第22回 綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』インタビュー(2)
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2015年4月17日

第22回 綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』インタビュー(2)

第22回 綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』インタビュー(その2)

前回に引き続き今回も、綿谷 修氏へのインタビューの模様をお伝えします。今回の作品を撮ろうと思ったきっかけにはじまり、綿谷氏の写真家としての人生のターニング・ポイントや、あらゆる作品に共通するテーマ設定の方法など、写真家 綿谷 修の基本スタンスに迫ります。

Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)

森山大道さんの「やってみたら」のひと言から

──今回の写真を撮ろうと思われたきっかけは、どういうところだったんですか?

たいてい街を1回撮ると、もういいやという感じになるんですが、またしばらくすると、まだ撮れる、まだ撮るものがあると感じるんです。今回もそういうふうにして、また撮りはじめましたね。前回の街と今回の街のあいだに、横浜の寿町を撮ったりもしたんですが、いろんなことをやってるつもりはあまりなくて、方法論がちがうだけで、根本的にはおなじことをやっています。

──ところで綿谷さんは、ヒステリックグラマーのアート・ディレクターとしての顔もおもちですが、本格的に写真を撮られるようになったのは、ヒステリックの出版活動がはじまってからのことですか?

若いときから写真は好きで、20歳ぐらいからちょこちょこ撮ってはいました。でも、本格的にはやはり森山大道さんにお会いしてからですね。

──そこでなにかが変わった、と

そんな大げさなものじゃないんですが、森山さんに「やってみたら」って(笑)。ヒステリックの写真集のお話をしていたとき、自分もたまに撮ってるって話をしたら「まじめにやってみたら」っていわれたんですよ。べつに森山さんからやり方とか何かを聞いたわけではないんですが、大きなきっかけにはなりましたね。

写真とは、最終的に「できちゃった」というものではない

──写真のテーマは決めて撮るほうですか?

こういうスナップ的な写真というのは、あまり考えていないように見えるかもしれませんが、抽象的に考えるんですよ。抽象的に具体的に考えます。ただし、ものごとを最初に決めて、それにたどり着くという行為ではありません。たとえばコンセプチュアル・アートのように“なになに”をしようと思ってそれの材料を集めてるわけではないということです。スナップショットの場合、相手はいうことを聞きませんから、それはできません。ですが、最終的には「できちゃった」というものではないんです。つくろうとしてつくっていくことには代わりありません。「できちゃった」でおもしろいものができることも稀にはあるんですが、それが一生つづくものでありませんから。

──たとえば、今回の場合どんな抽象的なテーマがあったんですか?

あらかじめ、なにかを撮ると決めることはありませんでしたが、今回でいうと『6×6』というような抽象的なテーマで臨みました。6×6ということのなかには、サイズだけでなく、いろいろな要素が入ってきますから。また、それ以上のことを決めてしまうと、おもしろくなくなるんですよね。実際やり出すといろんな問題も出てくるものですが、そういうとき大きな決め事だけの方が対処していけるんですよ。

綿谷 修 写真展『Rumor/Pond』
日程|12月9日(日)まで開催中
時間|12:00~20:00(月曜定休)
場所|RAT HOLE GALLERY
港区南青山5-5-3
HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
Tel. 03-6419-3581

カタログ同時刊行
展覧会に合わせ、RAT HOLEよりカタログ『Rumor』と、
2002年発行の『Agenda』を再編成した『Agenda 2001』を各限定500部発売いたします。

           
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