空山 基の新作個展「Sorayama Explosion」が、渋谷NANZUKAで開催|ART
ART|エアブラシを駆使した写実表現技法のゴッドファーザー
ジャンルを越えて世界中のアーティストに影響を与えた
空山 基の新作個展「Sorayama Explosion」
エアブラシを駆使した驚異的な写実力で知られるアーティスト、空山 基氏の新作個展「Sorayama Explosion」が、渋谷のギャラリーNANZUKAにて2018年8月11日(土)まで開催している。
Text by OZAKI Sayaka
テクノロジーと美、人間とロボットの共存
ギャラリーNANZUKA は、2年ぶりとなる空山 基(1947年~)の新作個展「Sorayama Explosion」を開催。空山 基とは、'69年に中央美術学園を卒業後、広告代理店勤務を経て'72年よりフリーに。その驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求した作品で伝説的存在となっているアーティストである。
彼の名を世に知らしめたセクシーロボットシリーズ('78年~)では、女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた。'99年には、ソニーが開発したエンターテイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザインを手掛け、グッドデザイン賞グランプリ(通産省)、メディア芸術祭グランプリ(文化庁)を受賞。2001年には、初代「AIBO」がスミソニアン博物館とMoMAのパーマネントコレクションに収蔵され、同年に朝日新聞発明賞も受賞した。世界的ロックバンド、エアロスミスの「Just Push Play」(2001年)のアルバムカバーも、彼の手によるものだ。
空山 基は、エアブラシを駆使した写実表現技法のゴッドファーザーとしても、世界中のクリエイターから尊敬を集めるレジェンド的存在である。空山は、'83年に出版した作品集「セクシーロボット」の中でロボットを描く過程を惜しげも無く図解。この本はその後世界中に拡散し、様々な国のアートスクールで教科書として扱われている。結果、彼の作品は日本のコマーシャルアートの枠を遥かに超えて、ハリウッド映画から世界中のストリートアート、ファインアートまで多岐に渡る影響を与え続けている。
空山 基の描くロボットには、造形美を追求する人間の根源的な衝動が体現されると同時に、人種の壁、永遠の命、テクノロジーと美の融合といった現代社会の重要なテーマが自然に取り込まれている。またAIの高度化、機械工学の発展によって、ロボットと人類の共存が現実的なテーマとなっている現在、人間の身体性以後という文脈でも注目を集めている。
本展では、新作のヒューマンスケールサイズの彫刻作品の他、空山 基のセクシーロボットシリーズの源泉のひとつである映画『メトロポリス』('27年)に捧げる新作のペインティングが発表される予定だ。