萩原輝美|アン・ヴァレリー・アッシュ来日インタビュー
連載|萩原輝美のファッション・デイズvol.45
アン・ヴァレリー・アッシュ来日インタビュー!
『VOGUE』が主催するファッション・ナイト・アウトに合わせて来日した斬新なコレクションが話題のデザイナー、アン・ヴァレリー・アッシュを、ファッションディレクターの萩原輝美さんがインタビュー。
Text by HAGIWARA Terumi
クラシックをモダンスタイルに仕立てるデザイナー
この秋は大掛かりなファッション・ナイト・アウトが表参道を盛り上げました。今回は海外からのデザイナー来日が増えたみたい。11月、杉野服飾大学で2011AWオートクチュールコレクションを発表するために来日したアン・ヴァレリー・アッシュにインタビューしました。
――現在、年2回のプレタ・ポルテコレクションと7月にオートクチュールコレクションを発表していますね。アン・ヴァレリーさんにとってオートクチュールとは?
ラボラトリー、実験室です。
――クチュールで発表した服を、プレタに落とし込むのですね。
クチュールは1点1点採寸し仮縫いをして、ひとりだけのための仕上げた手づくり服です。そのテイストを活かした量産服に仕立てるのです。
――今年デザイナー生活10周年を記念して発表した10点のドレスもクチュールから派生したものですね。デザインのベースとなるものはなにですか?
センスとストーリーです。そしていつもコントラストを意識しています。フェミニンVSマスキュラン、テーラリングVSトフリュイドドレスというように。女性は誰でも、二面性をもっていますからね。
――10周年を記念してつくられたイメージブックは「ロバと王女」のストーリーをもとにされたそうですね。美しいお妃さまが、下女という仮の姿から、最後にすてきな王子さまと結ばれてゆくまでのドレスがデザインされています。
娘たちが寝るときに、毎日聞かせてあげるおとぎ話です。夢とともにファッションが変わる娘たちが大好きな話です。
――今後、パリの老舗クチュールメゾンからデザイナーとしてオファーがあったら、引き受けますか?
タイミングが合えば、ぜひお受けしたいですね。
インタビューを終えて……アン・ヴァレリー・アッシュにくわえ、セカンドラインのアー・ヴェー・アッシュを発表するなかでの来日。大忙しのデザイナーだが、娘の話をするときは顔がほころぶ。クラシックをひっくり返して、あっと驚くモダンスタイルに仕立ててしまう。今では数少なくなってしまったアバンギャルドの火を灯しつづけているデザイナーです。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップ「デザインワークス」のレディスのディレクションも担当。オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/