萩原輝美 連載 vol.151|ヴィクター&ロルフとシャネルの「究極の一点」
2016-17年秋冬パリ・オートクチュールコレクション
ヴィクター&ロルフが快進撃
伝統を進化させるクチュリエーシャネル
2016-17秋冬オートクチュールコレクションでも半年前に発表されたプレタのトレンド、ニューボリュームが登場。さらに手仕事の技を加えた「究極の一点」に仕上げています。
Text by Terumi Hagiwara
ヴィクター&ロルフが快進撃
パリ・オートクチュールコレクションはどのメゾンも、手技を駆使した「究極の一点」(J・P・ゴルチエさん)に挑みます。伝統を受け継ぐだけではありません。クチュールの技を日々進化しているのです。今シーズンはこれまで以上にそれを実感させる作品がそろいました。
ヴィクター&ロルフは自身のアーカイブ作品をリクリエーションしました。解体された服や残布を切り込み、リボン状にしてボタンやビーズとつなげていきます。いろいろなディテールを組み合わせることでハンドメイドのコラージュ服に仕上がっています。コレクションは、量感あるトップスにデニムを合わせてスタートしました。作品は、より複雑な装飾になりフィナーレはボリューム満点のドレスが登場します。いろいろな生地や柄の白リボンで作られるデイドレス、ウエディングドレスも素敵です。量感ドレスは半年前に行われた2016-17秋冬プレタポルテで登場したトレンドです。プレタポルテトレンドを圧する存在感です。
伝統を進化させるクチュリエーシャネル
シャネルはグラン・パレ(コレクション会場)をまるごと自社アトリエにしてしまいました。実在のプティマン(裁縫師)たちが仕事をしているアトリエを背に、モデルたちが闊歩します。ツィードジャケットには肩に直線的なボリュームが加わり、クロップ丈のワイドパンツと合わせています。コクーンスリーブのドレスは袖のシルエットが強調され、黒のサイハイブーツと合わせます。ル・マリエ(カメリアやアクセサリー)にルサージュ(刺しゅう)、メゾン・ミッシェル(帽子)などの工房を傘下に収め、クチュールの技を守り続けています。オートクチュールはその集大成ともいえるコレクションです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/