日(木)~11月23日(土)
会場|(PLACE)by method
住所|東京都渋谷区東 1-3-1 カミニート14号
URL|http://wearemethod.com/
                      
Photo Gallery