ART|山梨県で『キース・ヘリングの記号性 vol.2』展
ART|ヘリング作品とアフリカ美術との関係性を読み解く
山梨県でキュレーターズ・セレクション007 『キース・ヘリングの記号性 vol.2』展
1980年代のニューヨークのアートシーンを席巻したアーティスト、キース・ヘリングとアフリカ美術との関係を浮かび上がらせるキュレーターズ・セレクション007 『キース・ヘリングの記号性 vol.2』。2014年1月6日(月)まで山梨県北杜市の中村キース・ヘリング美術館で開かれている。
Text by YANAKA Tomomi
クバ族のテキスタイルと共通するヘリングの記号性
ニューヨークでの地下鉄構内をつかったいわゆる「サブウェイ・ドローイング」で一躍脚光を浴び、1990年に他界するまでの10年間を、駆け抜けるように、精力的なアートワークをおこなってきたキース・ヘリング。彼の作品約160点を収蔵し、プライベート美術館としてその存在感を発揮する中村キース・ヘリング美術館で、“キュレーターズ・セレクション”として、ヘリングとアフリカ美術の関係性について考える展覧会が開催中だ。
「プリミティブでポップなものにすごく関心があった。ぼくのドローイングのスタイルはエスキモーやアフリカン、マヤ、そしてアボリジニーのアートにとても近い」と語ってきたヘリング。
本展では、有数のアフリカ美術のコレクションを誇る北杜市のアフリカンアートミュージアムの収蔵作品より、コンゴ民主共和国の民族「クバ」のテキスタイルやラフィアヤシの織物「ロング・ンチャク」とヘリングの作品を対峙。
光る赤ん坊や吠える犬、ピラミッド、踊るひとなど、繰り返し描写され、記号となって現れてきたヘリング作品。いっぽう、大自然のリズムに呼応した息の長い針仕事により制作されるクバのテキスタイルにも、幻想的な幾何学模様が繰り広げられ、ヘリング作品同様のリズミカルな記号性を感じることができるのだ。
多角的な視点からキース・ヘリング芸術を再考する中村キース・ヘリング美術館恒例のキュレーターズ・セレクション。本展は、アフリカ美術との意外なつながりを浮かび上がらせ、ヘリング作品のあらたな魅力を提示してくれる。