Life is Edit. #001 ~1本の時計が紡ぐ、出会いの糸 ベル&ロス編~
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2015年4月28日

Life is Edit. #001 ~1本の時計が紡ぐ、出会いの糸 ベル&ロス編~

ひとりのヒトとの出会いによって紡がれ、生まれる新しい”何か”。ひとつのモノによって惹きつけられ、生まれる新しい”何か”。編集者とは、まさにそんな”出会い”をつくるのが仕事。そして人生とは、まさに編集そのもの。
──編集者、島田 明が、出会ったヒトやモノ、コトの感動を紹介します。

文=島田 明

#001  1本の時計が紡ぐ、出会いの糸"ベル&ロス編"

服も多いけど、男の会話や出会いのきっかけづくりでいちばん多いのは、やはり時計ではないか、と。かくいう私も、この時計を身につけることでいろんな出会いが生まれ、多くの魅力的な人を惹きつけてくれました。1本の時計が縁で繋がった、熱き男たちのサークルのような内輪話。

出会いはスイスでの”逆ナン”?

ズシッと腕にくる、この重みが実にスパルタン、でもってピンクゴールドの輝きがエレガント。そんなミックススタイルを高次元で表現した腕時計がパリ発ブランド、ベル&ロス「BR01-94」。
じつはこの時計のデザイナー、ブルーノ・ベラミッシュ(以下BB)とは旧知の仲。7年ほど前に時計のバーゼル会場で「僕、BB。君の名前は?」と逆ナンされて以来、ずっと日仏を行き来する親友のひとり。で、このモデルも日本に

#001  1本の時計が紡ぐ、出会いの糸

初来日した3年前に、なんだかわからんが靴下からおもむろにこの時計を出してきて「プロトタイプなんだけど、アキ(僕のニックネーム)、どう思う?」と意見を求められ、その場で意見もそっちのけ、値段も聞かずにエキサイト。
「ほ、欲しい!日本で僕が一番に欲しい!」と子供のように駄々をこねたのでした。で、その後、待つこと1年。
ラルフ・ローレンやカール・ラガーフェルドがパリのコレットで買ったという情報を自慢され、「いったい俺のはどうなってるのさ?」と突っ込みを入れつつ、やっとこさ入手した思い出の品なんです。

ユナイテッドアローズ 小木クンの熱意に絆されて

無論、腕にはめたその日から直径45ミリ、しかも四角ですから腕元アピール度抜群(レオン的にはニキータから突っ込まれ必至状態、笑)。そこで強烈にアピールしてきたのが青山に店を構える「リカー、ウィメン&ティアーズ」当主の小木基史クンでありました。
マル坊主の人懐っこい笑顔で「イイッスね、それ!HIPっす。ウチの店で扱いたいっす!」と熱い眼差しでガン見され、すぐさま輸入元のワールド通商に橋渡し。で、めでたく店頭に並んだのでありました。

パリの展示会にて新たな展開

その後、クリスティーナ・アギレラがご来店、夫君が1本お買い上げしていったといった逸話を作りつつ、小木クンの店を通じてこの時計に引き寄せられた一人にN.ハリウッドのデザイナーである尾花大輔氏がいました。
小木クンから尾花氏が買うかも?という情報を得た数ヶ月後、尾花氏とはパリのコレクションシーズン、6月のN.ハリウッドの展示会で会うことに。ゆるい空気が流れる中庭では、いろんな話をしましたが、自然とこの時計の話になってゆき――。で、直感的にBBと尾花氏は絶対に波長が合う! と思いたったが吉日、尾花氏に突撃インタビューならぬ突然のお誘いを。

「明日、時間空いてます?」
「午前中なら。何かあるんですか?」
「いや、この時計のデザイナーと会ったら面白いかな、と思って」
「えぇ!是非会いたいです」

と、私の突然のお誘いに即決してくれた尾花氏のフットワークの軽さに感謝しつつ、BBの携帯に即連絡した私。で、翌日の朝、N.ハリウッドの展示会の合間をぬって彼の事務所で会うことになったのでありました。
BB、尾花氏とも無類のミリタリー好きのクリエイター、とくればノッケから意気投合。はじめて会ったのに、尾花氏は「こういうアイデアはどう?」と自身の熱い時計に対する思いをBBにぶつけてもらい、勿論BBもその熱意に感服しきり、というか圧倒されまくり(笑)。私としても、BBにいい刺激を与えられたことを尾花氏に感謝したのでした。で、その時の尾花氏のアイデア。皆さんに披露できないのが残念ですが、これがじつにいいんです!というか実現した暁には私が一番に欲しい!と性懲りもなく思っている次第。
ベル&ロス×N.ハリウッド、う~ん素敵だ、素敵すぎる。そんな夢のようなコラボが万がイチ実現できたら――これぞ編集者冥利に尽きるってもんです、ね!

Photo By Ichiro Kumada


BBは、この時計を持ってラルフ・ローレン氏に直接渡しにニューヨークへ行ったそう。
そういえばラルフ・ローレンのカタログにはこの時計をモデルが着けていたっけ。古今東西、やっぱり男ってミリタリーな匂いのする時計が好きなんですねえ、はい。

           
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