第8回:荒木さんの写真と、僕の収穫
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2015年4月17日

第8回:荒木さんの写真と、僕の収穫

第8回:荒木さんの写真と、僕の収穫

「花とヤモリンスキー」より。© NOBUYOSHI ARAKI

荒木さんとボブ・ディラン

現在ラットホールギャラリーで展示している『緊縛写巻』と、江戸東京博物館で見た『東京人生』という、ある種対極ともいえる作品群を通して、荒木さんの本当のすごさを感じることができた僕ですが、おもしろいもので、音楽の世界でもこの秋、同じような体験をしました。

実は、これまで僕は、ボブ・ディランの音楽をあまりちゃんと聴いたことがありませんでした。もちろん昔から曲はよく耳にしていましたが、どうしても、あのフォークの教祖といったイメージから、自ら積極的に探求することはなかったのです。

ところが、この9月におこなわれたプライマル・スクリームのライブの際、本番前の楽屋でボビーが、「気合いを入れるために」とかけた曲にやられてしまいました。それが実は1965年のボブ・ディランだったんです。ディランが1965年から66年頃、突如エレキギターをもって、ロックをやったということも知っていましたが、こんなにもカッコよかったなんて気づいていませんでした。

やはり物事には知るべきタイミングというものがあるのでしょう。若い頃の荒木さんと1965年のディラン。なぜ、いままで気がつかなかったんだろうという思いとともに、このふたりのアーティストのすごさを、あらためて知ることができたのは、本当によかった、と思いましたね。大きな収穫でした。

「花とヤモリンスキー」より。© NOBUYOSHI ARAKI

緊縛写巻は、荒木さんのひとつの究極

さて、話は荒木さんに戻りますが、今回の『緊縛写巻』も、『東京人生』を見た後で見ると、また感慨が違います。

第8回:荒木さんの写真と、僕の収穫

『緊縛写巻』

『東京人生』を知っている人から見ると、「ついに、ここまで来たんだな」と感じられると思います。しかし、知らない人でも、「ここまでやっちゃったんだ!」というすごさは感じてもらえるはずです。

また、見る人によっては、ピカソのキュビズム同様、一見“反則ワザ”に見えるかも知れませんが、ピカソがそうであるように『緊縛』も、けっして反則ではありません。しっかりとしたベースがあって、そこに辿り着いている。そういう意味では、これで完結ではないんですが、ひとつの究極の姿であることは間違いないでしょう。ぜひ時間をかけて、じっくりと見てください。

■荒木経惟作品展

日程:2006年11月22日(水)~12月27日(水)
時間:12:00~20:00(月曜定休)
場所:RAT HOLE GALLERY(ラットホール ギャラリー)
港区南青山5-5-3 HYSTERIC GLAMOUR 青山店B1F
TEL:03-6419-3581

内容:本展は、「花とヤモリンスキー」、「LOVE」、「緊縛写巻」、「アラキネマ」の4つのシリーズによって構成されます。
同時に、「緊縛写巻」をモチーフにして制作された「アラキネマ」(アラーキー写真の映像版)の最新シリーズ「緊縛色淫」も初展観されます。
本展と同時に、作品集『LOVE by Leica』、および、描きおろし絵画によるTシャツなどが発売予定です。

RAT HALE GALLERY:http://www.ratholegallery.com
HYSTERIC GLAMOURオフィシャル:http://www.hystericglamour.jp
Bueno! Books:http://www.buenobooks.com

           
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