祝オスカー! ジュリアン・ムーアのドレスができるまで|CHANEL
CHANEL|シャネル
オスカーを見事受賞! ジュリアン・ムーアの美しさを際立たせた
アカデミーを飾ったシャネルのドレスができるまで
現地時間の2月22日におこなわれた第87回アカデミー授賞式。一説には世界で7億人もの人が視聴するというだけあって、式の内容だけでなく、誰がどのメゾンのドレスを着たかも大きな話題になる。今回は、見事オスカー主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアが着用した、ため息がでるほど美しいドレスに注目。パリのアトリエで多くの職人たちの手によって特別な1着がつくりだされていく過程をレポートしよう。
Text by IKEGAMI Hiroko(OPENERS)
カール・ラガーフェルドが特別にデザインした世界に一着のドレス
今年のアカデミーのなかでも大きなニュースは、ジュリアン・ムーアが初の主演女優賞に選ばれたことだろう。実力派として過去に5回もノミネートされていながら、なかなか受賞できなかったが、若年性アルツハイマーに冒される女性を描いた『アリスのままで』で見事オスカーを獲得。世界中から賞賛の声があがっている。そして、そんな彼女をひと際輝かせているのがシャネルのカスタムドレス。優美なトレーンを引くベアドレスは、この日のためだけに、カール・ラガーフェルドが特別にデザインしたものだ。
ジュリアン・ムーアはドレスについて、こう語っている。
「私をタイムレスでクラシックに見せてくれるこのドレスをどうしても着たかったのです。後々この姿を見ても時代を超えてずっと好きでいたいから。」
特別なドレスのために、27人もの職人が987時間かけて
エレガントな光沢をはなつビスチェタイプのドレスは、まずパリでドレスを仕立てることからスタート。その後、4人の職人が215時間かけて制作したドレスに150時間をかけてシークインの刺繍が施されていく。ハンドペイントがほどこされたシークインは、80000個も使われ、ドレス全体を優しく覆っている。また、デコルテとウエスト、裾にあしらわれたのは、フラワーモチーフの刺繍で、こちらは、何層にもなったアイボリー、ベージュ、黒のオーガンザとチュールにリュネヴィル刺繍で600時間もかけて一輪、一輪花をうみだしていったという。
こうして、出来上がったドレスはパリからロサンゼルスへと送られ、ジュリアン・ムーアのフィッティングの後、完璧にフィットするようふたりの職人によって最終的な仕上げがおこなわれた。アカデミー授賞式での彼女の神々しいまでの美しい姿は、多くの職人たちの手によって叶えられたのだ。
そして、たったいま受賞したジュリアン・ムーアへ向けてカール・ラガーフェルドからのコメントが届いた。
「ジュリアンが彼女の素晴らしい才能をもって、オスカーを受賞したことをとてもうれしく思います。 彼女は私の古い友人ですが、女優として、そして一人の女性としての彼女のファンでもあります。 彼女は私が思い描く女性像を最も洗練されたかたちで体現してくれる存在。楽しく、地にしっかりと足のついた、明るく、皆に愛される人です。私はこの受賞を本当に嬉しく思っています。」