第5回 「食」にまつわる話 湯豆腐編
第5回 「食」にまつわる話 湯豆腐編
photo by Yuichi Sugita (BIGHE)
「椿」モチーフの風流な豆腐杓子
冬といえば鍋、鍋がおいしい季節ですね。4回に渡る連載は概要的な意味合いもあったので多少お堅い内容だったかもしれませんが、今後はひとまず力を抜いて、ぼくのもっと身近にあるものを紹介させていただこうと思っています。というわけで、今回のテーマは鍋。その中でも、ちょっぴり雅な匂いのする湯豆腐にスポットを当てたいと思います。鍋グッズというとまさに道具といった庶民的なアイテムが多いですが、これが湯豆腐になると凝ったものがぐっと増える。写真の豆腐杓子も銀のアンティークものです。冬の食べ物だから、モチーフは「椿」。こんなところにも粋を感じますね。
そうそう、湯豆腐を愉しむ上でいちばんの野暮は、具材の入れすぎ。小説家、池波正太郎さんも著書の中で小鍋立てには具材を二種類以上入れるものではないと書いていましたっけ。だからぼくは、湯豆腐には、ネギや、場合によっでは蛤を入れるくらいで我慢するようにしています。それ以上やるとごった煮になってしまいますから。湯豆腐の神髄はプロダクトデザインにも通ずるところがあるかもしれません、ね!?
脱カセットコンロ。「焜炉」のススメ
湯豆腐を愉しむのにぜひオススメしたい道具が焜炉(こんろ)。探すと意外やモダンを感じるデザインのものがあったりするんですね(写真はぼくのお気に入りです)。珪藻土の焜炉であれば百貨店にも置いてありますし、2~3千円で購入できると思います。カセットコンロはたしかに便利かもしれませんが、炭を使うとたまにパチッと音がなったりして、それがまたイイんですよ。目刺しやイカを焼くのにも重宝することでしょう。決して贅沢な材料ではなくても、手をちょっと加えるだけでご馳走になる、そんなマジックを皆さんにもぜひ楽しんでいただきたいですね。もちろん、換気には十分気をつけてください。
さて、湯豆腐を食べるのにお酒を飲まないわけには参りません。そんなわけで次回は、お酒にまつわる道具を紹介させていただこうと思っています。