「モア・トゥリーズ」賛同人、佐野史郎インタビュー
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2015年5月14日

「モア・トゥリーズ」賛同人、佐野史郎インタビュー

「モア・トゥリーズ」賛同人、佐野史郎インタビュー
理想を掲げて革命を起こそうとは思わないけれど……

坂本龍一さんの演奏は70年代中ごろ、よくライブハウスで聴いていたなぁ」と語る佐野史郎さんは、幅広い役柄を演じる俳優としてはもちろん、映画監督やミュージシャンとしても活躍。さらに自身のウェブサイト「橘井堂(きっせいどう)」の主人として、新しいメディア発信にも力を注いでいる。お話は「モア・トゥリーズ」の賛同人になったきっかけからはじまった。

Photo by JAMANDFIX

絶望していたら、なにもはじまらない

──佐野さんが「モア・トゥリーズ」の賛同人になられたきっかけは?

それは感覚的なことですね。坂本さんの考えを聞いて、地球や環境のことを自分のなかで考えるいい機会になるなと。「モア・トゥリーズ」のポリシーや活動は、人間のカラダから離れていない感じがするんです。前に、世界中の電気をいっせいに消そうというムーブメントがありましたが、それにはOKですってすぐ反応できなかった。

──なぜ反応できなかったんですか?

みんなが“せーの”でおなじことをするのは危ないぞと、これまでの愚かな歴史を繰り返すような感覚のセンサーが働くんです。もちろん、電気を節約することはいいことに決まっているけれど、たとえば、全員が本当にこのままではまずいぞと思って、ひとりひとりが電気を消していって、気がついたら真っ暗だったというのはいい。そういう意識をもてる人が「モア・トゥリーズ」を通じてひとりでも増えればいいなと思うんです。だけど、正直にいうと、絶望的でもあるという自分もいるんですよ。でも、メディアで仕事をしている僕たちが絶望していてもなにもはじまらないという思いもある。

──メディアという意味では、発起人である細野晴臣さんや高橋幸宏さんにも当てはまりますね

僕が中学生時代に夢中で聴いていたのは、はっぴいえんどや遠藤賢司さん、加藤和彦さんなどで、70年代後半になってYMOになっていくわけですが、アーティストの人も、聴くリスナーの僕も、じつは求めているものは変わらない。それは感覚的に気持ちいいかどうかなんです。“こういう音を聴きたい”というのとおなじで、“地球が危ない”という感覚をみんながもつことはとても信用できますね。

危険なものという意識もどこかに持っていたい

──佐野さんの身近での環境問題を教えてください

僕が住んでいる武蔵野市は、早くからリサイクルやゴミ問題に取り組んできている自治体で、ゴミの分別も厳しいので、環境について考えさせられることは多いですね。子どもを育てるなかで、食べるものにも気をつかうようになりましたね。ただ、食品偽装問題で一部過剰に反応しすぎるのには疑問をもちます。

──毎日意識することで変化はありますか?

それは日々の生活のなかで、大事にすべきものが感覚的にはっきりしてくるというのはありますね。自分なりの基準がもてるようになる。だけど、それが直接、地球温暖化にどう影響しているかというのはとらえにくい。

──まさにそうですね

産業革命以降に増えたCO2を、それ以前に戻そうなんていうけど、それは無茶苦茶な理論で、地球みんなで死のうというのとおなじ(笑)。怖いですけどね、でもそれもひとつの選択肢なんですよね。環境問題というのはそれぐらい危険なものだと思います。地球環境の正常な状態を考えるとき、バランスよく考えられればいいけど、極論に走れば、そこには複雑な民族問題とか格差問題なども絡んで、あるいはワンワールド的なファッショの動きも出てくる。

「モア・トゥリーズ」賛同人、佐野史郎インタビュー<br><br>理想を掲げて革命を起こそうとは思わないけれど……

──いまはビッグ・ビジネスにもなりつつあります

地球環境は“このまま行ったら無理だろうな”というのは誰にでもあるだろうし、自分や自分の子どもの代だけ生き延びればいいとも思わない。理想を掲げて革命を起こそうとは思わないけど、侵略する側にもまわりたくない。

──では、私たちはどうすればいいでしょう

遺跡や古典が教えてくれるのは、そこから何を読み取るかで、それが連綿と連なって物語が残ります。では、いま、僕たちはこの時代をどういう物語にできるのか。後生の人が読み取るのは、そこに意志があるかどうかで、意志があれば新しい知恵をそこから編み出すかもしれません。

──ありがとうございました

佐野史郎公式サイト(橘井堂)│http://www.kisseido.co.jp/

「モア・トゥリーズ」賛同人、佐野史郎インタビュー<br><br>理想を掲げて革命を起こそうとは思わないけれど……

『MEN'S EX』創刊15周年記念
YAHOO! JAPAN×MEN'S EX×more trees
有名人日替わりチャリティオークション

男性ファッション誌『MEN'S EX』創刊15周年を記念したチャリティオークション。M.E.15年の表紙を飾った俳優、連載執筆陣、さらには坂本龍一さん率いるmore treesの全面協力も得て、30名の豪華メンバーが揃いました。
また、今回は、平日5時に毎日1品ずつ落札されていく「時限オークション」となっています。4月7日(月)の出品から6月4日(水)夕方5時の最終落札まで、盛大に開催します!

(参加者 ※ご登場順)
坂本龍一さん、緒形 拳さん、佐野史郎さん、村上 龍さん、見城 徹さん、平間 至さん、小泉 均さん、荒川眞一郎さん、神無月好子さん、瀧本幹也さん、佐々木直喜さん、船木三秀さん、稲本 正さん、石丸アキヒコさん、大住憲生さん、トム・ブラウンさん、秋元 康さん、辰巳琢郎さん、榎木孝明さん、中村吉右衛門さん、長塚京三さん、内藤剛志さん、松山 猛さん、山田五郎さん、鮎川 誠さん、蟹瀬誠一さん、中山エミリさん、山野エミールさん、三國連太郎さん、松尾健太郎さん(MEN'S EX編集長)

           
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