第26回 「住」にまつわる話_休日編
Lounge
2015年5月11日

第26回 「住」にまつわる話_休日編

第26回
「住」にまつわる話_休日編

仕事のしがらみから離れ、ただリラックスするために過ごす理想の休日。 楽しみを豊かなものにするのにも、グッドデザインは重要な役割を果たします。
――休日を過ごすにあたり、朝から夜までの間に僕が愛用するプロダクトたちを紹介します。

Photo by Jamandfix


7:00am~ ミルクティを一杯

休日の醍醐味といえば朝寝坊、なのですが、最近は残念ながら6時半過ぎくらいに目が覚めてしまいます。無理に二度寝しようとしても寝られない。そこでムクリと起きて、私はミルクティを一杯飲むことにしています。写真はそのときに使うカップ。コーヒーカップなので英国文化に精通されている方には怒られそうですが、好きなように飲むのが一番気持ちいいと思うんですよね。いかにもな花柄のアンティーク調カップだと、なんだか小指が立ってしまいそうで(笑)。

さておき、このカップ。レイモンド・ローウィというフランスに生まれ、アメリカで活躍したプロダクトデザイナーによるデザインです。タバコの銘柄「ピース」のデザインをしたのもこの人ですし、「口紅から機関車まで」と言われるように、彼はさまざまなプロダクトデザインを手掛けました。

食器の色にグレーを使うのも珍しいと思いますが、このニュートラルな色合いが気に入っています。それにコレ、一見、直線的なデザインなんだけど、完全に直線というところは実はほとんどないんです。もし完全な直線でデザインしていたらもっと固い印象になっていたことでしょう。このあたりの柔らかさの感覚が絶妙。計算され尽くしていますね。


7:30am~ テレビをつけてゴロゴロ

朝の紅茶タイムを終えると、することがないのでもう一度ベッドへ。見る見ないは別に、とりあえずテレビをつけてゴロゴロうだうだします。左手には常にリモコン。番組にぶつぶつ文句言いながらチャンネルを変えまくるんです。

で、このリモコン。トイレに行くとき以外は文字通り肌身離さず握りしめているのですが、ご覧のとおり、デザインが……! なんか病室が思い浮かびますよね。人に見せてどうこうするモノではないですが、せめて快適に使えるようなデザインにしてほしいと切に願います・・・・・・。休日の僕にとって、もっとも身近なプロダクトなのですから。


11:00am~ サンドイッチをつまみながらビール

にわかにお腹が空いてくると、再びムクリと起き上がってキッチンへ。サンドイッチをつくり、いそいそとビールグラスを用意します。昼間からビール! は休日のみに許された贅たくですから。

このタンブラーは以前、スクープマンのブランド『バルー』のノベルティグッズとしてつくったものです。パリのカフェなんかでは一般的な、ビールとレモネードを混ぜたパナシェ用グラスをイメージし、タヒチのボラボラ島の地図イラストをあしらいました。カタチや素材は一般的なものですし、決して高級なものではありませんが、カジュアルに酒を楽しむのにはこのくらいが丁度いい。ビールを飲んだら再びうたた寝の世界へ、が僕の定番コースです。


3:00pm~ バードウォッチング

バードウォッチングというと聞こえがいいのですが、ベランダにパンくずをまいて、鳥たちがやってくるのを見るのが僕は大好きです。近所に深大寺の植物公園があるからなのか、いろんな鳥がきてくれるんですよね。なかでもお気に入りはセキレイ。こいつの表情が本当にカワイイ。

双眼鏡はライカのもの。購入のさい、おなじくドイツの光学機器メーカーであるカール・ツァイス製品と迷ったのですが、より双眼鏡然としたデザインのこちらを選びました。ムード重視。ピクニックにも必ず持って行きます。


6:00pm~ たこやきを食べながら

スーパーにて食材を調達。4時までに帰宅し、日没を眺めながら食前酒を楽しみます。

そして夜の楽しみ、たこやきづくりへ。ホットプレートを使うのが一番簡単なのでしょうけど、あんまり家庭的な雰囲気もちょっと……。というわけで僕は南部鉄器のプレートを愛用しています。油をひいて、焼いてという酸化被膜をつくるための作業が必要だったりと面倒はかかりますが、それでも3回目くらいからはテフロン加工をしたかのように、たこやきがクルクル回るようになります。

珪藻土の焜炉は何の変哲もない市販のものですが、アルコールランプがちょうどハマって便利なんです。たこやきのカジュアル感にもばっちり合いますしね。

ところでみなさん、たこやきの具材をたこ以外でつくったことはありますか? 僕はあさりのむき身などいろいろ試してみましたが、やっぱり一番美味いのはタコでした。ソースも、だし汁に吉野の葛などいろいろ凝ってみましたが、なんかダメ。美味いんだけど、たこやきならではの情緒というか親しみやすさがなくなってしまうんですよ。たこやきを考えた人はすごいなぁと思う次第です。余談でした。


ウィスキーのソーダ割でフィニッシュ!

たこやきにあう酒を探してたどり着いたのがウィスキーのソーダ割。銘柄は手頃かつオーソドックスなジョニーウォーカーの赤で決まりです。味としては白ワインもあうのですが、ワイングラスに油が飛ぶのも気持ちいいものではありませんし、たこやきの情緒にもそぐわないんですよね。その点、気どりのない“ジョニ赤”なら味も相性もバッチリです。

グラスは、パリで買ってきた切り子グラスを愛用しています。ガラスの質も粗悪だし、こちらも決して高級品ではありませんが、たこやきのカジュアル感との相性はバツグンです。

夜8時を過ぎたころにはお腹いっぱい、ベロベロに。
以上、自分的、最高に幸せな休日の過ごし方でした。

           
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