萩原輝美 連載 vol.139|ジュリアン・デイヴィッド インタビュー
人気上昇中のデザイナー ジュリアン・デイヴィッド インタビュー
「仕事が僕の人生です」
フランス生まれ。ニューヨークで学び、アトリエは東京。年4回のパリコレクションで作品を発表、住まいはロンドン。息つく間もないような忙しさ。もっとも本人は「それが僕の人生」と気にする風はない。日本の生地とストリートカルチャーに魅せられたという異色のデザイナーを訪ねました。
Text by Terumi Hagiwara
東京でブランドを立ち上げた、異色のデザイナーを訪ねて
ジュリアン・デイヴィッド(37歳)はパリコレクションでメンズ、レディスを発表、日、仏、米、英と世界中のセレクトショップで販売、人気上昇中のデザイナーです。フランス生まれ。リセを卒業後ニューヨークに住み、2007年に東京でブランドを立ち上げるという異色のデザイナーです。昨年11月には原宿の直営店をリニューアル、マイペースながら着実にファンを増やしています。16年春夏レディスのパリコレクションを終えた直後のショールームを訪ねました。
――2006年に来日しそのまま東京に移住。ブランド立ち上げも東京でしたね。
初めて東京に来て、そのストリートカルチャーに魅せられました。原宿が大好き。日本の生地を使い日本製にこだわりたかったんです。
――それまではニューヨークですよね。
そう、グラフィックを勉強したくて、ニューヨークのパーソンズに通いました。でも在学中に、平面ではない立体の服に興味を持ち、ナルシソ・ロドリゲスのアトリエに入ったんです。
――クチュール的な立体裁断ですね。
そうです、そこで平面の布を立体的に作り変えていく面白さを知りました。
――なるほど。自身のブランドでは、クチュールテイストに東京ストリートを盛り込んだわけですね。
でもブランド立ち上げは大変でした。言葉もやり方も知らない。だからメーカーとのやりとりでいつも食い違って、服が作れない。だからグラフィックを生かしたスカーフを作ったんだ。そしたら売れちゃった!
――キッチュなプリントが話題になりました。
そうなんです。その時はグラフィックやっててよかったとつくづく思いました。
――原宿にアトリエを置いたまま、今年から住まいはロンドンに移したとか?
はい。ただ住みたくなったんです。
――住まいはロンドン、アトリエは東京、コレクションはパリ。休みはとれますか?
お休み?そんなものはない。
仕事のことしか考えていない。いつも仕事ができることが僕の自由。
僕の人生なんです。
ジュリアン・デイヴィッドの16年春夏レディスのパリコレクションは、ボザール(パリ市立美術大学)の中庭の回廊で行われました。陽陽ひだまりと緑に囲まれた気持ちの良い空間です。コットンのビスチュエがのぞくデニムドレス。ボーダーシャツに合わせたプリントのプリーツスカートは立体的に脇に張り出しています。ゆるいシルエットなのに、きちんと作られています。素材やプリントにこだわりながら、さらっとリアルに仕上げています。
11月にリニューアルした原宿の直営店は、アルミニウムとフランスから持ち込んだ石でデザインされています。一見ラフに見えるけれど、実は大変なこだわりショップです。インテリアはフランス建築集団Cigue(シギュー)が担当。
Julien David|ジユリアン・デイヴィッド
1978年、フランスで生まれる。
1996年、ニューヨークに渡りパーソンズで学ぶ。
2007年、東京でブランドを立ち上げる。
2011年、パリコレクションデビュー。
2013年、神宮前にブティックオープン。
現在、ロンドン在住。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/