第23回 綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』インタビュー(3)
第23回 綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』インタビュー(その3)
綿谷 修氏へのインタビューも、今回が最終回。前回に引き続き、綿谷氏の写真観をうかがいながら、話は再び今回の作品へと。そして、ウクライナの子どもたちの素顔を捉えたもうひとつのシリーズ『Pond』の話へと展開していきます。
Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)
なるべく自分の姿を消して撮りたかった
──綿谷さんは撮る場所などは、あらかじめ決めてから撮るんですか?
決めるときもありますが、今回は決めませんでした。かといって、そんなに多くの場所で撮ったわけでもないんです。場所はたいてい、なんとなく時間や気分で決めます。1日ぶっとおしで長い時間撮るほうではないので、だいたい何時ぐらいにここに日が当たってるとか、そういう街の光の関係などで決めます。『Agenda』のときの方がいろんなとこで撮ってますね。
──ホーム・グラウンド的に戻っちゃうような場所ってあるんですか?
やっぱり新宿とかですね。写真を撮るときって気がつかれない方がいいというか、自分の姿を消して撮りたいほうなので、どうしても人混みのほうが多くなります。とくに今回はローライを使って撮ったんですが、6×6で撮ろうと決めた要因のひとつには、頭を下げたまま撮れるということもありました。
──シャッター・チャンスはどういうふうに訪れるんですか?
撮る前に撮ると決めてないと撮れないですね。小さい方の写真(Agenda)のときなどは、1年間で1000枚撮らなきゃいけないと決めていましたから、こちらからアクションを起こして、そのリアクションとか、つぎのリアクションを撮るということをやりました。『Rumor』は、わりと仕掛けないで撮ったようなものもあって、アクションのかけ方はより難しかったですね。
無条件にいいな、と思えたウクライナでの風景
──もうひとつ今回は、ウクライナで撮られた写真『Pond』も展示されていますが、これも根底は東京で撮るのとおなじだったんですか?
いや、あっちは全然ちがいますよ。もっとシンプルに撮りました。でも、ああいうことってなかなかないんですよね。自分が素直に、無条件にいいと思えることというのは。ただ、特別なものではなく、日常的な風景や庶民的な事柄を収めているという点では、街の写真もウクライナの写真もおなじですけど。ウクライナには来年の夏、もう一度行く予定にしています。その写真もいつかお見せできると思いますので、期待していてください。
──ぜひ、楽しみにしています。きょうはお忙しいなか、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』
日程|12月9日(日)まで開催中
時間|12:00~20:00(月曜定休)
場所|RAT HOLE GALLERY
港区南青山5-5-3
HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
Tel. 03-6419-3581
カタログ同時刊行
展覧会に合わせ、RAT HOLEよりカタログ『Rumor』と、
2002年発行の『Agenda』を再編成した『Agenda 2001』を各限定500部発売いたします。