第19回 「住」にまつわる話―喫煙グッズ編
第19回
「住」にまつわる話―喫煙グッズ編
銘柄それぞれのパッケージにはじまり、タバコを取り巻くプロダクトにはグッドデザインがいっぱい!?
そこには、大人の嗜好品ならではの茶目っ気があふれていました。
Photo by Jamandfix
ひとりに1コ、「オレ専用灰皿」の利便性
日に日に喫煙者の肩身が狭くなる昨今ですが、今回はそんな現状は無視しつつ、タバコにまつわるプロダクトを紹介します。まずは僕が来客用にまとめ買いしたミニサイズのアッシュトレイについて。
「オレ専用灰皿」なんてよんでいますが、タバコケースと同サイズというのがなんともカワいくて心惹かれました。タバコの吸い方にも人それぞれの個性があって、それは火の消し方にもあらわれます。グシャグシャと消すと灰が散らばってしまい、しかもしばしば火種が消えてなくて燃え移ってしまったり。これが許せない人には許せないんですね。オレ専用灰皿をそれぞれに配れば、そんな作法にいちいち気をもむ必要もないわけです。
ちなみに商品パッケージの脇には「5mgPAPER 100mgASHTREY」という成分表示がちゃんと記入されていました。こうした洒落が許されるのも、タバコ関連グッズのおもしろいところです。
隠すのではなく見せるというアプローチ
タバコの箱に健康を害するうんぬんの注意文の掲載が義務づけられたころから、海外のキヨスクなどでその文言を「隠す」ための紙製のカバーを見かけるようになりました。タバコを吸うたびに仰々しい文言を読まされるのは気分のいいものではありませんから、こうした需要があるのでしょう。じつはエム・ワイ・レーベルでもシガレットカバーをつくったことがあります(上写真)。でも僕は、あえて注意書きの部分を隠すのではなく、メッセージとして「見せる」ためのアプローチをしました。
注意書きの囲みを覆うピースマークは「吸わない人とも仲良くね」の意味。吸う吸わないは人の自由だけど、迷惑をかけないことは何より大切、というメッセージをそこへ込めました。底面にはダメ押しのように「マナーを守りましょう」と英語で刻印してあります。
直線的なデザインなのでつくりはシンプルかと思われるかもしれませんが、これが難しかった。シルバーの板5枚をロウづけする過程で、1枚1枚を貼り合わせているとその過程で前につけた箇所が熱で溶けて剥がれてしまう。そのため5枚いっぺんにロウづけし、かつロウづけの跡を残さないという高度な職人技が必要とされるのです。職人さんに頼みこんで、最後は何とかカタチにしてもらいましたが。
なのにぜんぜん売れなかったというオチはご愛敬で……。