第7回 「衣」にまつわる話 スキーウェア編
Lounge
2015年5月11日

第7回 「衣」にまつわる話 スキーウェア編

第7回 「衣」にまつわる話 スキーウェア編

photo by Yuichi Sugita (BIGHE)

スキーヤーが着たっていいじゃない!?

こんにちは。皆さんは冬を満喫しましたか? ぼくの断然好きな季節は冬です。理由はスキーができるから。次に好きな季節は秋です(冬が近いから)。今シーズンも何度か大好きなスキーを楽しむことができたので、ぼくはとても満足しています。ただ、春の息吹を感じるのはどこか淋しいような気もしますね。

ところで、スキーをするときにぼくは、スノーボード用のウェアを着ています。体型に合うとか着心地がどうだとか、そんな深い理由はなく。これって街着をアウトドア用に機能化したようなウェアなので、ファッションの気分ともリンクしている気がするんですよ。スキーだからスキーウェアを、スノーボードだからスノーボード用のをと決めつけなくてもいいんじゃないかな。

極限で生まれたディテールには説得力がある

 さて、このスノーボード用ウェア。パッと見ただけでは分からないと思いますが、防水透湿性に優れる「ゴアテックス」の採用に始まり、対雪山に特化した機能ディテールが満載です。

たとえば、両脇の下のジップ。これは「ベンチレーション」と呼ばれるもので、脇から放熱することで体温調節をするためのディテールですね。これがあるとないとでは心地良さ、ひいては安全性が雲泥の差なのです。

第7回 「衣」にまつわる話 スキーウェア編

この機能が誕生するまでは、寒いから厚着をするというのは、ひとつ間違えると自殺行為でした。なぜなら、もし汗をかいたらその分だけ後に冷えてしまうからです。体温計を挟むことからもうかがえるように、脇の下は人間の放熱機能の中枢部。暑いと感じたときにここをジップで空けるだけで、汗をかかずに済みます。少々大げさに言えば20度くらいの差に対応できますから、着込むことも怖くなくなるのです。意味のないデザインを、デザインとは言わない。極限の中で生まれたディテールは、それを雄弁に語っています。

           
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