ART|金沢21世紀美術館『島袋道浩:能登』
LOUNGE / ART
2015年4月3日

ART|金沢21世紀美術館『島袋道浩:能登』

ART│若者たち25人とともに能登を旅する

金沢21世紀美術館『島袋道浩:能登』

ベルリン在住のアーティスト島袋道浩(しまぶく・みちひろ)が若者たちとともに能登を旅し、特産の「くちこ」や、「たたら製鉄」のつくり方について学び、展示室に再現する『島袋道浩:能登』。来年3月2日(日)まで金沢21世紀美術館で開かれている。

Text by YANAKA Tomomi

「くちこ」や「たたら製鉄」について学び、展示室に再現

「十代後半の若者の人格形成と社会関係の構築に美術教育が有効である」という近年の研究報告をもとに、「ニート」や「フリーター」を視野に入れアーティストとともに共同制作。18歳から39歳までの若者たちの社会参加を重点的に支援しようと金沢21世紀美術館が2007年からスタートしたのが、「金沢若者夢チャレンジ・アートプログラム」。

2011年からは「美術館はメディエーター(仲介者)」をキーワードにシリーズ化。3年目となる本年度は「社会/世界」をテーマに、現代美術をとおして出会いと対話を重ねながら地域社会から世界を考える取り組みをおこなうアーティストとして島袋道浩に白羽の矢が立った、世界中を旅するなかで出会ったひとやものをきっかけにインスタレーション作品などを制作する人物だ。

島袋道浩:能登 02

島袋道浩:能登 03

今回のプログラムで旅の舞台を能登に選んだ島袋。参加した若者25人とともに2013年4月から9月までの間旅をし、民家を冬の強風から守る間垣や、ナマコの生殖巣からつくる「くちこ」、古来からの「たたら製鉄」について学び、展示室に再現したのだ。

今後も島袋と参加者たちは、活動が展開される来年の3月までの間にも干し柿づくりやくちこづくりを行うという。そして島袋は語る。「ふすまの張替え方は知らないけれど間垣のつくり方は知っているひと。卵焼きはつくったことがないけれど、くちこはつくったことのあるひと。なんでもまんべんなく器用にこなせるのではない。ちょっとかたよったひと。そんな特別な経験と技術をもったひとがこの世界に存在していくことこそ僕にとってのパブリック・アート」だと。

『島袋道浩:能登』

会期│2013年4月27日(土)~2014年3月2日(日)

※後期展示は9月28日(土)~。月曜と12月29日~1月1日は休み。月曜が休日の場合は翌平日が休み。

時間│10:00~18:00 ※金・土は20:00まで

会場│金沢21世紀美術館 展示室13、長期インスタレーションルーム

金沢市広坂1-2-1

Tel.076-220-2800

観覧料│コレクション展IIのチケットが必要。一般350円、大学生・65歳以上280円、小中学生無料

           
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