TOKYO PREMIUM BAKERIES|第4回 Boule Beurre Boulangerie|ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり
Lounge
2015年4月13日

TOKYO PREMIUM BAKERIES|第4回 Boule Beurre Boulangerie|ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

第4回 Boule Beurre Boulangerie|ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり
何度でも通いたくなる、記憶に残る味のパン

東京でほんとうに「上質でおいしいパン」を提供しているパン屋さんを紹介する連載「TOKYO PREMIUM BAKERIES~カラダもよろこぶ、東京の自然派素材パン屋~」。
第4回は、東京の西部・八王子で人気の『ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり』です。「ぶーる」は丸いパン、もうひとつの「ぶーる」はバター、そして「ぶらんじぇり」はパン屋さんを意味します。じつは自然派のパン屋激戦区の八王子で、2006年のオープン以来、評判の高い「ぶーる・ぶーる」で出会ったパンとは……。

取材・文=戸川フユキ写真=高田みづほ

生地には必要最低限しか触れず、パンのなかに糖分を残す

かつては宿場町として栄えた八王子。北口から西放射線道路を突き抜け、国道20号線の八日町信号をわたると、「みずき通り商店街」がはじまる。
数メートル先に見える、爽やかなブルーと赤いドアが隣り合った、小さな雑貨屋さんのようなたたずまいが『ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり』だ。

草野 武シェフとパンとの衝撃的な出会いは、意外にもカリフォルニアの片田舎。
そのベーカリーは、20マイル(約30キロ)も先からお客がやってくるほどの人気店で、どれもしっかりと濃い粉の味がした。こんなおいしいパンが日本でもないものかと探していたところ、名店『ニコラ』のパンと巡り会い、その後シェフとも知り合って、「このパンを自分もつくらなくては!」と強く感じた彼は、広告制作会社を辞めて『ニコラ』でのパン焼き修行に入ったのだった。

草野シェフがパンづくりで心がけているのは、あくまでも生地を大事に扱い、必要最低限の回数しか生地に触れず、パンのなかになるべく多くの糖分を残すこと。
パンの製法がシンプルなだけに、ちょっとした気配りで味は大いにちがってしまうのだそうだ。もちろん化学的な添加物はいっさい使わず、自家製天然酵母やライ麦酵母、ポーリッシュ種を使い分けて、さまざまなパンを焼いている。

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店名の「ぶーる・ぶーる」を冠するクロワッサン 1個140円

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36時間の低温長時間発酵でつくられる「バゲット・ポーリッシュ」

お薦めは、細長いリスティック生地の「フリュイ」。クランベリーとクルミがたっぷりと入っており、しっかりした噛みごたえと、濃厚な粉の味が特長だ。食べはじめたら、そのまま一本食べ切ってしまうほどクセになる。

店名を冠した「ぶーる・ぶーる」は、2日以上かけてつくられる味が濃いクロワッサン。あえて生地の折り数を少なくし、パリパリというよりも、バリバリという歯ごたえの皮に仕上げられている。

毎日焼かれる「バゲット・ポーリッシュ」やハード系のパンも人気だが、陳列棚が限られているため、日替わりパンの種類が多い。
取材の日もお客さんはなかなか途切れず、通りがかりの自転車の男性が店の外から「あの、バナナの細長いパンある?」と声をかけ、「あ、それ、明日ですね」「じゃまた明日来るわ」なんていう親しげなやりとりも聞かれた。

実家が営む生花店の斜め向かいに店を構えた草野氏。この場所に決まったのは「まったくの偶然」だそうだが、昔ながらの知り合いが自分の焼いたパンを買いにきてくれるうれしさは、ひとしおだろう。

将来はもっと厨房を広げ、いずれはフランスの街角にあるような、カフェつきのパン屋さんにしたいと夢を膨らませる草野氏。元グラフィックデザイナーの彼の頭のなかには、すでに明確なイメージがあるにちがいない。

Boule Beurre Boulangerie
『ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり』

東京都八王子市八日町10-19 みずき通り商店街
Tel. 042-626-8806
営業時間│11:00~パン終了まで
火曜・水曜・隔週月曜定休
JR八王子駅北口、徒歩8分
http://ameblo.jp/boule-beurre/

           
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