ベルナール・フリズの個展が麻布と六本木の2ギャラリーで同時開催|ART
ART|「カイカイキキギャラリー」「ペロタン東京」で同時開催
現代の新たな抽象画として注目される
フランスの画家、ベルナール・フリズ待望の個展
フランスの画家、ベルナール・フリズの個展が、2019年 5月8日(水)まで、東京・元麻布の「カイカイキキギャラリー」と、六本木の「ペロタン東京」で同時開催される。新作を含む多数のペインティングを通覧できる貴重な機会だ。
Text by OZAKI Sayaka
過去の実践から得られる新たな手法によって、独自の抽象画を描く
これまでにないペインティングの手法を試み、自身の過去の実践に立ち戻りながら、再び新たなコンセプトを探究するフランスの画家、ベルナール・フリズの個展が「カイカイキキギャラリー」と「ペロタン東京」で開催される。新作を含む幅広いペインティングが展示される今回の個展は、大阪の国立国際美術館でのグループ展『Essential painting』以来、13年ぶりの日本での展示となる。
フリズの作品はいわゆる抽象画にカテゴライズされるものの、現代の抽象画の新たな展開の中心とも言うべき評価を集めており、2015年にはベルリンの芸術アカデミーからケーテ・コルヴィッツ賞を受賞している。そのペインティングは具象芸術と要約されるもの、すなわち現実や識別可能な物体、イメージの表現は排除され、独特の幾何学的なパターンと豊かな色彩で満たされたものだ。ペインティングを見て、石、カーテンや本棚など具体的なオブジェクトを想起させるのは視覚の性質によるものだが、こうした視覚の拡張作用は、また一方でイメージの縮小や断絶作用ももたらす。
フリズは、活動の初期からこのパラドックスの概念をペインティングの構想に置き、見る者の常識と予想に相反する定理を導き出す作品を制作してきた。この定理は個々の作品において熟考のうえでそれぞれのレベルに合わせて適用され、見る者に不思議な感情を呼び起こすのだ。
フリズは自身の作品に関して「私はペインティングにただひとつものがあったり、ひとつのものが示されているのではなく、むしろ作品にパラドックス、対立、難しさがあるところまで到達することを常に試みています」と語る。
ペインティングには常に新たな手法や試みがなされ、例えばペインティングの表面をニスで覆い、ひび割れたテクスチャを持たせたり、あえてイメージを見当はずれに描くことで、ルールに沿わないあらゆる形状を次々に立ち現れさせる。
Bernard Frize
ペロタン東京