ART|アンバランスな感覚により問われる作品のありか エラッド・ラスリー展
LOUNGE / ART
2015年4月17日

ART|アンバランスな感覚により問われる作品のありか エラッド・ラスリー展

ART|エラッド・ラスリー展

アンバランスな感覚により問われる作品のありか

ロサンゼルスを拠点に活動するアーティストElad Lassry(エラッド・ラスリー)による日本初の展覧会が5月26日(土)から7月29日(日)まで、南青山のRAT HOLE GALLERY(ラットホールギャラリー)で開かれる。

Text by YANAKA Tomomi

写真、16mmフィルム、立体作品と多彩な作品を展開

イスラエル・テルアビブで1977年に誕生したエラッド・ラスリー。現在はロサンゼルスを拠点に活動し、国際的にも注目を集めているアーティストだ。日本初となる今回の展覧会では、写真や16mmフィルム、立体によるインスタレーションを展開。彼自身の歴史やフォーマリズムに対する問題意識のもと、現代の視覚文化における“イメージ”のあり方に対する問いと探究心が試みられている。

たとえば、人物や動物、日常的なオブジェなどをモチーフとした写真作品では、けばけばしい色の地を背景にしたことにより、モチーフが本来のコンテクストから引き離されるアンバランスな感覚がもたらされているのが特徴だ。さらに、派手な色彩や多重露光、ぶれなどによってそのアンバランスな揺らぎは増幅。ラスリー自身が「苛立たしい映像」と呼ぶその作品は、「知覚を狂わせ視覚情報を受け取るさいの、あるいは世界を知るうえでの安定をどこか揺るがすもの」と、彼がコメントするように、観るものを決して落ち着かせることなく、作品を経験するさいの物質・非物質性について問いかける。

エラッド・ラスリー展 02

エラッド・ラスリー展 04

このほかにもフレームを示唆する木製のベッドを模したオブジェも出品。ベッドと呼ぶには小さいその作品は4つの十字架に鮮やかな緑色と、そこにも現実感はない。機能性や象徴性、あるいは絵画性にも還元しきれないこの作品もまた、他とおなじく、作品のありかを問うものとなっている。

イメージと物との緊張関係を生み出すことでジャンルを越えた問いを立ち上げるエラッド・ラスリー展。生み出された不安定感により、見るものを引きつけて離さない作品との問答を楽しみたい。

エラッド・ラスリー展
会期│5月26日(土)~7月29日(日)
時間│12:00~20:00
定休日|月曜日
会場|RAT HOLE GALLERY
東京都港区南青山5-5-3 B1
Tel. 03-6419-3581

           
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