Life is Edit. #014 ~おとなの修学旅行 in 沖縄・座間味~
#014 おとなの修学旅行 in 沖縄・座間味
ひとりのヒトとの出会いによって紡がれ、生まれる新しい”何か”。
ひとつのモノによって惹きつけられ、生まれる新しい”何か”。
編集者とは、まさにそんな”出会い”をつくるのが仕事。そして人生とは、まさに編集そのもの。
──編集者、島田 明が、出会ったヒトやモノ、コトの感動を紹介します。
文と写真=島田 明
今年、わたしは誓ったんです。これからは、もっと、もっと旅をしよう、と。
移動した距離は発想の豊かさに比例する、と言われるとおり旅先で出会った風景や人々は、
じつに多くのアイデアと生きることの意味をわたしに教えてくれます。
今回の沖縄への旅も、そんな素晴らしい出会いの連続でした。
モンパチ清作クンの引率で
わたしにとって、はじめての沖縄への旅。
そのキッカケは、沖縄出身で、いまも沖縄に創作のベースをおくミュージシャン"モンゴル800(モンパチ)"、
そのボーカリストである上江洌 清作(うえず きよさく)くんとの出会いからはじまりました。
約1年ほど前のこと。
弟分である加藤博照ことカトピー(ジュエリーブランド、ナインシクシティーのデザイナーで、このオウプナーズでも連載中)が彼のアトリエで紹介してくれたのが清作くんでした。そのとき、清作くんも「沖縄で音楽やってます」みたいなユルい自己紹介の仕方だったのと、わたし自身、モンゴル800、というバンドを不勉強でよく知らなかったのとで、しかもそこにいた若者全員が「おなかがすいた!」ってことで話もソコソコに急遽、焼き肉に直行(笑)。
で、清作くんも、本音かどうかわからないけど「いや、焼き肉、ひさしぶりっす」みたいなことをいうので
「そうかぁ、頑張れよ(苦労してるんだなあ、と内心思ったわたし……)。
もっと食べな、肉、肉! 俺のオゴリだから!」みたいな返しをして。
そして若者全員がおなかいっぱいになったあと、清作くんが「あした、ライブやるんで、よかったら来てください、島田さん!」
なんて誘ってくれたのですが、
「あしたは撮影なんだよね。終わったら、行けるかもしんないなぁ」みたいな、
ツレナイ返しをしてしまい……。
翌日、その撮影現場の若手スタッフに、きのう会ったモンパチの清作くんのことを話すと
「えぇ~、わたし大フアンなんですう。えぇ~、島田さん、その誘い、無下に断ったんですかあ!」
みたいなハイテンションで、若干あきれられ(笑)、急遽、撮影を巻き巻きで終了、渋谷のAXに一同で向かい(笑)。
当日はサンボマスターとの対バンでしたが、いやぁ~、もの凄い盛り上がりでした(当たり前ですね)。
終演後、楽屋をたずねると、清作くんは「きのうは御馳走さまでした!」と律儀に挨拶、
で、ほかの2人のメンバーもわたしに「今度は、僕らもいいっすか?」みたいな感じで寄ってきてくれて。
演奏もすごかったけど、彼らの律儀で冒頓とした態度や姿勢に心うたれたわたしでありました。
その後も清作くんとは、カトピーや不動産プロデューサー”六本木の帝王”土橋くんたちと一緒に
何度も東京で親交を温めていたのですが、深夜のゲイバーで、わたしが
「最近、なかなか感動しないし、驚かないんだよなあ」みたいなことをポツリと漏らしたら、
清作くんが「じゃあ、沖縄に来てくださいよ。絶対、感動するから。
島田さん、沖縄来たことないんでしょ?
だったら僕が企画しますよ、おとなの修学旅行を!」
そんな感じで、今回の沖縄”おとなの修学”旅行の企画は、
深夜、知り合いの秀喜くんのお店での何気ない清作くんとの話からスタートしたのでした……。
沖縄・座間味で、おとな全員、童心にかえる
で、集まったメンツは、カトピー夫妻や土橋くん一家、ミラノから夏休みで日本に戻ってきた日本料理「遠藤」の逸見さん、
そして清作くん一家など総勢12名。途中、前入りしていた土橋くんたちが沖縄のゲイバーで知り合った人なんかも合流して、
その数15名! と、かなりの大所帯でした。
今回だけは、編集者の習性である前調べを一切封印(笑)、あえて素の状態で乗り込んだわたし。
こんなこと、滅多にしないんですけどね。
やはり清作クンの「驚かせますよお。感動させますよお」の一言をよりMAXにするには、前情報はいらぬ、と思った次第。
で、清作くんの指示通りに、那覇から高速船で約1時間の離島・座間味に降り立ちました。
清作くん、土橋くん、カトピーが港まで迎えに来てくれましたが、その光景はドクター・コトーのよう(笑)。
なかなか船旅って、ノスタルジックな気分でいいな、とひとり思っていました(笑)。
その後、船中で知り合った、行き当たりバッタリ旅をつづける、スペイン人のカップルに宿の手配を助けてあげて、清作くんなんか彼らにお菓子なんかあげたりして(笑)、若干時間をとりましたが、これも沖縄時間、ってことでノンビリ、ユル~く人助け。そして、いよいよビーチに到着です。
いや~、感動しました、海の青さに。
聞けば、座間味の古座間味ビーチは世界で2番めの透明度をほこるビーチだそう。
シュノーケルをつけて泳げば、陸からすぐなのに美しい魚や大きな魚が寄ってくる、寄ってくる!
もう時間を忘れて、みんなで潜ってました。
そして、夜は清作くん仕切りでバーベキュー大会。
波打ち際で食べる肉や野菜、そしてミラノで日本料理屋を仕切るプロ逸見さん渾身の作、
海老の塩焼きに舌つつみを打ち、見上げれば満点の星空が……。
翌日は野生のカメが泳ぐポイントに行き、幸運にもカメに遭遇できたり、青い海中から光の屈折でレーザービームのように光を発する神々しいポイントに行ったり、夕方には神の浜展望台で美しい夕日を眺めたり……。
これぞ、清作くんの言うところの、ちかごろ不感症ぎみなおとなへの”感動の修学旅行”決定版!
と、しみじみ思ったのでした。
いい仲間と感動は、おカネじゃ買えない
「成功って、なんだろう?」
沖縄の青い海でプカプカと浮遊しながら(笑)、ふと思ったわたし。
人によっては、それを”おカネ”と考える人もいるかもしれない。
それを”高い地位”と捉える人もいるかもしれない。
でも、わたしの場合、こう思うんです。
「成功」とは、いい「仲間」の存在だ、と。
「仲間」がいれば、そして何事にも「センス」があれば、「仲間」は、きっと素敵なチャンスをくれるはず。
それは感動したり、仕事で成功したり、と胸躍る瞬間へのチャンス。
感動する瞬間、感激の度合い、その積み重ねが、きっと人生を豊かにしてくれる。
人生における「成功」とは、そんなものではなかろうか、と。
今回の沖縄旅行は、そんな「仲間」と「成功」の意義を考えさせられる旅となりました。
素敵な「仲間」が与えてくれた、感動の旅でした。
ダライ・ラマ14世は、こうも言っています。
『こう言うと、ときどき笑われてしまうのですが、私自身、友がもっとほしいとしょちゅう思っています。
私は笑顔が大好きなのです』
わたしも、旅を通じて、編集者として、
もっともっと友を増やしてゆきたい。
沖縄の美しい夕焼けを見ながら、そう誓ったのでした(笑)。