鬼才・田名網敬一の作品を網羅。「田名網敬一の現在 -Keiichi Tanaami Dialogue」展|ART
ART|ポップかつサイケデリックな世界
新作プリントやコラボレーションアイテムなど多数の作品が結集
「田名網敬一の現在 -Keiichi Tanaami Dialogue」
1960年代から半世紀以上ものキャリアを誇る田名網敬一の個展「田名網敬一の現在 -Keiichi Tanaami Dialogue」が、10月23日(火)まで、京都dddギャラリーにて開催されている。
Text by OZAKI Sayaka
田名網敬一の「現在」を紐解く個展
1960年代から半世紀以上ものキャリアを誇り、今もなおトップランナーとして自らキャリアの頂点を極めている田名網敬一の個展「田名網敬一の現在 -Keiichi Tanaami Dialogue」が、京都dddギャラリーにて、2018年10月23日(火)まで開催されている。本展では、約20点の新作プリント作品、アニメーション、立体作品から、ファッションブランドとのコラボレーションアイテム、出版物、プロダクトアイテムなどを網羅し、田名網ならではのポップな世界が広がる。
田名網がこれまで制作した作品は、デザイン、イラストレーション、アニメーション、実験映画、立体作品、絵画と非常に多岐にわたる。これらの作品群からは、可変的な創造者であろうとしてきた田名網敬一の等身大の姿を見て取ることができる。近年、田名網は、自身の記憶や夢を原風景にして、その80年以上もの歴史を記した、いわば"曼荼羅図"の制作に取り組んでいる。
田名網の近作は、一見すると奇怪でありながらもポップな妖怪画のように見えるが、そこに描かれているものは田名網自身の実体験に基づく様々な記憶だ。アメリカンコミックを引用したアメリカの爆撃機、その中で光を放つ擬人化した爆弾、威嚇するように蠢めく鶏や金魚などは、田名網が幼少期に実際に体験した戦争の記憶と深く結びついている。
また、田名網が敬愛するアーティストたちの作品や、SF雑誌、漫画のキャラクターなどの引用も数多く画面に描き込まれており、こうした引用は田名網とポップアートとの関係性を示す一方で、作品を通して自身の記憶をポジティブなものへと変換しようとする、作家の自然な姿を反映している。